見出し画像

はじめてのクーリングオフ

♪♪♪♪(激しいドラムに合わせてだんだんと盛り上がるコーラス)♪♪♪♪

ドレミファ!╭(°ㅂ°)╮

ドレミファ!╰(°ㅂ°)╯

ドッドドレミファ!!!!⁽⁽◝(๑꒪່౪̮꒪່๑)◜⁾⁾

だ~~れに~も~~~内緒~で~~~~~



初めてクーリングオフをしました。


訪問販売がやってきてそのまま流れで契約してしまったのでクーリングオフという方法をとりました。備忘録、兼誰かの参考になればと思い顛末をnoteに記すことにしました。決して特定の会社を貶したり、「これが正しい方法です!」などと吹聴する意図はございません。何か困っていたら然るべき場所に相談してください。この記事はあくまでエンタメとしてお楽しみくださるようお願い申し上げます。


訪問販売がやってきた

ある日の昼方のことである。一人の男が、ベッドの上で惰眠をむさぼっていた。この狭い部屋の中には、この男のほかに誰もいない。

なぜなら単純に筆者が一人暮らしだからです。時間は午後3時、暇な学生らしく普通に寝ていました。

インターホンが鳴り響いたので寝ぼけた頭で応答すると、何やら電気の契約の件でやってきたらしい。ふ~んと思いながらドアを開けると、「めっちゃ彼女寝取ってきそうな男」と、「筋肉体操に出てくる弁護士の人」との間に生まれた子のような男がワイシャツをまとって立っていました。うわあ営業マンだ~~。

まずはこの時点で反省ポイント①です。配達の予定もないのに平日の昼間にやってくるヤツの相手をしていいことなんて一つもありません。だいたいNHKかキリスチックな証人か日蓮系の政党を持ってない方かNHKです。ここでの最適解はクソほどうるさいインターホンの電源を切ってもう一度眠りに就くことでした。


とりあえず話を聞いてみると、小林祐介(仮名)曰く「今の電気プランよりもお安くなります。今のプランだと、使ってなくても電気量を支払わなければいけないんですけど、こちらのプランですと使った分だけで済みます。今って電力自由化がされていて、お好きなプランを選ぶことができるようになってるんですね・・・・・・」とのこと。よく分からないけど良さそうなことしか聞こえなかったので、言われるがままに渡された書類に名前とか電話番号とかを書きました。

渡されたボールペンを走らせていると、「そういえば、今ご契約されているところから送られてくる検針票っていうこのような紙はございますか?」と小林が聞いてきます。一瞬何のことか分からずにキョトンとしていると小林が「その紙に書いてある情報の中で供給地点特定番号お客様番号というのがご契約なさる時に必要で~~」と説明をしてくれました。電力会社から送られてきていつもポストに入ってるけど碌に見ずにとってあるあれか、と思い至り、私は部屋に戻って書類の山からそれらしいものを掘り出す作業にとりかかりました。

はいここが反省ポイント②です。「電気 訪問販売」で検索をかけると、上位のページでは全て、検針票の取り扱いに注意せよとの啓発が書かれています。悪質な訪問販売では検針票の情報を得ようとしてくることが多いらしいので注意をしなければいけません。逆(検針票を求めたら悪質)が成り立つかは分かりませんが……。


なんかおかしい

このあたりで目も覚めてきて、「要求されることが多すぎる」「スモールステップでこちらへのストレスを減らそうとしている割に契約完了までの道筋全体を教えてくれない」「名刺貰ってない」「それどころか小林の名前も聞いてない」「聞いたことない会社名」「電気の人にしては爽やかすぎる」「そういえばYouTubeの筋肉体操の動画ってなんで定期的に編集を変えて上げ直されるんだろう」など、おかしな点がいくつも思い当たりました。

あ~~ヤバいやつかもな~~~と思いながらもここで追い返す勇気はありませんでした。

眠気と焦りとによって電気の書類とガスの書類を間違えて持って行くという素のボケを披露し、話が頭に入って来ず「カイシャ…?」「ヒキオトシ…?」などと愚鈍なトロールのような返しをしても、小林は仏のような優しい眼差しで対応してくれました。

まともな人間ならもっとイラついた態度を見せてくれるはずです。小林には申し訳ないですが、恐らく小林はまともではない

どうやって逃げおおせようかと考えながら愚鈍な対応を続けていたら、今度は小林が銀行口座の情報を要求してきました。

これはチャンスだと思い「通帳どこ行ったかな~~~」とトロールの家捜しを演じながら、「(会社名) 電力」で検索をかけました。なるほど、詐欺とかではないがダメなやつだ


消費者センターに電話

「ごめんなさいね~~通帳どっかいっちゃったみたいで」とトロールなりに誠意を込めて謝ったのだが、小林は「イヤでもその情報がないと契約ができなくって~~、みなさん同じように書いていただいているので~~~、あと銀行の情報とご印鑑だけで十分なんですよ~~~~」と譲らない。

ここで私の不信感が伝わったのか、小林は名刺を差し出してきた。なぜ今更身元を明かすんだ。名刺には契約書の企業名とは異なる企業名が書かれていた。なるほど、「代理人」ってやつだな。

どのタイミングで追い返そうかと迷っていると、私の心の中の女子生徒がこう叫んだ。

「えーマジ クーリングオフ童貞!?」
「クーリングオフ童貞が許されるのは小学生までだよねー」
「キャハハ」

なんだと!?そこまで言うならやってやんよ!!!!!!!!!


