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外来がん治療認定薬剤師(APACC)の勉強方法

薬局薬剤師のおはなです。本記事は薬局薬剤師の私がどのようにしてAPACC試験を1度で合格し、A資格取得できたのかの要点を記載しました。
閲覧いただいている方の多くは業務と勉強を並行して行うので時間が足りない、認定資格取得のためにどう勉強したらいいのか不安といった悩みを抱えているのではないでしょうか。本記事はこのような皆さんの悩みを解消するための一助になればと思い作成しました。
最後までお読みいただくことで皆さんの不安を解消できるよう順序だてて記載しました。不安を少しでも減らしたい、学習効率を上げたい、少しでも勉強時間を減らしたい等々試験に悩みがある方は是非最後まで読んでみてください。
※本記事は私個人の勉強方法の要点をまとめたものです。これが答えというわけではないので参考としてご利用ください。


まずは結論【忙しい方のために】

忙しい方のためにまずは簡単に要点を5つ記載します。

①隙間時間にインプット、患者と接する時にアウトプット。
②インプットした日の寝る前にアウトプットする。
 思い出せなかった内容はその日と次の日に再復習する。
③得意分野から勉強して苦手分野は後回し。
④まとめノートは苦手分野以外作らない
⑤JASPO参考資料+セミナー資料をフル活用

私は上記5点を意識して約6カ月毎日コツコツと勉強し、見事1度の試験でAPACC資格を取得することができました。
これらを意識することで無駄な時間を使わずに最短で合格へと近づくことができます。また、患者に問題がないかを毎回意識することでAPACCに求められている患者等をトータルサポートできる薬剤師の心構えを持つこともできます。各項目の詳細については以下に記載しましたのでそちらを参考ください。


①隙間時間にインプット、患者と接する時にアウトプット

私にとっての隙間時間は通勤、昼休み、業務の合間の3点です。
隙間時間が長く取れる時には書籍の読み込み、短い時間なら添付文書やインタビューフォームの一部を確認と使い分けていました。業務の合間を隙間と言えるかは環境によると思います。ただ私の場合は外来が途切れていて薬局業務で実施するには時間がない『帯に短したすきに長し』な時間は隙あらば簡単に確認できるものをチラ見するようにしていました。

アウトプットを意識についてですが、まず患者と接するときは『患者様から教えてもらう』の精神で対応することが重要です。もちろん資格取得した今でもこの精神を忘れずに対応しています。日々の業務に忙殺されてしまうとつい流れ作業のような対応をしてしまっていないでしょうか、またよく見る治療(レジメン)だからと患者との対話がおざなりになってはいないでしょうか。APACCの理念である患者をサポートできる薬剤師となるためにも資格取得する前からこの気持ちをもっていただきたいです。
では、実際に意識することですが、
『用法用量/有害事象/支持療法の妥当性/検査実施状況』
これを毎回確認します。もし1日10人の患者に対してこれら事項を意識したアウトプットを実施すれば月20日勤務なら200回、1年で2400回のアウトプットとなります。これだけの回数の出力を行えれば学習曲線(ラーニングカーブ)が上昇しやすい、毎日実施するので脳が重要な情報だと認識して長期記憶として保管されやすくなるといったメリットがあります。自身が触れている治療やがん種ならこれだけで他に時間をかけずに学習が進められるので是非実施してみてください。

②インプットした日の寝る前にアウトプットする。
思い出せなかった内容はその日と次の日に再復習する。

インプットした内容は必ずその日の寝る前にアウトプットしてください。ただしアウトプットと言っても①のようにがっつりとした内容である必要はありません。『勉強した内容を暗唱できるか』だけで大丈夫です。もちろん暗唱ではなく紙に書いた方が好きな人ならその方法でもちろんOKです。

では実際のやり方を具体的に紹介します。
皆さんが今日、大腸がんの術後化学療法で使用されるレジメンをインプットしたとします。そしたら寝る前に15分間前後で以下の太字内容を思い出せるか(アウトプットできるか)試します。

大腸がん術後化学療法で利用されるレジメンはCapeOX、FOLFOX、Cape単独、S-1単独、5-FU+l-LV療法、UFT/LV療法。StageⅢ以上なら基本的にオキサリプラチン併用。StageⅢで再発リスクが高いなら6カ月、リスクが低いなら3カ月投与どちらか選択。

この時のアウトプット方法は暗唱に限らず自分の好きな方法で結構ですが、個人的には短い時間で実施できる暗唱をお勧めします。紙に書くのがやりやすい場合はアウトプットの時間を15分より長めにとってください。
アウトプットを行ったときに太字すべて思い出せればその日の勉強は終了です。思い出せないものがあったら付箋やノート等の紙に思い出せなかった内容を記載し、その紙を次の日起きたら必ず目に付く場所に置いてください。こうすることで次の日朝一番で自身が思い出せない苦手箇所を復習できます。そしてその日の夜(勉強した日の翌日夜)に再度アウトプットできるか試して、アウトプットできたらその紙を捨ててしまいましょう。脳は物を捨てる時に『捨てられちゃうから覚えておかないと!』という仕組みが働くのでより知識が定着しやすくなります。
アウトプットの時に1つだけ注意すべきことがあります。それは『デジタル機器を使用したアウトプットはしない』ことです。脳はいつでも確認できる情報は記憶しづらく、思い出しにくくなるといった性質※1があります。この性質を回避するために是非アウトプットは暗唱か紙に書くといったアナログな方法をお勧めします。
(※1:この性質はデジタル健忘症やグーグル効果と呼ばれることがあります)

