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ビワイチ1日目
滋賀県・近江舞子に泊まった翌朝からビワイチを始めた。スタートは近江舞子ではなく、草津だった。
旅の工程は草津→長浜までの約60キロ
私はこの日、草津から長浜まで行くことに決めた。近江舞子で迎えた朝、いくつか電話してみると長浜のホテルでキャンセルが出たから空いていると言われ、予約した。
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近江舞子の泊まったゲストハウスは、ビワイチ検索で割と上位に出てきたから、きっと詳しい人がいるのではないかと勝手に期待していた。でも、そういうわけではなかった。
そのゲストハウスのスタッフのほとんどは、外国人か自転車に乗ってる雰囲気じゃない若者で、ビワイチについて尋ねても、このQRコードを見てみてください、という感じだった。すでに知った玄人が行くような場所であって、ビワイチの情報を交換するような感じではなかった。
私は自分でとりあえずレンタサイクルを再度調べてみることにし、草津駅のレンタサイクルを利用することにした。
駅リンという名前で、守山などにもあった。自転車自体は十分にあるみたいで、電話をしてみるとおじいちゃんの声でなんとなくここにしようと決めた。
でもそれはママチャリだった。
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ロードバイクっぽいものもあったが、電動アシスト自転車で、一泊以上となると充電の必要があるため貸出はできないのだそう。
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仕方なく、ママチャリを借りて行くことにした。まぁ元々、歩いて琵琶湖一周を考えていたくらいなので、ちょうどいいかもしれない、とそのときは思った。
営業時間(朝は6:30〜9:30という不思議な時間帯)を過ぎていたけど、おじいちゃんはたまたまいて、親切に対応してくれた。(返すときには心配しとったよ、とまで言ってくれた)
とにかく毎回自転車で困ることになる線路をどうやって跨ぐかという東口西口問題に、この時からなった。とりあえず周りの人に聞いて、行く。郊外の道路を引かれそうになりながらも、おじいちゃんが言っていたかもしれない愛菜館という農協の直売所に寄った。
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でもここで旅人の私が買えそうなものはあまりなく、夏みかんゼリーのジュースと米麹の甘酒を買った。このときから、イチゴが売られているのをよくみられた。
ひたすら自転車をこいで、琵琶湖にたどり着く。
ゴールデンウィークの平和な光景に和む
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定期的にバーベキューの香りがした。琵琶湖周辺では、ゴールデンウィークにキャンプをしていた。みんな、ビールを飲み、肉を焼いていて、同じにおいがキャンプ場が横に出てくるたびにした。
なんだか楽しそうな空気にワクワクする。あぁ、ここに来てよかったなと思った。
でも、真新しいのは最初の一、二時間くらいで、お昼草津のカフェを過ぎた辺りから、だんだん退屈になった。
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お昼ごろ、草津のカフェを出て琵琶湖沿いに走る。
東側は近江舞子などの西側と琵琶湖の雰囲気がまるで違っていて、泥が流れ込んでいるのか、あんな風にきれいではなかった。
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琵琶湖の景色はいいのだけど、なんだかあまりにも続くと退屈になる。
加えて、完全な車社会だった。
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サイクリングロードは整備されてはいるものの、ガッチリガードレールで道を阻まれていて、反対側に出られない。
お腹が空いてきたところで、明太子のアミューズメント施設なのか、めんたいパークびわ湖に立ち寄ってみたいなと思ったが、全く行けなかった。車で来る人しか歓迎されないようなつくりになっているみたいで、近くに来たとき諦めざるを得なかった。
やっとコンビニに着いたと思っても、ガードレールはまだ続いていて、コンビニだけは行かしてほしいなと無理やり、ガードレールを抜けた。ほとんどの自転車の人たちは、それを見切ってか、最初から歩道ではなく、ガードレール外の道路を走っていた。
あれだけキャンプ場があったから、コンビニで買った食べ物をあんな感じのところで食べようと思ったけど、近江八幡を抜けた辺りからそんなキャンプ場はだんだんなくなっていた。
どうやらキャンプ場は、守山野洲辺りを過ぎてしまうとなくて、打ち捨てられた公園のような湖岸が続いていた。
草ぼうぼうの景色がしばらく続いた後、道は琵琶湖沿いから少し外れて周りは山になった。
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こうなってしまうとより退屈感が増してきて、音楽をかけたり、何かポッドキャストを聞いたりした。
何しろ、ママチャリはランニングしている人より遅い。走る人には抜かされ、また当たり前だけど、次から次へとロードバイクやクロスバイクの人たちに追い越されて行った。
たぶんその人たちからすると、なんでこんなところにママチャリ走ってんの?というくらい、ママチャリはほぼほぼ皆無だった。
アナログな旅は退屈との長い付き合い
こんなことを言ってしまうとなんだけど、旅って刺激的なようでいて、こういうアナログに近い旅ほど、退屈とのたたかいのような気がする。
