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【詩】烽火(のろし)

【詩】烽火(のろし)
作:hachi

烽火(のろし)があがった

数か月ふり続いた雪
純白のパノラマ
はるかかなたの山の頂に
突如、立ちあがった一本の烽火(のろし)
人間の勇気
気づいて駆け出す 小さな家臣
急げ

「わが君 烽火(のろし)があがりました」
王は静かに目を閉じる。
「応えよう」
「出発の準備を」
人間の覚悟
小さな家臣の 魂が駆け出した
ふたつめの烽火(のろし)が あがった

またひとつ
もうひとつ
夜空に星があらわれるように
銀色の世界につぎつぎと烽火(のろし)が立ち昇る
人間の祈り
最期の戦いのはじまり

わたしは烽火(のろし)に気づけるか

わたしは 烽火(のろし)と気づけるか

わたしは烽火(のろし)に応えるか

わたしは烽火(のろし)に沈黙してしまうのか


わたしのなかに王はいるか
準備は
できてるか
人間の選択

王が死ぬか
わたしが死ぬのか

夜が明ける










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