このまま小林を追い返せる自信もないし、郵送代でどうにかなるならいいかなと思うくらいには弱気になっていました。まあクーリングオフってやったことなかったし、せっかく成人してるんだから一回くらい経験してみたかったという好奇心もありました。調べてみると、この手の電力会社の乗り換えは、8日以内ならクーリングオフでどうにかなるらしい。


意気揚々と支店番号と口座番号を書き、あとは分からせ棒(印鑑)を突っ込むだけだと思ったその瞬間、重大なことに気が付いた。

「あの……朱肉ってあります?」

そういえば偶然にも朱肉を切らしていた。スポンジみたいな部分はあるけどカッスカスだ。

小林は安心しきっていたのか表情を強張らせて焦り始める。

「ちょっと試しにそのまま押してみてもらっていいですか?」

言われるがまま判を押す。

紙が凹んだだけだ。マジで一切の朱がつかない。心なしか私の分からせ棒も恥ずかしさ故に縮んでいるように見える。

・・・・・・。

気まずい沈黙が流れる。どうする、小林。

「じゃあ……ちょっと100均行って朱肉買ってきます!!!

マジか、小林。何がお前をそこまで駆り立てるんだ。


思いがけず小林の監視から外れる時間ができた。

これで念のために消費者センターに確認をすることができる。


ここで本記事で初めて有用な情報を提示するのだが、「188」で電話を掛け、自宅の郵便番号を入力すると地域ごとの消費者相談センターへの電話番号を教えてくれる。

与えられた番号にかけると、柔らかい声のお姉さん(と呼んだら喜んでくれるであろう年齢の女性)が電話に出た。

事態の状況を話そうとすると、まず年齢と職業を聞かれた。この二つの情報を提供することでようやく相談の受付ができるようになるようだ。さすがお役所。

企業名を出して電力の訪問販売が来た旨を伝えると、クーリングオフが可能であることと、その方法を詳しく教えてくれた。お姉さん曰く、同じ企業名をこの日に何度も聞いたらしい。やっぱりそういうことなんだな~~~。

メモを取りながらお姉さんの話を聞いていると、再びインターホンが鳴りだした。小林が朱肉を携えて帰ってきたのだ

もうちょっとで説明終わるから待って~~~と祈りながらインターホンの音を消す。暑い中待たせてごめんな小林。


お姉さんの説明が終わり、電話を切った。その途端、ドアを叩く音がする。

コンコンコン「すいませーーーん 〇〇さーーん」コンコンコン

おい小林、どうやって入ってきた。うちはオートロックだぞ小林


「すみません友達から電話かかってきちゃってて」

苦しめの言い訳をしながらにこやかに小林を労わる。

「ホントすみません、お手数おかけしちゃって」

「いえいえ、いいんですよ。それにしても今日暑いっすねぇ~~~」

ちょっと小林が馴れ馴れしくなった。親愛ポイントが上がったのか?


その後は小林が暑い中買ってきた朱肉で印鑑を押した。細かい段差のあるところで押したからかなり歪んでしまったけど、あれで大丈夫なのだろうか。


これで終わりかと思ったら、この後に本人確認の電話が来るらしい。「5分後くらいに電話がくるんで、その時はスピーカーオンにしてまた外に出てもらえますか?一緒に聞きますんで!何聞かれても『大丈夫です』とか言っておけばいいんで!!」と小林が言うが、かなりすごいこと言ってるよね?大丈夫なの??

その後電話がかかってきたので小林の前で対応をした。その電話は若い女の声で、氏名・生年月日の確認、契約内容の確認等がされた。「契約は強制だとか、マンション全員が契約してるだとか営業の方に言われてないですよね?」と念を押された。何をかは分からないが、恐らく何かを徹底している。社会、オソロシイ。


契約解除(クーリング・オフ)

さて、ここからが本題です。

まずは消費者センターのお姉さんに聞かれたことを箇条書きでまとめていきます。

・契約書に相手の企業名があるか?→YES
・契約書にクーリングオフについての記載があるか?→YES
・その営業マン(小林)は契約書に書かれている企業の人間か?→NO
検針票を見せろと言われたか?→YES
供給地域特定番号お客様番号を教えたか→YES
クーリングオフをする意思があるか→YES

次に、お姉さんに教わったクーリングオフについての知識をまとめます。

・クーリングオフは文書を郵送することだけで成立する
・文書は封書ではなく、はがきにすべし(封書だと「そんな文書入ってなかったよ?」という言い逃れが成立するかもしれないから)
・クーリングオフの成立期限は、この場合は契約書を受け取った日を含めて8日以内
・郵送に出した日が8日以内ならOK
・契約解除したあとも、念のため元の電力会社に確認の電話を入れるべし(乗り換えの処理がされてしまっているかもしれないから)
・はがきの両面のコピーをとってから郵送すべし
・郵便局で「特定記録郵便」として郵送すべし(記録が残るから)

最後に、はがきの内容をまとめます。

・題は「契約解除通知書」(「クーリングオフ」は法律用語ではない)
・内容は 契約年月日、サービス名称、販売会社(契約書にある企業名)、代理店名(小林の会社)、担当者名(小林)、(縦書きなら)「右の契約は解除します」
・サービス名称がなければ「電気に関する契約」で良い
・最後に はがきを書いた年月日、自分の住所、氏名
・宛名は「(企業名) 代表者様」(個人名を宛名にすると、「そんな人いませんよ」と言い逃れができる)

実際に書いたときには、独立行政法人国民生活センターの「クーリング・オフ(テーマ別特集)_国民生活センター」のページ内容も参考にしました。


コンビニではがきを買い、自分の字の下手さに嫌気がさしながらも通知書を書ききり、無事に郵送することができました。

かかった費用は、はがき代63円と特定記録の郵送代160円で、合わせて223円でした。まあ色んな経験ができたし、かなり安い授業料かなと思います。


果たして、無事に契約解除ができているのか。

今後もしトラブルが続きそうなら再びnoteに書きます。



全然「誰にも内緒で」じゃなかったな。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?