弱くて愚かな人間が面白い
「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」というNetflixのドラマを見た。(タイトル邦訳にあたり原題「Orange Is the New Black」の ”the" だけわざわざ省いたのはなぜだ、と、つっこみたいところ。)
最初に前置きすると、舞台が女子刑務所とあって、同性のセックス・シーンが過剰。しかし美男美女100%の韓流ドラマとは逆で、うっとりするようなキャストはマッタク出てこないので、そういう期待をしてはならない。むしろ、正真正銘汚いシーンが多くて、ある種の耐性が求められる。…が!しかし!!その欠点を補って余りある面白さがあったので、ネタバレにならない範囲で紹介したい。
まず、登場人物は、不運な境遇から罪を犯して捕まった女囚か、弱さという意味では彼らと大して変わらない看守たちなだけあって、ここぞというところで、みんな頓馬な選択をしてしまう。たまに正しい行動をしても、だいたい報われない。
だけど、最初のうちは「うわ~、絶対ナイ」と思って半目を閉じてみていた彼ら一人一人を、そのシーズンが終わるころには(キャラによってはもっとジワジワと足かけ長い紆余曲折を経て)、不思議とちょっと好きになる。強烈なビジュアルもいつのまにかちょっと可愛く思えてしまうという、魔法のようなドラマなのだ。
振り返って考えると、一般的な善悪基準や性別定義を超越したところで、ある種の共感を呼ぶ因果律がしっかりプロットに埋め込まれていて、不合理な人間の世に希望が見えてくるような仕掛けになっているのだが、とりあえず、耐えられる人は、Season 2の終わりまで見て、そのマジックを体感してみてほしい。
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