見出し画像

明るい方へ。なめらかな社会を目指して【 #完璧じゃないけどはじめたい 】

15年前の私に、「10年ぐらい先の未来では、顔出しをしないアーティストが増えてるよ。いろんな職業の人が個人で発信しているし、動画のプラットフォームからたくさんのスターが生まれているよ!」と伝えたら、どんな顔をするんだろうか。

たった15年で、メディアは大きく変化し、それに呼応して多様な発信者たちが生まれています。
2008年(平成20年)の日本の出来事を見てみると、「新語・流行語大賞」は、エド・はるみの「グ~!」と「アラフォー」。大河ドラマは『篤姫』がやっていた年で、他にも『ラスト・フレンズ』や『コード・ブルー』がやっていたらしい。(懐かしい!)

「#完璧じゃないけどはじめたい」によせて

どうも、音声プラットフォーム「Voicy」のメディアチームで、パーソナリティサクセスをしている林絵里香です。

今回はVoicyで今週やっていた特集「#完璧じゃないけどはじめたい」に絡め、メディアやプラットフォームができることを考えてみました。

この特集は、3月8日の国際女性デーに向けて、ジェンダー平等について考える機会を設けたいと考え、開催したものです。

なめらかな明日のために

「ジェンダー平等」が広くうたわれるようになりましたが、日本にはまだまだ課題が多いのが現状です。みんなこの状況を少しでも良くしたいと思っているはずなのに、なぜ前進していかないのか。「自分が完璧ではないのに、なにかアクションをするのはよくないんじゃないか」と、立ち止まってしまいがちなのではないでしょうか。それは私たちVoicyも同じです。もちろん、完璧なくらい積極的に活動している人や企業はいて、頭が上がりません。ただ、完璧じゃなくても、たとえ最初は誤解が生まれたとしても、はじめることに意義がある。そう考えました。
「完璧じゃないけどはじめたい」特設サイトより

上記の文章にもあるように、実際にジェンダーについて何か思うことがあったときに「私みたいな人間がこんなことを言っていいのか」と思い、躊躇してしまう人も多いはず。私自身も、違和感があったときにすぐに口に出せず、後で「アレって絶対に怒ってよかったよな……?」と思うこともしばしば。

Voicyで実施したアンケートでも、「ジェンダー平等のために行動したいと考えたものの、躊躇したことがありますか?」という質問に対し、「躊躇したことがある」と20.1%の人が回答していました。
躊躇した理由として「周りの視線が気になった」「自分(たち)が正しい行動ができているかわからないままだと、行動できないと思った」という回答が多かったようです。言葉にすることって難しいですよね。

Voicyニュースリリースより

Voicyとしても、「完璧じゃなくていい。まずは何かをはじめたいと思えるような機会をしたい」という想いから、このテーマを設定しました。

そして、私自身もジェンダー平等について、最近感じたこと、考えたことを、まずはアウトプットすることからはじめたい!と思い、筆をとりました。

ジェンダーギャップが解消し、インクルーシブな社会に向かうために、できることって何だろう。
そんなことを考える機会になったら嬉しいです。

ジェンダー平等と、金子みすゞ

何を書こうかと考えたときに、最初に頭に浮かんだのが「金子みすゞ」でした。「こだまでしょうか」や「大漁」「私と小鳥と鈴と」などの詩で知られる詩人です。

教科書でみすゞの詩に出会い、やさしくて温かい、そして想像力がくすぐられる詩の世界に、心を奪われました。そして社会人になってからも、事あるごとにみすゞの詩に励まされてきました。

ただ、みすゞがどんな人生を送ったのかは知りませんでした。ちょうど最近加入したNHKオンデマンドに、『100分 de 名著』の金子みすゞ詩集回があったので見てみることに。

『金子みすゞ名詩集』とNHKテキスト『100分 de 名著』(林私物)

番組やテキストを見て、初めて知ったことはたくさんあったのですが、今回ここで伝えたいことは2つです。
1つは「みすゞは雑誌メディアの中で生まれた詩人であったこと」。もう1つは「みすゞはジェンダーギャップのなかで生きていたこと」

雑誌メディアから生まれた詩人

みすゞが生きた大正時代は、雑誌文化が始まった時期。ビジネスパーソン向けの雑誌はもちろん、少年誌や女性向けの雑誌が盛り上がっていたんだそうです。

みすゞの家は書店であったことから、小さいころから多くの雑誌に触れていました。そんな生い立ちもあり、雑誌に自作の詩を投稿するようになったそうです。発表する場があったから、みすゞは自身のクリエイティビティに気づき、磨くことができたんですね。

