【三国志を語りたい】梁冀 〜権力で宮廷を混沌と化した悪漢〜 vol.3
ごめんなさーーーーい!
順番間違えて今回の記事アップする前に黄巾族アップしてしまいました〜ーー
この回で梁冀の運命の幕が降ります。
野望と権力に苛まれた宮廷はどうなるのか!
それではどうぞ!
桓帝は怯えていました。
自分もまた質帝のように梁冀に殺されるのではないかと。
逆らってはいけない!
皇帝なのに臣下に怯える毎日を桓帝は過ごしていました。
梁冀の息のかかった宦官が目を光らせているため、目立った行動もできません。
梁冀は自身の屋敷が出来上がると、宮廷には来ずに政治を始めます。
宮廷で暗殺もできません。
しかし、そんな時ある珍事が起こります。
事の発端は桓帝の寵愛を受けている梁貴人にまつわるものでした。
梁貴人は梁姓ですが、梁冀の血筋ではないのです。
そして、その寵愛ぶりは今後は皇后にもなると見られていました。
ここで、梁冀は一計案じます。
梁貴人を自分の娘にしてしまおうと。。。
浅ましいにも程がある発想ですね。
そこで障害となる梁貴人の姉婿を暗殺して、その後貴人の生母をも手にかけようとします。
しかし、生母はなんとか暗殺を免れましたが、このことが桓帝の耳に入ります。
「絶対に許さない!!」
そう桓帝は梁冀に思ったに違いありません。
恐怖は怒りに、不満は行動に変わります。
王朝の大半は梁冀の一門のため、梁冀を誅殺するには短期決戦しかありません。
そこで梁冀の息のかかっていない単超という男に梁冀誅殺の意向を伝えて、粛々と計画を進めていきます。
当然のことながら、すぐに梁冀の息のかかった宦官はその動きを察知してしまいます。
やぶれかぶれ!だったかもしれません。
桓帝及び単超は一時的にその宦官を捕縛して、一瞬梁冀と宮廷との連絡を遮断し、尚書令に勅使を与えて兵を出動させたのです。
兵は即座に梁冀の屋敷を包囲して、大将軍の印綬を返還するように迫ります。
梁冀にとっては信じられない光景だったと思います。
一瞬、本当に一瞬の出来事で栄華が崩壊する恐ろしさ。
兵が屋敷に押し入った時には毒を煽って事切れた梁冀の姿がありました。
梁冀はその強欲な生涯を閉じたのでした。
後日談ですが、梁冀の屋敷は競売にかけられましたが、それが国の予算並みのとんでもない金額になったとのことです。
その後、待ちに待った桓帝の親政が始まり、見事悪政から立ち直りました。
ちゃんちゃん。
とはならなかったのが、この後漢の王朝です。
桓帝も桓帝で宦官贔屓の政治で世の中の不満が高まっていくのでした。
そして極め付けが霊帝です。
霊帝は最後まで幼かった皇帝であり、宦官に政治を委ねてしまったところもあるので、後漢は混迷に至ります。
小規模な叛乱は度々起こってましたが、王朝が崩れることはありませんでした。
しかし、水面下でとんでもないことが起こっていました。
太平道
霊帝は遊侠に耽り、天下の王朝は民に絶望を与えていました。
太平道の信者になれば自分にとって不都合な倫理から脱却することができる、そのことが民に希望をもたらしたのかもしれません。
後漢の混迷が生んだこの波は以後「黄巾の乱」として今までに類を見ない最大規模の民衆武装蜂起につながるのでした。
次回からようやく群雄割拠した英雄達を描いていこうと思います。
なぜ、こんなに面白いのか?読めばわかる。
三国志
宮城谷昌光
文集文庫