2024年2月15日(木)の300字小説

 小さな会社なので、トイレ掃除は下っ端の私がやることになっている。洗剤を入れて便器をブラシで擦り、雑巾で拭き、床も拭く。実家にいたときはトイレ掃除なんて母任せだったが、今はそうも言っていられない。終業時間内に掃除をしていいことになっていることがせめてもの救いだと思う。
 トイレは男女個室が1つずつしかない。だから掃除も早い。
「あ、トイレもう入っていい?」
 先輩の白木さんが声をかけてきた。
「いいですよ」
「いつもありがとうね」
 こういうことにさり気なくお礼が言える白木さんはなかなかモテると思う。実際おばさま人気がすごい(若い女子は私しかいない)
 白木さんがトイレを出た後、便座が下がっていた。
「好き……」
おしまい

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