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共犯者 〜真夜中の誘惑〜

私とおばあちゃんの部屋は、階段を登り、
踊り場を挟んで、右と左だった。


小学校の頃は、一人で寝ていて寂しくなると
お隣のおばあちゃんの部屋の襖を開け、
おばあちゃんの布団に潜り込み、

「足が冷たいから眠れない。」と言っては、

おばあちゃんの足の間に、
自分の足を挟んでもらい、
安心して眠りにつく。


中学になると、一応、試験勉強なるものもあり、
自分の部屋で勉強机に向かうものの、
テレビ番組が気になり、

1階で寝ている母にはわからないように、
自分の部屋の扉とおばあちゃんの部屋の襖を少し開けてもらい、番組を視聴する。


自分の部屋からおばあちゃんの部屋のテレビを

「母にみつかったら、怒られるぞ!」と思いながら、

物音を立てないように、
目と耳に神経を集中させながら観るのだ。

そこには、ハラハラドキドキのスリルがあり、今思えば、
それのどこが面白かったのか我ながら不可思議だが、
なぜかやめやれなかった。


そして、夜遅くなると、お腹が空く。


おばあちゃんは、自分の寝室に母に内緒で
私専用のお菓子箱を用意して、
そっと襖を開けておいてくれた。

ちょっと罪悪感を抱えながらの夜中のおやつは恒例となり、

言うまでもなく、私はメキメキと横に成長していった。


真剣に子育て中の親からみたら、
発狂しそうなおばあちゃんと孫の典型的な悪い例である。

でも、そこにも愛がある。

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