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一人暮らし(2024年3月11日(月)の300字小説)

 夕飯を作るとき、私はラジオを聴いている。パーソナリティの軽快なトークでネギを切ったりしている。ラジオは耳だけなので、テレビより作業向きだと思う。
 ジンギスカンを焼き、味噌汁を作っていると、母から電話がかかってきた。
「梓? どう、新生活に慣れた?」
「まだ、東京に出て一週間しか経ってないよお母さん」
 一旦コンロの火を止める。
「近くの地理には詳しくなった?」
「うん。最近この辺散歩してるから慣れたよ。大学までの道のりとかも覚えたし」
「そう。良かった」
「お父さんはどうしてる?」
「相変わらず忙しそうよ。今日も遅いみたい」
「二人とも体に気をつけてね」
「あなたもね」
おしまい

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