東京〜大阪 はじめての自転車旅3(〜静岡編)
この旅最大の難所
だった
3/19 起きると脚全体がまだ熱を帯びて筋肉痛も残る朝
当初の予定だと掛川を出発と考えていた所だけど
辿り着けたのは富士
すでに予定よりも83Kmほど遅れてしまっている
週末の天気予報を確認しつつ
今日は何としても掛川をゴールにしたかった
玉チャーまで100キロ
それはもちろん掛川駅そばの<十八番の玉チャー>を食べたいから
この旅の楽しみでもある地元の美味しいもの巡りができそうなルート
行程はおよそ100Kmだけど
遅れを取り戻すと共に食べ物の楽しみ
そして会いたい笑顔にも会える1日になる
そう思えば準備にも勢いがついた
やってしまった...
荷造りと同時にここまでの行程を動画で撮影していたんだけど
そろそろ一度PCに落としておこうと余計なことを思い立ち
荷造りの片手間にやっていたら最後の最後でなんと
消去してしまった...
「え〜っ!!!」
すぐ年とで復旧法などを検索するもあわててしまってうまくいかない
しかも時間はどんどん過ぎてゆく
気分はどんどん曇り空
「はぁ〜なんてこった」本当に余計なことをしたことへの後悔に
ただ部屋の中をウロウロ
それでも時間はどんどん過ぎて行く
「別に動画撮ることがテーマの旅じゃないんだ」
「自分の旅は記録が全てじゃない」
後悔は消えないけれど自分に言い聞かせるように口の中で繰り返し
なんとか気持ちを切り替え出発することに
今は前向いて進もう
そうと決まったらあとは掛川までペダルを一回でも多くこぐだけ
暖かな太陽の日差しとすーっとひんやりした朝の空気
しばらく進むと目の前に広がる広大な富士川
カメラなんかに収まりきらない景色に
さっきまでのどんよりした気分もすっかり切り替わっていた
川を超えると軒先にビニール袋に詰められたミカンの無人販売が
至る所で見かけるようになってきた
ほんとに静岡に来たんだなぁ
できるなら軒先で足を止め
みかんを頬張りながら地元の方とおしゃべりなんて
旅の一番の楽しみが生まれる瞬間なのだけど
今回はもうこれ以上荷物も増やせないし今日は過去最長の行程に
後ろ髪をひかれながらも前に進むしかなかった
何本あるかな?
由比に入り裏道を進むと
朝からシャッターの空いている歴史を感じるお花屋さんを発見
通りがかりに覗き込むとスイートピーを発見
今日は朝静岡で”おにぎりのまるしま”のお母さん会いたいと考えていたので
お土産にはやっぱりピンクのレイがいいなぁ思っていたから
これはチャンスかもしれない
一旦通りすぎてしまったけれどやっぱり戻ってみた
まだ電気もついていない店内の入り口にあったスイートピーのバケツ
そぉっと本数を数えてみる「15...16...20...」よしこれなら作ることができる
数を確認したのでお店の奥の方に向かって声を掛ける
「おはようございまーす!」「はい!」
次の瞬間すぐそばの死角から花屋のお母さんが現れ思わずびっくり
「うわっ」「朝早くからすみませんスイートピー全部ください」
そんなところから仕事のことからこの旅のことまでお母さんに伝え
店先をお借りして作る許可をいただいた
午前8時の花さんの軒先で
おにぎりのまるしま”のお母さんとは数年前静岡のカルチャーセンターでのワークショップの時に朝ご飯に立ち寄って以来静岡に行く時は立ち寄らせてもらう
コロナのこともあり昨年末惜しまれながらも57年続いたお店を閉めることに
それでもレイを送ったり親交は続いていたので今回の旅では是非立ち寄りたいと思ってた
初めて会った時から一貫してお母さんの着ている服はピンク
ピンクが大好きなお母さんには絶対絶対ピンクのレイをって考えていたから
ここでスイートピーに出会えたのも何かの縁
編み上がったレイをお花屋さんのお母さんにも見せると
「あっらーーー すごいじゃ〜ん(静岡のイントネーションで)今度教えてもらいたいよー」と携帯で写真を撮りながら
「大阪まできをつけるんだよ〜」と見送ってもらい一路静岡へ
またいつかこの花屋さんに帰ってきますからねと約束して
花は思い出と共に...
左手にキラキラした海を見ながら快調に進む
今日は幸先の良いスタートを切れたし気分もいい
国道1号と東名高速と並走しているとスミレの群生を発見
地元の方に許可をいただき持っていた紙袋に摘ませていただくことに
すみれを編むなんて宝塚の東中さんご夫婦に編ませていただいた時以来かなぁ
取材のとき金婚式を迎えるって嬉しそうにしていた顔を思い出すな
あれから10年近く今もお二人元気にされているかな?
また会いに行こう必ず
さぁ静岡まであと12Km
おにぎりとスミレとピンクと笑顔
シャッターが少し上がった中のガラス戸を開け中に声をかける
「おはようございまーす」
だれ?という表情で眼鏡をずらし突っかけを履いて出てきてくれたお母さん
「お花の大谷ですよ」っていうと
「なんだ〜ヘルメットなんて被ってるからわかんなかったよ〜」と
「さぁ入って入ってコーヒーでも淹れようねっ」
話し出す前からお母さんのペース
変わらないお店の中で椅子に座り店内を見回していると
次々に質問やら近況やらその合間に「はいコーヒー」「みかん剥いたよ」と
そして「おなかすいてるでしょ」とおにぎりまで
次々押し寄せてくるお母さんのおもてなしの波にすっかり飲み込まれていた
テーブルがいっぱいになったところでお母さんもお茶を片手にようやく腰を下ろす
「で、なんで来ただって?」
また話は振り出しに戻るのであった(笑)
「お母さんお願いがあるんだけど少しここで作業してもいいかな?」
「いいよぉ〜」ちょっと語尾が上がる感じで
「自転車も充電させてほしいんだけど」
「なんでもいいよぉ〜 それより干し芋持ってく?この前電話したやつ」
話が噛み合ってるのかいないのか?
それぞれのペースで進めて行く
おしゃべりしながらレイ作り終いには見かねたお母さんが
スミレの選別まで手伝ってくれた(その模様はInstagramで)
やっぱりピンク!
レイも出来上がり自分も自転車もお腹いっぱい
最後にお土産のレイをプレゼント
「やっぱりピンクがいいなって思ってさ」
「な〜んかピンクばっかりになっちゃうだね」なんて言いながら
初めて会った時からお母さんはピンク
初めてプレゼントしたレイもピンク
やっぱりピンクなんだよな
「じゃまたきます元気でね」「はいよ!気をつけていきなさいよ」
そんな声で出発するも道を間違ってお母さんが後ろから走って
「そっちじゃないよこっちこっちここを曲がって!」
最後までお世話になりっぱなしでナビもあるのに方向音痴でごめんなさい
この続きは後編で
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