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企画で使える!ユーザーストーリー【企画の道具箱 #14】

みなさん、こんにちは!
今回は「ユーザーストーリー」についてご紹介します。
ユーザーストーリーと聞いてどんなものをイメージしますか?
一般的にはシステムを開発する際にユーザーが求めている機能を整理するための方法のことを言います

しかし、実際にはシステム開発のみだけではなく、新規事業開発や新サービス、新製品の開発でもユーザーが求めている要求を整理したい時がありますよね。そんな企画にも利用できる汎用性の高いユーザーストーリーをご紹介します!


ユーザーストーリーとは?

ユーザーストーリーとは、プロダクトを実際に利用するエンドユーザーに何を提供するのか、そしてその目的は何かをエンドユーザーの視点で書く要件定義の方法の1つです。
エンドユーザーの視点に着目するため、専門用語はできるだけ使用せず、一般的な言葉で説明します。ユーザーストーリーを作成することで、ユーザーのニーズをより深く理解でき、ユーザーストーリーに基づいてテストを行うことで、品質の高いサービスを開発できるようになります。

ユーザーストーリーのサンプル(項目もサンプルです)

用途「こんな時に使える!」

ユーザーストーリーは顧客体験の実現に必要な機能、具体的なソリューションを明確にしたい時に使えます。
エンドユーザーの視点から記述されるため、その機能がユーザーにとってどれだけ有益であるかが明確になります。
また、エンドユーザーがプロダクトやサービスをどのように利用するかを理解する助けとなります。これにより、ユーザーエクスペリエンスを向上させるための機能や改善点が特定され、それに基づいて必要な機能が明確になります。

ユーザーストーリーの作り方

「ペルソナ(Who)」「機能(What)」「得られる価値(Why)」を明確にするのが一般的なユーザーストーリーですが、今回紹介するユーザーストーリーは、シーンを明確にして要求の抜け漏れを防ぐ「When」と、具体的な要求を明確にして実現方法の解像度を上げる「How」も併せて記述します。
「What」と「How」は記述内容が似てきますが、ユーザーが何をしたいのか(What)という本質的な要求と、どのように実現するのか(How)という手段を分けて考えることをお勧めします。

1. 「いつ(When)」を考える

まずは「いつ(When)」を考えます。「いつ(When)」とは、「ユーザーがそのプロダクトについてどのような行動をするか」です。WhenだけでなくWhere(どこ)要素も含めた場面設定をすることもあります。
百貨店の体験型店舗サービスにおけるユーザーの行動の流れをイメージしながら、具体例を考えてみましょう。

(例)体験型店舗サービスの最初の「いつ(When)※シーン」
ユーザーが体験型店舗を利用するためには、体験型店舗を知っていないと行くことができないですよね。なので、まず最初にユーザーが体験型店舗について知る認知の場面から考えます。
ただ「体験型店舗の認知」だけでは具体性にかけます。どんなタイミングで認知をするのか考えてみましょう。
例えば、店舗スタッフが百貨店に来店したユーザーに対して直接アプローチをしたり、SNSなどで広告を出してアプローチをしたり…など考えられます。

アプローチは既存顧客以外にもあるはず。もれなく書き出してみましょう。

実際の洗い出しプロセスとしては、態度変容モデルやカスタマージャーニーマップ、ストーリーボードを併用することが有効です。ユーザーの行動パターンや体験を踏まえた上で、それぞれのシーンを具体的な「When」に分解する作業を行います。
それぞれの記事もございますので参考にしてみてください。

2. 「誰が(Who)」を明確にする

続いて「誰が(Who)」を明確にしましょう。その前にシーンから登場人物を洗い出しておくと良いでしょう。作成していく段階で追加しても問題ありません。
例えば「店舗スタッフによる店舗に来たことのある顧客へのアプローチ」だと「店舗スタッフ」が「誰が(Who)」にあたります。

登場人物を洗い出して該当する「誰が(Who)」に○を付けると管理が簡単です。

3. 「何を(What)」を明確にする

続いて「何を(What)」を明確にしましょう。具体的に何をしているのかを書きます。一般的にはWhatで機能を明確にしていきますが、ここではユーザーが何をしたいのかという本質的な要求を「~する」という行動の形式で明確にします。

何をしているのかを書くので語尾を「〜する」にすると分かりやすいです。

4. 「なぜ(Why)」=目的を明確にする

続いて「なぜ(Why)」=目的を明確にしましょう。ユーザーにとって価値のある機能を開発するために重要です。
その開発するプロダクトにより、どんな目的を果たせるのか、ユーザーがその機能を必要とする理由を記載します。ユーザーにとって本当に必要な機能を開発するために、ユーザー視点に立って考えることが重要です。

もし自分が「誰が(Who)」だったらと想定してみましょう

5. 「どうやって(How)」を明確にする

そして「どうやって(How)」を明確にしましょう。
この「どうやって(How)」を明確にすることで、どのような機能が必要かが分かるようになります。

何を(What)をどう実現できるかを記載しましょう

How は実際の機能に繋がるため、スマホで実装するのか?Webサイトで実装するのか?両方で実装するのか?などツールを想像してみましょう。
項目にも実装できそうなツールを記載しておくとイメージしやすくなります。

6. 機能案の優先順位づけをする

ユーザーの行動と必要な機能を明確にしたら、最後に実装する機能の優先順位をつけます。実際に書き出した機能をすべて実現しようとしても、スケジュールや予算を考えると現実的ではありません。

機能の優先順位を決めるには、以下の5つのポイントを意識することが重要です。

  1.  ユーザーにとっての価値
    ユーザーにとって最も重要で、価値の高い機能を優先的に実装します。

  2. ビジネスへの貢献度
    収益向上や顧客満足度向上など、ビジネスに大きく貢献する機能を優先的に実装します。

  3. 開発難易度
    開発難易度の高い機能は、開発期間やコストがかさむため、慎重に検討する必要があります。

  4. 依存関係
    他の機能に依存している機能は、後回しにする必要があります。

  5. リスク
    開発にリスクが伴う機能は、慎重に検討する必要があります。

上記のポイントを意識して、適切な方法で優先順位を決めましょう。

テンプレートとサンプルはこちら

おわりに

ユーザーストーリーは、ユーザーの行動をユーザー視点に立って考えることで、要求や機能を整理することができます。今回は一般的なユーザーストーリーに加えて、シーンを明確にして要求の抜け漏れを防ぐ「When」と、具体的な要求を明確にして実現方法の解像度を上げる「How」も明確にするようなユーザーストーリーをご紹介させていただきました!

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