炭酸水とクイズの女

スカッとしない梅雨空の日々がつづいているので、身も心もスカッとするためにウィルキンソンをよく飲んでいる。
　わたしは車の免許を持っていないので、夜な夜な近所のドラッグストアまで歩いてウィルキンソンを買いにいく。最近はあまりにもじめじめしていて、スカッとしたいと思う日が多く、かなりの頻度でドラッグストアへ行っていた。ペットボトルのウィルキンソンはどっしり重く、買いだめを試みると、それだけで帰り道は疲れてしまう。ついに、そんな妻を見かねた夫がアマゾンでウィルキンソンをケースでどどん！と買ってくれました。（わ～い！）
届いたダンボールを開けてみると、ラベルレスボトルのウィルキンソンがたんまりと。地球にも妻にも優しい夫！さすが、できる男！家に冷え冷えのウィルキンソンが常備されているということが、これから迎える夏をうまく乗りこなす秘訣なのかもしれない。

　話は変わるが、わたしは早押しクイズが大好きだ。暇を見つけてはYouTubeで早押しクイズの動画ばかり観ている。回答者が頭脳の格闘技のごとく、問題文の途中でピンポン！と早押しボタンを光らせ、正解を重ねる様にめっぽう弱い。かっこいい。くらくらする。その日は、QuizKnock主催のWHAT2023という高校生のクイズ大会を見ており、最後の３人で争うファイナルステージで問題が読まれていた。

「兵庫県で炭酸鉱泉を発見したイギリス人の名前に由来する･･･」ピンポン！と回答者の一人が勢いよくボタンを押したものの、押しが早かったためか答えを絞り出せず誤答となった。誤答ペナルティこそあるものの、他の回答者が正解を重ねることを防いだともいえよう。そこも面白い。問題はスルーとなり、問題文全文と答えが読み上げられる。

「兵庫県で炭酸鉱泉を発見したイギリス人の名前に由来する、赤色のラベルでおなじみのアサヒの炭酸飲料ブランドは何？」

KODANSHA presents High School Quiz Battle WHAT 2023より

正解は「ウィルキンソン」。･･･知らなかった。こんなにたくさん飲んでのに、知らなかった。いや、当たり前に身近にありすぎて、知ろうともしていなかったのかもしれない。わたしがYouTubeを視聴するためにスタンドに立てたスマホの横に、「正解」である赤いラベルのウィルキンソンが、でんと鎮座している。おお、親愛なるウィルキンソン君。きみの生まれは関西だったのか。てっきりおしゃれな横文字やから海外生まれだと思っていたよ。人の名前に由来するなんて、「刺激強め」を自称するきみにも、なんだか可愛いところがあるじゃないの･･･。

　クイズに熱中しすぎてからからの喉になっていたわたしは、その日２本目のウィルキンソンを冷蔵庫から取り出し、スカッとするために、一気に飲んだ。