山盛りの「好きなこと」

厳しい残暑がもっと続くのかと思っていたら、秋はいつものようにやってきました。
日の出とともに開放していた窓は、この頃は風が冷たくて、小学生が学校に行く時間帯にようやく開けます。

朝晩はめっきり冷え込むようになりました。
体を冷やさないように、お日様が高い位置にいる時間帯をねらってお散歩に行きます。
うっかり家事に夢中になり、タイミングを逃すことも多いです。
だけど、ほんの短時間でも外を歩くと気持ちがすっきりします。

ペラペラの体をモスグリーン色のリネンコートで包み、好きな音楽を聴きながら近くのコンビニまでウォーキングを兼ねて肉まんを買いに行きます。
それもなかなかいいのもかもしれない・・・・・・と思います。

最近、食事がようやくスムーズにできるようになりました。
私はもともと食が細いため、長らく食べることに楽しみを見いだすことができませんでした。

食に関する興味関心が異常に低く、小食はもはや病気の域に入るのではと思うレベル。
それが改善し始めたのは、ほんの4年ほど前のことです。
徐々に食べられるものが増えました。

でも、疲れたり体調を崩すと真っ先になくなるのが食欲です。
だから、気管支喘息をこじらせて寝込んだこの春から、体調が安定してきた9月に入るまで、実はまともに食事ができませんでした。

生活をしていると食べることは欠かせません。
それなのに、体調を崩すたびに食べることは苦痛を伴う行為に変わってしまうので、大きなストレスでした。
そして、ほぼ寝たきりで動かないので、もちろんいつも以上にお腹は減りませでした。

そういうこともあり、私が外出し、なおかつそれが肉まんを買うためだと知ると、周りはうれしいようです。

昔から病弱だったので、「衣食住の中でもっとも大切にしているのはどれですか?」と尋ねられると、間髪入れず「住!!」と答えます。

心地よい空間を作ることは、私の一番好きなことです。
そのために、ひとつずつ、少しずつ、お気に入りの家具や寝具をそろえていくことがとても好きです。

模様替えは楽しく、掃除はもしかしたら趣味と表現する方が近いかもしれません。
花を飾ったり、観葉植物に水をあげたり。
その時の気分に合わせた音楽を流しながら、ハンディモップを握っていると、ウキウキしてきます。

去年の冬、たくさん雪が降った日。
体感温度がマイナス12度でした。
何日もそれが続くわけではないけれど、私の住む街の冬の寒さは関東並みです。

毎年、秋が来る少し前に、「今年もたくさん雪が降るのかな?」と考えながら冬支度をします。

KLIPPANのコットンブランケットとウールブランケットが私の冬の味方です。
若い頃、初めてのまとまったお給料で買った憧れのミナペルホネンとコラボレーションしています。

職場で表彰されたときや、資格試験に合格したとき、自分へのご褒美に買いました。
7年使っても、ぬくぬく感は変わりません。

LAPUAN KANKURITの湯たんぽも心強い仲間です。
エアコンもヒーターもあまり好きではないので、冬場はもっぱら湯たんぽで暖を取ります。

もこもこの靴下を探したり、ニット帽を選んだり、本格的な冬が来る前からわくわくが止まりません。
ハロウィンやクリスマスの飾り付けをする感覚に似ています。
掃除を満喫し、洗濯物をたたんでいると、あっという間に時が過ぎています。

数年前から立て続けにつらいことが起き、今年、私は働くことをしばらく休むことにしました。
無我夢中でやってきたことに意味を見いだせなくなり、何年かかけてゆっくりと本来の自分を取り戻そうとしました。

まったく理解できない妨害もあり、自分らしく生きることは、そんなに非難されなければいけないことなのかと思った日もあります。
自分の選択を後悔したことはありません。
でも、人は平気で誰かを傷つけ、関係ない人が便乗し、関係ある人は保身に走ります。
それがたまらなく醜いものに感じました。

その出来事は、私をひどく疲弊させました。
すべてのバランスが崩れ、それまで自分なりに積み上げてきたものの形が完全になくなるまでに長い時間はかかりませんでした。

いろんなことの潮時だったのだと思います。
失ったものもありますが、代わりに平穏な日常を得ました。

ずっと調子が悪かったのですが、10月に入り、私の毎日は一変しました。
体調が安定したことで、生活がラクになりました。
無理をしない程度に負荷をかけ、前ほどではなくても家事をこなせるようになりました。

ずいぶん食べられるようになり、好物のおでんや鍋が食卓にのぼる日は、自分でも驚くほどお米がすすみます。
肉まんや大判焼きを、おやつの時間にこっそり食べたりします。
お茶をすすりながら、そろそろお羊羹を買っておこうかなと考えたりもします。

私は車を運転しないので、買い物は徒歩です。
冬場はなかなか、ハードな外出です。
玄関のドアを開けた瞬間、心の中で「ぎゃーーーー!」と叫びたくなるほど風が吹いている時があります。
おおかた向かい風なので、荷物でパンパンの買い物袋をまだ下げていない私は、ぴゅんと飛ばされそうになります。

よろよろしながら歩き、買い物を終えて帰ると、迎えてくれるのはお気に入りで埋め尽くされた自分のお部屋です。
ブランケットにくるまることも、湯たんぽを抱えておくことも、この上なく幸せな時間です。

ゆっくりとした時の中で、ぼーっとして過ごすのは約20年ぶりです。
あれほど情熱を傾けた仕事を日常から取ってしまったら、私はどうなるんだろうと不安な気持ちもありました。
だけど実際には、意外なほど今の毎日になじんでいる私がいます。

今年の冬はこれまで以上の温かさを感じられるかもしれません。