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何度でもカオマンガイ。カオマンガイソムポーン。

一度食べたら忘れられない、ああ、カオマンガイ。カオマンガイ。カオマンガイ。オカンマガイ。マンガイカオ。カンマオガイ。カンマイガオ。カオマンガイ。タイにある世界一のカオマンガイ屋、ソムポーンを紹介しよう。

焼け付くような日差しに加えて湿度が高い。日本よりも暑いとか、たまったもんじゃないな。と、半袖半ズボンで露出した体中から湧き出る汗を拭いながら、タクシーに乗り込みホテルへ向かった。タイ旅行、目的地があるわけでも無いのに。

ぼくは初めてタイに行って、タイの料理に魅了された。今まで東南アジア料理は酸味と辛さが混じり、どうにも日本人の舌には合わないだろうなと、食わず嫌いで生きてきた。トムヤムクンやカオマンガイ。名前からしてちょっと癖あるタイプなのが分かる。母親は幼き頃から花嫁修行ということで、祖父母から純和風料理を学んできたのである。得意料理は茶碗蒸し。年始のおせち料理なんてそれは貴族かと錯覚するぐらいの豪華な食卓になるのだが、そこに勿論カオマンガイは無い。一度だって、ちーすっ!と言いながらカオマンガイやトムヤムクンが食卓に現れた事は無い。たまに現れてもパスタぐらいだろう。そしてついに今日、カオマンガイに会えるかもしれないのだ。楽しみしかしない。

蒸し蒸しした湿気の中タクシーに乗り込み、真夜中のドンムアン空港からバンコク市街を通り、カオサン通りを越えた先にあるホテルを目指す。日本とは違う。人も街並みも匂いも風も、空気がそもそも違うのだ。夜中にも関わらず屋台は開いていた。何時まで営業しているのだろうか?食べたい。今すぐにでも食べたい。Netflixに「ストリートグルメを求めて」という大好きな番組がある。屋台料理で唯一ミシュランガイドに選出された料理屋、ジェイファイがここタイにあるのだ。絶品カニオムレツについては、飛行機の中でしっかり学んできているので、ジェイファイについてはまた今度紹介しよう。気になった人は調べてくれ。

あれ、たくさん人がいる。チャオプラヤー川の近くに着いた時、川沿いには無数の屋台があり、そこには車が通れないほどの人がたくさんいるではなないか。子どもから大人まで、みんな楽しそうに買い物をしてる。タクシーの運転手にお願いをし、窓を開けてもらった。

冷房の効いたタクシーの中に、あの暑い湿気のある空気が一気に流れ込んだ。どこか気持ちいい。これはサウナみたいなものだな。とその時はどこか納得した。本当にそうなのかは分からないが。みんなこの暑い中(それでもまだ夜中)買い物をしているなんて、体の構造が違うんだろうな。寒いのは逆に日本人の方が強いかも?と、考えているとホテルに着いた。寝よう。疲れた。

本題に戻そう。カオマンガイソムポーン。これは世界一のカオマンガイ料理だ。食べたのは2年前程。毎年食べているが、昨年無かった。調べたらソムポーンは出家したらしい。そして、ソムチャイになっていた。もう知っているカオマンガイソムポーンは無いと悲しくなったのを覚えている。
タイではピンクのカオマンガイが有名で、確かに美味い。柔らかい鶏肉に味のついたライス。それでも、ソムポーンをお勧めするのは、味の濃さやふっくらした味の濃い鶏肉とダシの効いたライス。一度食べ始めたら止まらない。止められない。途中からピリ辛ダレを投下する、蒸し暑く、止まらない汗、少しダルさがあった中でこのタレが味を大きく変える。うまい、うますぎる。鶏ダシが効いたライスは特筆する必要もない。誰もがうまいと叫ぶ料理。

あの時のソムポーンには人がいなかった。ランチ時間のギリギリだったこともたり、1人でガッツいた。暑い、うまい、生きている気がした。ソムポーンにはカオマンガイを通じて、自分が今ここで生きている。汗をかいている。飯を食っている。日本で忙しい毎日を過ごし、味を感じること無く終わってしまう毎日。失った心を取り戻してくれる料理。それがソムポーンのカオマンガイである。ダシの効いたライスをかっ込み、蒸し鶏を食べる、スープを飲む。整った。完全に整った。

ソムポーン、東南アジア料理のイメージを変えてくれてありがとう。毎年来る程好きになったのもソムポーンのお陰だ。ありがとう、ソムポーン、出家してしまったが日本から、あなたが戻ってくるのを待っている。

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