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尾瀬ヶ原だけが尾瀬じゃない。ハードコア "尾瀬" ハイク 110km

2018.8.17-20  3泊4日 110km

昨年8月に歩いた記録です。丁度同じタイミングでサバイバル登山家の服部文祥さんが会津駒ケ岳スタートで奥利根源流域を遡行していましたが、「尾瀬周辺を大きな山塊でとらえると面白い山旅ができる」みたいなことを後日どこかでおっしゃっていて、自分と全く同じ考えで同じ時期に同じ山域を歩いていたことに強くシンパシーを感じました。自分はハイカーなので、歩く道は全然違いますけどね。。そうなんです、尾瀬は東西南北を繋げると山塊としてはとても広く、東は奥鬼怒、西は奥利根、南は谷川、北は南会津とドカンとボムれます。ハイカー目線で地図を眺めると、林道やロードもつなげて大きな輪っかが描けることに前々から気づいてはいたのですが。。お盆明けの夏休み、宿題を片付けるかのごとく、計画を立てました。東の奥鬼怒がこの時点ではまだ不明瞭でしたので、少し端折りましたが、尾瀬を大清水口から入山、尾瀬沼、桧枝岐、会津駒、裏燧、尾瀬ヶ原、笠ヶ岳、湯ノ小屋温泉、宝川温泉、朝日岳、清水街道と歩き、清水to清水で繋いでみました。3泊4日、おおよそ110kmの長丁場です。タイプの異なるトレイルが連続し、通い慣れたエリアをまた違った視点で楽しむことが出来ました。以下、長距離を歩くための技術と体力を駆使したハードコアハイキングのご提案です。

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1日目 
大清水ー尾瀬沼ー七入ー桧枝岐村

2日目 
桧枝岐村ー会津駒ケ岳ー富士見林道ー御池ー燧裏林道ー尾瀬ヶ原ー見晴キャンプ場

3日目 
見晴ー尾瀬ヶ原ー山の鼻ー鳩待峠ー悪沢岳ー笠ヶ岳ー湯ノ小屋温泉ー宝川温泉

4日目 
宝川温泉ー朝日岳ー清水峠ー清水街道ー清水集落

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1日目
石打から電車とバスを乗り継いで大清水口。急いでも歩き始めは午前11時。沼田と会津を繋ぐ旧沼田街道を北上。一ノ瀬までは樹林の中に道が隠れてます。一山超えると尾瀬沼に到着。ランチを済ませすぐに沼山峠へ。バスの停留所にはトイレと売店。少し補給。小雨で肌寒い。トイレ脇から七入方面への下り。ここは残雪期にスキーで突破済み。無雪期は楽勝。涼やかな渓流沿いのトレイルです。下りなので快調に七入りまで。桧枝岐村まではロード歩き。頑張ってキリンテ橋まで歩いたらその先はバスに乗車。登山ではなく歩き旅なので臨機応変に。桧枝岐村についたら温泉と食事。商店もあるので補給が可能。キャンプ適地は少ないが、目を凝らせば最高の場所がきっと見つかるはず。

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■桧枝岐村の立ち寄りスポット
燧の湯(温泉)
開山(たち蕎麦)
まるや(たち蕎麦・飯)
桧枝岐コロシアム(ローカル歌舞伎)
JA桧枝岐村ストア(商店)
駒の湯(温泉)
あした天気(洋食屋)

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2日目
2日目は先が長いので日の出前に出発。会津駒の登山口からトレイルへ。越後の山とは雰囲気が違う。そこはかとなく東北の山の雰囲気。水場で補給。丁度週末で人は多い。たおやかな稜線を山頂手前まで。駒の小屋前でランチとドライリセット(装備の天日干し)。山頂へは登らずに小屋の前から富士見林道へ。ここから先の縦走路は人がほぼいない。踏み跡はそこそこ明瞭。ぬかるみあり。視界の先には燧ケ岳と越後の山々。丁度奥利根エリアを裏側から眺める感じ。全部繋がる感覚。時間はタイトに進行。御池に3時到着。売店でアイスとお菓子とジュースを購入。休憩時間は10分しかない。燧裏林道から尾瀬ヶ原は高速ハイク。アップダウンは無い。秋は最高のルート。日暮れてくる。なんとか明るいうちに見晴らしキャンプ場。受付をすませ、まずは風呂。ジュースとお菓子は購入可能。トイレで水を汲み、キャンプサイトの奥にテント設営。木の下で放射冷却を避ける。食糧は木につるし、ネズミ対策を。翌朝は5度まで気温が下がった。

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3日目
日中の熱さを避けるため夜明け前から行動開始。朝露に濡れながら尾瀬ヶ原を突っ切る。朝日が出たら山の鼻。トイレを済ませたら鳩待峠へ。オンシーズンなら鳩待峠は飲食可能。寒い時はストーブもある。休憩後、至仏山方面へ。小至仏手前でルートを左に。直前の水場でしっかり補給。悪沢岳方面は人影無く、ぬかるみ多し。途中笠ヶ岳手前でランチとドライリセット。笠ヶ岳を超えると藪が濃くなる。このエリアは熊の気配が濃い。荒廃した小屋を過ぎると急下降。足がヘロヘロになった頃、ようやく林道にで出る。その先も湯ノ小屋集落に出るまで林道とトレイルが交互に。近年道が荒廃してきたのでルート確認は慎重に。林道から再度トレイルに入るところは見つけにくい。ロードに出たらバス停まで少し歩く。時間があれば途中の湯ノ小屋温泉で入浴も可。バスで宝川温泉へ移動。約20分。宝川温泉の食堂で食事も可。入浴を済ませたらおやつを買い込みテントが張れる場所まで移動。水の補給は忘れずに。奥の林道をしばらく歩くと開けた場所あり。温泉から30分ほどの距離。

