デザイナー視点で読み解く医療広告ガイドライン(その1)
去る2018年6月1日に施行された医療広告ガイドライン改正版。
何事もまずは一次情報にあたるべし!という社内医師からの啓蒙を受けて、厚労省発表の資料を読み解くことにしました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000206548.pdf
まずは趣旨を理解する
ガイドライン系の文書は真面目に頭から読むとダレがちです。かといって、何のために定められたガイドラインなのか?ということを理解しないまま読むと結局頭に入ってこないので、まずは「第1 広告規制の趣旨」を輪読しました。
輪読時に大事なのが、自分のわからないこと、心に響いたところ、なんか大事そうな気がする!というところにマーカーを引くこと。
要点整理のほか、全体を読むとっかかりとなり、他の参加者と一緒に考え、改めて調べる際に役立ちます。
例えば私が線を引いたのは「2 基本的な考え方」の「(1) 広告を行う者の責務」冒頭。
医療に関する広告を行う者は、その責務として、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、 治療等の選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならない。
エモい………
お固いお役人の書いた文章かと思いきや、どうでしょうこの慈愛溢れる文章。
まま、それはそれとして、「基本的な考え方」の項を読んでいきましょう。
1 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。2 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。今回の広告規制の見直しに当たっては、こうした基本的な考え方は引き続き堅持しつつ、規制対象を「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に拡大する一方、患者等に正確な情報が提供されその選択を支援する観点から、医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合については、幅広い事項の広告を認めることとした。
やみくもに制限をかけよう、というのではなく、専門知識を持たない受け手(患者や患者家族等)に正しく情報を伝え、適切な医療を選ぶことができるような情報提供をしましょう、という趣旨であることがわかります。
じゃあどういうものが制限かからないんです?っていうのが、「第5 広告可能な事項について」の「5 医療に関する内容に該当しない事項」。
以下のア~オに示す背景等となる画像や音声等については、通常、医療に関する内容ではないので、特段制限されるものではない。ア 背景等となる風景写真やイラスト等 【具体例】町や海の写真、山や森のイラスト等イ レイアウトに使用する幾何学模様等ウ BGMとして放送される音楽、効果音等エ 広告制作者の名称、広告の作成日、写真の撮影日等オ 芸能人や著名人の映像や声等芸能人や著名人が、医療機関の名称その他の広告可能な事項について説明することは、差し支えない。なお、実際に当該医療機関の患者である場合にも、芸能人等が患者である旨は、広告できない事項であるので、認められないものとして扱うこと。(第4参照)
挿絵とか意味を成さない装飾については制限が無いということですね。
ただし、風景写真であっても、他の病院の建物である場合やそのような誤認を与える場合、あるいは、 芸能人が当該医療機関を推奨することや芸能人が受診をしている旨を表示(音声によるものや暗示を含む。)することは、医療に関する広告として、規制の対象として取り扱うこと。
受診してもらう目的であれば、他の病院の写真を使うメリットはなさそう(施設に辿り着けない)ですが、トリミングやレタッチをしすぎて原型を留めなくなった画像は見直した方が良いかも。
芸能人のくだりは別の項目で詳しく説明されているので、改めてご紹介します。
なお、安易に使いがちな「病人が回復して元気になる姿のイラスト」は「第2 広告規制の対象範囲」「3 暗示的又は間接的な表現の扱い」で利用が制限されていますので気をつけましょう。
効果に関する事項は広告可能な事項ではなく、また、回復を保障すると誤認を与えるおそれがあり、誇大広告に該当するので、認められない。
ちなみに「第2 広告規制の対象範囲」は例示がとても面白い、このガイドラインの一番の見どころです。
その2に続く
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