③得意分野から勉強して苦手分野は後回し。

皆さん薬剤師国家試験の時を思い出してください。得意科目なら苦にならず勉強できるのに、苦手科目は見るのすら億劫になる、このような経験はないでしょうか。この人間みんなが持つ性質を利用して勉強する習慣をつけようというのがこの項目の醍醐味です。
やり方はいたってシンプルです。まずは1つ、この勉強なら続けてて苦にならないといった分野を決めてください。すぐに決められない人は触れる機会の多いがん関連の薬や治療内容から始めるのがお勧めです。普段から触れているなら覚える内容も少なくて苦手意識を持ちづらくなります。この決めた内容について①と②で記載したことを続けて下さい。これが毎日続けらてると勉強することが習慣化します。習慣化すれば勉強しないと落ち着かない様な気持ちになってきます。この時に初めて苦手分野や振れたことがない分野に手を出して知識を定着させていきましょう。
最終的に『歯磨きしないと気持ち悪い』の領域まで気持ちを作り、習慣になればゴールはすぐそこです!!

④まとめノートは苦手分野以外作らない

まず大前提ですが、私は普段の業務と勉強を並行して行う人にとってまとめノートを作るのはもったいないと思っています。なぜなら世の中には既にガイドラインやJASPOのセミナーといった情報がまとまった資料が存在するからです。仕事と勉強の並行はただでさえ忙しく、学習する時間は趣味などの時間を削って生み出す貴重な時間です。その貴重な時間を1秒でも無駄にしないためにも⑤に記載するような資料などをフル活用してください。もちろん購入するのにお金はかかりますが、皆さんの貴重な時間を節約できるものと考えれば必要な経費ではないでしょうか。

しかし、例外的にまとめノートが必要なケースがあります。それはタイトルのとおり苦手分野です。苦手分野は得意分野と比べてインプットするためにかかる時間、触れる回数を増やす必要があります。この対策のためにはまとめノートを作成し、無理やりでも触れる機会を増やしてください。
まとめノートを作るときに注意すべきはスマホを利用せずに持ち運べるサイズの紙(ノート)にまとめることです。②で記載した通り、人はデジタル健忘症が働くのでいつでも簡単に見れるデジタル情報はインプットに不向きです。『覚えづらい分野×インプットに不向きな媒体』の組み合わせは皆さんの貴重な時間をゴリゴリ削っていきます。この無駄を減らすためにも是非持ち運べる紙を利用してください。
内容をまとめる際にはWordなどで一度まとめて、持ち運ぶのは印刷した紙という形式は有効だと思います。Wordならまとめノートと別に一部空欄を作って自分専用の問題集が出来上がります。これなら1度にまとめノート(インプット)、問題集(アウトプット)が作れるので時間効率がとてもいいです。参考までに当時私が作成していたまとめノートを添付してみますので良ければ参考にしてみてください。
※添付資料は2020年度時点のものです。古い情報がありますのでこの資料はあくまでまとめノート作成の参考程度に使用してください。


⑤JASPO参考資料+セミナー資料をフル活用

既に記載した通り、勉強時間を確保するためには趣味などの貴重な時間を削る必要があります。この貴重な時間を少しでも確保するためには必ずJASPO参考資料やセミナー資料をフル活用してください。ご存じのとおりAPACCはJASPOが認定する資格です。そのJASPOが「この資料を参考にして勉強してね」と資料を提示してくださってるのにこれを活用しないのはもったいないです。強制するわけではありませんが、学習効果+時間効率を高めるためにもこれらの資料を活用してください。

ですが、全資料を活用するとお金だけでなく、読み込むために時間もかかってしまいます。なので『1冊に絞って勉強したい!』、『いろいろ選択肢があってどれを活用すればいいのかわからない』といった方向けの記事を作成しましたのでこちらもご参考ください。


まとめ

私の学習方法の要点5つを再度記載します

①隙間時間にインプット、患者と接する時にアウトプット。
②インプットした日の寝る前にアウトプットする。
 思い出せなかった内容はその日と次の日に再復習する。
③得意分野から勉強して苦手分野は後回し。
④まとめノートは苦手分野以外作らない
⑤JASPO参考資料+セミナー資料をフル活用

日々多忙な業務と並行して資格取得するための時間を確保するのは難しいことです。それに体力も気力も持っていかれてしまい、日々業務の効率も落ちてしまうかもしれませんし、プライベートの時間中でもゆっくり休めなくなってしまうかもしれません。皆さんがこのようなことにならないようこれらを意識して学習を進めてみてはいかがでしょうか。

本記事が皆さんの学習の一助になれば幸いです。
次回以降ではJASPOに限定せず、面接でミスしないための要点をバイアスや行動経済学の点も踏まえて記載します。

最後まで閲覧くださり、ありがとうございました。

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