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ツイッター赤ずきん

昔昔、とあるTLに、可愛い女の子がいました。
 ある日、おばあさんが女の子の為にずきんを作ってくれました。女の子はさっそくツイッターに自撮りを載せました。

『おばーちゃんが余った布で作ってくれたんだけど、クオリティが高すぎるから皆にも見て欲しい………!!めっちゃツヤツヤしてて凄い😳シルク?とかなのかな?笑 可愛すぎる~! 』

すると、とってもたくさんのいいねやリプライがきました。

「可愛すぎます…!お似合いです(*´`)」

「赤ずきんちゃん(←安直すぎ、、)爆誕!!」

「凄い!おばあ様、裁縫がお得意なんですね🎵」


「ビロード、ね😅ちゃんと物事を考えてから発言しましょう。おばあさんに教えてもらわなかったんですか?」

「別にクオリティは高くないだろ。もっとちゃんとしたずきんは沢山ある」

やがて、引用RTでクソリプがくるようになったので、赤ずきんは通知を切りました。

 ある日、お母さんが赤ずきんに言いました。
「赤ずきん、おばあさんの共同アカウント『♡爺婆couple共同垢♡』のアイコンが真っ黒になってしまったのよ。おばあさんはいつもお前のツイートにいいねをしていたから、お見舞いに行ってあげれば、きっと喜ぶわ」
「お見舞いのリプライに、この『まぢさいてーの男😡ばぁは悪くない。』と、『どした、?話聞くよ?』を持って行きなさい」
「ええ、任せて」

お母さんは、赤ずきんが初めて1人で出かけるので、心配でたまりません。
 でも一緒には行けません。お母さんは日課であるエゴサーチをしなければならないのです。
「赤ずきん、途中で別垢の通知を見に行ってはいけないわよ。それから、クソリプを送ってくるオオカミには注意するのよ」
「はい、お母さん」
 赤ずきんは、今日のお出かけコーデを全身鏡に映した自撮りを載せて、
「いってきま✋」
と、ツイートして、出かけて行きました。

赤ずきんが歩いていると、そこへ、オオカミが現れました。
「赤ずきんチャン、おはよう‼️☀️とっても、可愛い、ずきんを被っているネ😄🎶似合ってるけど、今の若い女のコの流行は、おじさんには、よく分からないナ😅✋ヤレヤレ」
 オオカミはニコニコ笑顔の絵文字を多用して、赤ずきんに声をかけました。
「こんにちは、オオカミさん」
赤ずきんが返事をすると、オオカミは尋ねました。
「ところで、今日は、どこに行くのカナ❓か弱い女のコの1人歩きは、とっても危険🚨⚡😱おじさんが、守って、あげようか😆その代わり‼️おじさんの、言うことを、1つ、なんでも聞くこと😆目上の人への、礼儀だヨ‼️」
「おばあさんのところよ。爺ピと別れて傷心中だから、お見舞いに行くの」
「エライ‼️😆でも、おじさんとも、デートしてほしいな😅あれあれ❓そのバスケットの中身は、何❓おじさんに、こっそり、見せて欲しいナ😍」
「構って欲しいアピールのツイートに送るリプライよ。おばあさんのために、持って行くのよ」
「赤ずきんチャンの、おばあさんの、お家は、どこなのかな😆いつか、挨拶に行くかも、しれないからね‼️😣」
「この森の先を、ずっと真っ直ぐ行ったところよ」
 オオカミは、ちょっと考えました。
「赤ずきんチャン‼️周りに、綺麗な、花が、咲いているヨ😲😲赤ずきんチャンは、このお花を、摘むべきなんじゃ、ないのカナ❓少なくとも、おじさんは、そう思っちゃうナ😅✋自然を、慈しむ心も、女のコには、大切だよ😆‼️」
 赤ずきんは、言う通りだと思いました。
 お花を持って行けば、おばあさんはきっと喜んでくれるでしょう。
 赤ずきんはさっそく、周りの花を摘み始めました。

しばらくして、赤ずきんはたくさんのお花を抱えておばあさんの家に行きました。
おばあさんの家の中は、なんだかいつもと様子が違います。赤ずきんは不思議に思いました。
大量のマイメログッズが飾られている部屋の奥のベッドに、おばあさんが寝ています。
「こんにちは、おばあさん」
「え。。。。来てくれたの。。。。やば。。。。。。。うれしい( ; _ ; )」

赤ずきんはおそるおそるおばあさんに近づいて、尋ねました。
「おばあさん、おばあさんの耳はどうしてそんなに大きいの?」
 すると、おばあさんに化けたクソリプオオカミが言いました。
「それゎ。。じぃの声をよく聞くため。。。。。。」
「それじゃあ、おばあさんの目は、どうしてそんなに大きく光っているの?」
「ぅちゎじぃのことだけみてた。。。。。。あいしてたのに。てか。。おなかいたい。。。。」
「おばあさんの手は、どうしてそんなに大きいの?」
「それゎ。。。。。じぃをだきしめるため。。。。。じぃの背中がすきだった。。。。。。。。。。。。」
「それじゃあ、それじゃあ、おばあさんのお口は、どうしてそんなに大きいの?」
「ぅちのくちは。。。。。。。。。。。。。。。じぃを。。。ううん。。。。ちがう。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。」



「赤ずきんチャンを、食べちゃう、ためだヨ‼️🏩ナンチャッテ😁」


 オオカミのクソリプがあまりにもしつこいので、赤ずきんはアカウントを非公開にしてしまいました。

 そこへ、FF外から森の猟師が通りかかりました。
「おや?おばあさんの様子が変だ。見てこよう」
 猟師が家の中へ入って、ベッドに近よると、
「ん?これは、あのクソリプオオカミではないか!」
 猟師は眠っているオオカミのアカウントをブロックしようと思いましたが、もしかすると、おばあさんもこのクソリプオオカミの被害にあっているかもしれないと思って、返信をチェックして、スクショを1つの画像にまとめて晒しました。


すると、赤ずきんがアカウントの鍵を外しました。
「ああ、クッソしんどかった!鍵垢って、拡散されないから、いいねが伸びないんだもの」
 その次に、おばあさんが、
「なんでたすけたの。。。。このまましねたらよかったのに。。。。。。。」
と、出て来ました。

おばあさんは、赤ずきんが持ってきてくれたお見舞いのリプライで、とっても元気になりました。そして、2人ともオオカミのアカウントをすっかりミュートにしてしまったので、辛い思いをしなくて済むようになりました。 
クソリプオオカミは炎上し、お腹に小石を詰められて川に落っこちてアカウントが凍結しましたとさ。めでたしめでたし。

(おわり)

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