ジェンダーギャップのなかで

多くの雑誌に掲載されいたみすゞ。でも、入選しているメンツを見るとほとんどが男性でした。みすゞのような女性詩人は、当時とても珍しい存在だったのです。

みすゞは、自分の詩集を出版することが目標でした。雑誌で入選するような男性の詩人たちのなかには、詩集を出した人もいたようですが、みすゞにそういった声がかかることはなかったそうなんです。

教科書でみすゞの詩に出会った私からすると、この事実にはとても驚きました。が、時代を考えてみると納得するしかなかったです。女性がアーティストとして評価され、生きていくことがとても難しい時代だったのです。

目標が叶うことはなく、みすゞは26歳という若さで自死します。

といった事情を踏まえながら、みすゞの詩を読むと、悔しさや時代への諦めを感じ、ぎゅっと、胸が締めつけられます……。

多様な声が集まること、多様な人が聴けること

冒頭の話に戻りますが、現在では様々なメディアやプラットフォーム、サービスが増えたことで、多種多様な発信者が増えました。

15年前だと、テレビに出ることぐらいしか有名になる方法はありませんでした。でも、今はYouTubeやTik tok、InstagramやTwitterなど、それぞれの媒体で影響力を持っている発信者がたくさんいます。また、テレビだけでなく、Abema TVのような新しいテレビの形も出てきました。

雑誌メディアの盛り上がりによって、詩人・金子みすゞが誕生したように、新しいメディアやプラットフォームが生まれるということは、それまで日の目を見ることのなかった人たちにスポットライトが当たることだと考えています。

「音声だからできること」「音声だからできる人がいる」ということ

実際、Voicyで働いていても、それを実感しています。

音声コンテンツは、動画が画像制作よりも編集コストが低く、発信者が手軽に配信をすることができます。Voicyのパーソナリティ(発信者)には、忙しく毎日を過ごしている方がほとんどです。例えば、ビジネスの最前線をいく経営者や、子育てをしながら働いている方々などがいます。

一方でリスナーは、今まで情報のインプットがしづらかったシーンでも、手軽に情報を得られるようになりました。朝の身支度やランニング中、家事の最中に「ながら聴き」しているリスナーが多いです。

Voicyには子育てや教育について話しているパーソナリティも多く、そういった放送を聴くリスナーの多くは家事をしながら聴いているようです。パーソナリティのモンテッソーリ教師あきえさんは、インタビューで以下のように話しています。

私の放送も「家事をしながら聴いています」というお声がナンバーワンですね。他には「朝起きてキッチンで家事をする時間に聴いています。それが毎日の習慣になっています」というお声や、お化粧中や子どもが寝ている間に聴いているという方も多いです。
子育てママと音声コンテンツは好相性!『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』著者、モンテッソーリ教師あきえ氏が語る音声の魅力とは

音声コンテンツの強みによって、他のメディアやサービスで発信がしにくかった方々が発信ができ、様々なシーンで聴けることは、とても意義があることだと感じています。

多様な声がネット上に集まり、それを誰でも手軽に聴くことができる。これはVoicyが、プラットフォームとして社会を豊かにするためにできることだと思っています。「音声だからできることがある」「音声だからできる人がいる」ということは、Voicyをやっていてすごく希望に感じるんですよね。

Voicyのパーソナリティは、人生の先輩のような人たちばかり。キャリアを見ると本当にすごい方々ばかりなのですが、皆さんがいろいろな苦労を経て今の自分があることをVoicyの放送で伝えています。それもまた、私にとっては希望です。きっと多くの生き方に悩んでいる人たちにとっても、希望であるに違いないです。

金子みすゞの詩に「明るい方へ」という詩があります。その詩のように、Voicyやそこで発信するパーソナリティと出会った人たちが、すこしでも明るい方へ向かえるといいなと思います。そういう場所があることで、きっとよくなっていく。そう考えています。

「#完璧じゃないけどはじめたい」メインビジュアル

今回はVoicyのトークテーマ特集「#完璧じゃないけどはじめたい」に絡めて、ジェンダー平等について最近感じたこと、考えたことを書いてみました。

ここからテーマについて話しているパーソナリティの放送を聴くことができます。ぜひ気になるタイトルの放送から聴いてみてください◎

放送の感想やジェンダー平等についてはじめてみたいことがある方は、ぜひ #完璧じゃないけどはじめたい をつけて、Twitterなどに投稿ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

先日お花屋さんのワークショップでつくった
ミモザのタペストリー!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?