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おばあちゃんいないいない病

私とおばあちゃんは、時に衝突もした。

原因は、いつも私が学校から帰って来ると、
ダラダラと過ごしていて、
それをみかねたおばあちゃんが

「早く、勉強しちゃいなさい!」と言う。

「早く、勉強しちゃいなさい!」は、ヤル気をなくす最強の言葉だ。

私は、おばあちゃんに

「あ〜ぁ。
今、やろうと思っていたことろだったのに、
おばあちゃんにそう言われたら、
ヤル気がどこかに飛んでっちゃった。」と

いかにも自主的にやろうとしていたのに、
ヤル気がなくなったのは、おばあちゃんのせいだとばかりに、口をきく。


「本当にこの子は! ママに言いつけるよ!」

おばあちゃんは、私の痛いところをつく。


そんな時、いつも私は、

「おばあちゃんと、もう口聞いてあげないんだから!」と、ふてくされていた。


ひとりっ子の私の唯一のケンカ相手は、おばあちゃんだった。

母は仕事で忙しく、出張で泊まりもあったので、
母はいなくても、
いつもおばあちゃんがいるというのが、
いつのまにか私の中では当たり前になっていた。


そんなおばあちゃんも、
半年に一度ほど、家を空けるときがあった。


東京の従兄弟のところへ泊りがけで行くのだ。


いつも私ばかりおばあちゃんを独り占めしているので、最初は従兄弟たちとおばあちゃんが楽しく過ごしているのを想像しながら、

毎日、母にかかってくる叔母の電話に聞き耳を立てているのだが、

数日すると、禁断症状が現れてくる。


おばあちゃんがいないと、ご飯を食べたくない。
夜も寂しくて眠れない。


2日、3日目までは我慢するが、4日目になると、
私は「おばあちゃん早く帰ってきて」と電話をしてしまう。


おばあちゃんは、いつも1週間程の予定を組んで行くのだが、私の電話で次の日には帰ってくる。

そして、決まって叔母から母にお叱りの電話がかかってくるのだ。


私だって、わかっている。
私だけのおばあちゃんじゃないって事を。


みんな、ごめんね。

小学校から帰って、
まだ東京にいると思っていたおばあちゃんが家にいる時の嬉しさといったらこの上なく、

この日だけは早々に宿題を済ませ、
おばあちゃんと一緒にお風呂に入り、
一緒に布団に潜り込む。

その日の夜、
ぬくぬくと暖かいおばあちゃんの布団の中で、

「もうワガママ言わないからね。」と心に誓うのだった。

そして、数日すると、また小言を言われ、
ふてくされるという日常が始まる。


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