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4日目
最終日。いよいよ谷川エリアに接続。安定の夜明け前行動。ヘッドライトを頼りに長い渓流沿いの林道を歩く。途中のトンネルとかめちゃくちゃ怖い。明るくなるタイミングで丁度登山口に到着するように出発時間を調節(林道なら暗くても安全に歩けるから)。登山口以降も長いトラバースが続き、宝川の渡渉ポイントへようやく到着。ここは川幅もあり増水時は危険。その先も小さい渡渉が続くのでシューズは濡れっぱなし。このルートは1度歩くだけでシューズがボロボロになります。開けた河原でランチとドライリセット。渓流から離れると一気に朝日岳まで直登。日差しをさえぎるものがなく、ごっそり体力を奪われる。ここでハンガーノックにならないように食糧補給は気を付けて。馬蹄形縦走路に接続すると谷川連峰が正面にドーン。帰ったきた感が半端ない。清水峠が小さく見える。なかなか到着しない。日焼けのダメージが徐々に蓄積。足も終了間近。清水峠からつづら折りの旧街道を下り。宿場の跡地を過ぎたら開けたダム(河川工事中)に出る。プールで下半身をアイシング。あとは集落までの長いロード歩き。運が良ければ工事車両を捕まえてヒッチハイク。明るいうちに清水集落のバス停へ下山。最終日が一番キツく、HP残りゼロ。筋肉疲労と紫外線ダメージからの回復に2日。まさにハーコーな山旅でした。

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・装備
パイカパック、ごみ袋(パックライナー)、ツエルト、農ポリシート、山と道マット、化繊キルト、枕、カルデラコーン、エバニュー600、カトラリー、ウールパジャマ上下、ビニールベスト、ビニールソックス、トイレセット、ウォシュレット、プラティパス水筒(2Lと3L)、ソフトフラスク(500ml)、ソーヤー浄水器、モバイルバッテリー、手ぬぐい、バグネット、メッシュチャップス、アルコール250ml、サコッシュ、バンダナ、トレッキングポール等

晴れ予報だったので雨具は省き、体幹と足元だけ濡れないように対策。初日の小雨はビニールベストで凌げた。寒い時も保温着の替わりになる。寝袋の中でも使用。キャンプ地が全て土の上だったのでマットはロールマットにした。小屋泊や固い地面の場合はエアマットを選択する。メニューに合わせてアルコールストーブを選択。その他も最小限にして、一応最軽量装備を心掛けた。ベースウェイトで言うと2.3kg。その分水をしっかり持った。短パン半袖だったので蚊対策も万全。メッシュチャップスは大活躍。肌寒い時は腕にはめたり、朝露から生足を守る使い方も習得した。重量については食糧が3泊分で2.7kg、水なしのパックウェイトが燃料込みで5.2kg。最低気温は朝の尾瀬ヶ原で5度。テント内は温かく10度前後。温泉で身体を温めたので防寒着なしでも問題なかった。あとはしっかり食べること。

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・食事
朝食 ベーグル
昼食 ピタパン&カレー
夕食 味噌そうめん
行動食 チョコブラウニー&ポテチ
ドリンク ライチ水&ミルクティー

「良い点、悪い点」
火力の弱いアルコールストーブに合わせてラーメンではなくそうめんを選択。これは成功。ただ満足感はラーメンより劣る。ランチのピタパンは失敗。パサパサで形も崩れがち。ナンのほうが旨い。朝食のベーグルは問題ないがフルーツは持つべきだった。満足度が違う。新たな発見はマスカルポーネにブラウニーを砕き入れて混ぜるとティラミス味になる。これは悪魔のスウィーツだった。他、商店での補給や飲食店の利用もできるので、不足分は現地で補える。

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・温泉
1日目 桧枝岐村 燧の湯
2日目 見晴キャンプ場 燧小屋
3日目 宝川温泉 宝川温泉汪泉閣   

尾瀬は温泉が豊富。尾瀬が原や尾瀬沼、御池でも入浴が可能。周辺も奥鬼怒温泉、桧枝岐集落、湯ノ小屋温泉、宝川温泉と毎日どこかで入浴が可能。ついでに洗濯もできる。日本のハイカーは綺麗好きなのだ。

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・ドライリセット
夏場は雨も多く、夜間の結露でも装備は濡れてしまう。日差しの強い日中に装備を積極的に乾かすべき。結露で濡れたツェルトや寝袋も夏場なら5分で乾く。ランチを食べる前に必ず濡れたギアを広げよう。温泉で洗濯した衣類も午後の日差しでほとんど乾くはず。

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・広い山塊
仮に東の奥鬼怒を絡めた場合、群馬、栃木、福島、新潟と4つの県にまたがる山域となる。地図は山と高原地図、「尾瀬」と「谷川岳」の2枚を使用。残雪期は更にルートが自由に引けるので、このエリアは一生遊べる気がする。残雪期なら越後三山も含め、奥利根エリアを更に奥深く旅することが出来るのだ。スキーとパックラフトを使い、尾瀬を横断して銀山湖を船で渡るとかね。

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