お腹が空いても、なかなかコンビニに辿り着かない。目的地になかなか着かない。
景色は最初のうちはきれいだけど、あまりにも続くと飽きてくる。
時々自転車を漕ぎながらもスマホを取り出してしまい、走りながら気になったことを調べる。
それでもまだまだ続く。
なんだろう、日常はもっと常に何かがある。会社で隣の人に話しかけてみたり、周りの人があれこれ言っていたり、家に帰れば猫に触ってみたり、YouTubeやドラマを見てみたり。
意外に旅は刺激的なようでいて、私の選んだ今回の旅は退屈だった。どこかに寄ろうかなと思っても、ママチャリは遅すぎて、長浜に行くまでの寄り道がしにくい。寄るときはスマホの充電や休憩、食事など用があるとき以外はとてもわざわざ道を逸れて行こうと思えなかった。
前に鯖街道を歩いていたときもそうだった。目的地に行って楽しむ観光は、あれこれ寄るけど観光できるよう、なるべくその途中の行程は乗り物を使ってショートカットする。ただし、歩いたりママチャリに乗ったりすると、観光なんてのはなかなか難しく、途中の行程を楽しむしかなくなる。楽しむというか、ひたすら退屈とのたたかい。
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なんか古墳のようなものが出てきたら、あれは何だ?とGoogleマップを調べてみたり。
ただ自転車を漕いで前を進めばいつかはたどり着くだろうと思って。
体感速度で移動していると、「あの辺」がなくなる
ただ、こういう旅をしていると思ったのが、何となくこの辺という感じがなくなる。
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それぞれの地域に特色とかアイデンティティみたいなものがあって、電車で通り過ぎていたときの印象とは大きく変わる。
直売所でよく見かけていたイチゴはとうとう食べることができた。
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ゴールデンウィーク限定という、イチゴのせソフトクリームというのがあって、完熟のイチゴがのっていた。
この辺は大中だいなかというエリアで、牧場もあった。
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正直なところここがどこなのかわからないまま走ってはいたけど、単純に近江八幡とか能登川という地名で判別するのではない、ここの場所をそれぞれで強く感じる。近江舞子に滞在したときにも感じたもので、電車や車以外の徒歩を中心に自分の速度でその土地に行ったときは、そのエリアの空気を実感できる。
これが旅の醍醐味なのかもしれないとも思う。
ダラダラと自転車を漕いでは、休みたいタイミングで休んだ。
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このときはまだ良かった。そんなに疲れていなかったし、まだたどり着けるだろうとのんきだった。
あとちょっとでへばる
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彦根辺りで、これはやばいかも、とももの筋肉痛を感じながら思った。
自転車の持ち込みができる近江鉄道の利用を1日目にして考える。彦根港に近いその地点から長浜まではあと11キロで、徒歩にして2時間半、自転車なら1時間ちょっとだろう。
行けないことはないが、鉄道を利用できるならしたい。そう考えて進路変更して、近江鉄道彦根駅まで向かうことにした。
彦根駅までは20分程度。結局また東口問題に直面し、何とか彦根駅に入ったものの、当駅では持ち込みできません、と駅員さんに言われた。次の鳥居本なら大丈夫だけど、そのまま終着の米原まで自転車で行った方が速いと思いますけどね、と言われた。
だいたい地元の人が言うことは間違いない。
だけど、こちとら米原の先の長浜まで行かないといけないのだ。少しでも体力を温存させたい、そう思って鳥居本駅まで自転車で行くことにした。
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だけど、その鳥居本に行くまでがとんでもない山道とトンネル道だった。たどりついても電車が来るのはあと30分後。
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ならばと行く途中で気になっていたラーメン屋に戻って注文したが、なかなか出てこない。どうやら、新人のバイトの子に店主が優しく丁寧に野菜の炒め方なんかを教えている。
まだですか?と聞いてやっと上がってきたものを10分ちょっとで麺だけでも平らげて駅へ急ぐ。
駅に着くと、何とか間に合った。
米原駅に7分くらいで着いて、誰もいない暗くなった駅でまた東口から西口に出ないといけないという問題に直面する。
地元の人っぽい人に聞いて車しか通らなような陸橋をスレスレで通ってなんとか抜けた。
後から思ったけど、これ、近江鉄道に乗るよりも琵琶湖沿いにそのまま行った方が平坦な道で体力を温存できたかも。
どこか怠惰な気持ちで長浜までの道に腹をくくれていない自分に喝が入った。
そこからはそれなりにまだ距離はあったけど、よそ道をせず、ただただまっすぐに向かうことにした。
なんとか21時までにはホテルにたどりついた。
筋肉痛で寝苦しいながらもホッとした。
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この翌日は結局、竹生島に行って長浜観光して草津まで返却に戻った。
ということで、とりあえず、ビワイチはまだ草津→長浜間まで。これから長浜の先を少しずつ制覇していこうと思う。
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