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大井川鐵道のトーマス号に乗りに

クリスマスの日、ヨーヨーに喜んでほしい一心で大井川鐵道のクリスマス特別仕立てのトーマス号に乗りに行った。

大井川鐵道はもともと、SL運行やアプト式電車で鐵道ファンの間では有名らしい。東海道線の金谷の駅で、日付け入りの厚紙切符をパチンと鋏で切ってもらうところから、ちょっぴりノスタルジックな旅が始まる。ガタゴトとゆっくり進む単線の車窓からは、大井川の穏やかな河原とのどかな茶畑がどこまでも続く。ハッとするような吊り橋や綺麗なダム湖も目を楽しませてくれる。

そんな路線で、夏休みとクリスマスの数日間だけ期間限定で、トーマスのコスプレをした機関車が運行するのだ!

もちろんそのチケットは大激戦。わたしは抽選予約に申し込んだけどあえなくはずれてがっかりしていたところ、何口も申し込んでやっと往復の1組が当たったお友だちが、さらに奥に行った温泉郷で一泊するからと、片道分を譲ってくれたのである。(ありがとう!)

子供騙しと侮ってはいけない。なんてったって、トーマスの皮をかぶった本物の蒸気機関車なのだ。

シュッシュしていて大迫力。石炭の蒸気はいい匂い!

終点の千頭駅にはコスプレしていない普通の蒸気機関車もいた。タイミングよくとまっているそばで眺めていたら、機関士さんがヨーヨーと一緒にその運転室に上げてくださって、本物の石炭や火室を間近に見学することもできた。わたしも実は蒸気機関車に乗るのは初体験。石炭はゴロゴロ丸くて何か動物のフンみたいだった。石炭の釜もカンカンに熱く、妙に生きている感がある。

黒くてピカピカでかっこいい!ファンがいるわけだね

千頭駅で開催されている「トーマスフェア」自体はトーマスのお友達のパーシーやジェームスと写真を撮ったりミニSLに乗ったりというのであっという間に見終わってしまうのだが、まさに駅をあげて、子連れのための授乳室やトイレや休憩室などが十分に用意されていて、折り返しの時間まで、小さい人と一緒に1〜2時間を過ごすにはちょうど良かった。

余談ながらこの辺の駅おこしマーケティングのセンスは、直島への入り口の港として、昔からは考えられないほどの大勢の観光客が通り過ぎるようになったにもかかわらず、中途半端なオブジェを何個か設置したくらいで、いけてる休憩室の一つもなく、土地が有り余っているくせに駐車場もかたっぱしから有料にしちゃって、足を止めてもらえる魅力的な仕組みがまったく作れていないわが故郷・宇野にも見習ってほしい。

ヨーヨーは人がいっぱいのフェアそのものよりも、おもちゃやさん(駅の売店)をひやかしたり、無料休憩室に設置されたプラレールコーナーで遊んだりするのが楽しかったようだった。

プラレールの車体、全部トーマスと仲間たち

そしていよいよ帰路。トーマス号は7両編成が子連れ乗車率100%。1時間半弱の道のりの間に、サンタさんが記念品を配ってくれたり、観光案内がトーマスの声で流されたりと、なかなか芸が細かい。

また、案外良かったのが、同じ時間に片道をバスのバーティで移動する人たちもいて、その赤い姿が追いつ抜かれつ見え隠れしていたこと。「どっちが早いかな?」と聞いたら、ヨーヨーは「トーマスが勝つよ」と自信たっぷり。絵本で読んだ、競争のエピソードを覚えているのだ。

最初にバーティーのオプションを聞いたときは、わざわざ脇役のバスに乗りたい人はいるのかしらと思ったけれど、それは片道は走るトーマスを外から眺められるということなので、実は一番いいプランかもしれない。(乗ってしまったらトーマスが引っ張ってくれてるとこは見えないからね)

トーマス号、何しろ目立つ姿なので、沿線の人たちが、みんな手を振ってくれる。カメラで待ち構えている人もいる。

東京からだと、新幹線こだまも使って、朝8時に都内を出て、夕方6時に戻ってくる弾丸旅行。いくら乗り物好きとはいっても3歳児の体力的にはギリギリだったので、本来は、やはり近くの温泉に一泊が良いんだろう。それでも、無理して行って本当に良かった。

ヨーヨーは3歳半。いつもあーちゃん(0歳)優先の母ちゃんに、急かされたり怒られたりしてばかりで、終日べったり独り占めできるこんな日はなかなかないのだけれど。

わたしは、今日のこと、多分忘れない。たぬきの素焼きを見たあなたの笑い声、本物の汽笛にびっくりしていた丸い目や、疲れて寝てしまったあどけない顔、全部がとてもかわいかった。

だけどあなたはちっちゃいから。あなたは、全部忘れちゃうのかな。

さみしいな、ヨーヨー。

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