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9月のアクアリウム

田舎の生家には池があった。父が庭の居間の窓から見下ろせるところを掘って、石を置いて、セメントで固めて作った和風の池である。私は当時小学校3年生くらいだったと記憶しているけれど、出来上がった池に入れる錦鯉を、地元のペットショップに買いに行った時のワクワク感を覚えている。

私が選んだのは白地に紅や青の斑点のついた「みるく」、妹が選んだのは真っ黒な「くろ」、弟が選んだのは金色の「マッキー」。それぞれ自分のっていう意識があって、毎日窓から餌やりして愛でていた。

夏祭ですくってきた金魚も、そこに投入した。多いときには100匹以上もいたけれど、あるときから夜な夜な飛来する鷺(さぎ)のレストラン状態になってしまって、被害を押さえるために網を貼ったり工夫もしたけど、小さい奴から少しづつ減っていった。

そして、その修羅場を生き抜いた金魚数匹は、数年したら鯉みたいに巨大になった。

さて、都会の我が家の小さなアクアリウムである。

去年から飼っている赤っぽい楊貴妃(ようきひ)メダカが自然減で3匹になってしまったため、この夏に、新たに5匹、青白い光のある幹之(みゆき)メダカを追加投入した。

新顔たちは、先住メダカが4センチはあるのに対して、その半分の2センチくらいで、まだ子供かと思っていたが、9月に入って毎日卵をつけはじめた。

同じ水槽には、食いしん坊のどじょうペアと、数で勝負のエビ軍団がいる。

介入しなければ先のメダカたちのように再生産を果たせないまま目減りして絶滅に至ること必至。なので、今年は、卵が産みつけられた金魚藻を他の水槽に移して様子を見ることにした。

そして昨日!水面近くにチラチラ泳ぐ、2、3ミリの幼魚の姿が確認できるようになった。やったー!!

最近のメダカって、青、白、赤、黄、黒、まだらなやつ、透き通ったやつまで、品種改良の果てのカラーバリエーションが実に豊富にある。観賞用として、ちんまいけれども錦鯉に負けないかんじなのだ。

庭のない都会暮らしのペット要件として「大きくならない」っていうのは尊いなあと最近思う。

ヨーヨーのペットのカメのコータスも、水陸、在来外来、いろんな種類の選択肢がある中から悩んだ末にミシシッピニオイガメにした決め手は、それが一番小さい(Max12cmにしかならない)ってところなのだ。

以前、うちら夫婦の「エビはペットか食べ物か論争」について書いたけれど、あの後もエビは着々と数を増やし育ち続け、見た目にもみっちりしてくるに至って、パッパもついに、多少食べられても自然淘汰として片目を瞑る気になったらしく、10匹ほどをコータスの水槽に移すことに賛成してくれた。で、結果として判明したのは、エビの方が断然すばしっこかったということ。

コータスは首を伸ばしてパクつこうとするんだけど、すぐ目の前にいてもピンピン逃げられて、全く…全く、ありつけないのだ。1週間以上経っても減る気配がない。

エビの奴らは絶対の逃げる自信がある様子で、コータスを恐れない。むしろ、時にはその小さな甲羅の上に悠々と乗って、水垢?をチマチマ掃除している姿さえ見られる。

ま、9月のアクアリウムはそんな感じ。飽きない。

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