言葉にならない言葉で

2歳のヨーヨーは寡黙な男だ。言葉は、語尾から取得する。パトカーは「カー」。クマは「マ」。大好きな納豆は「ト」。

ありがとうは?と言うと、ペコリとあたまをさげる、ごちそうさまは?勢い良くパチンと手をあわせる。さようならは、駆け寄ってタッチ。保育園から帰る時は、部屋中の先生や友達にタッチしてまわる。

保育園の帰り道でオモムロに、不思議なリズムで上半身を大きく左右に揺らしつつ、腰を入れてスクワットみたいな動きをするダンスを、無言ながらニコニコと踊りはじめ、何事かと思ったら、園のお友達がそこにいて「こんにちは」なのだった。熱帯雨林の奥に住む珍しい鳥の求愛ダンスみたいだった(相手も男児だったが)。

音楽がなくてもダンスってなりたつんだね。言葉でなくても会えたね嬉しいねって伝えられるんだね。

最近、ようやく一歩進んで、アンパンマンは「ァンマン」、救急車は「ッウーシャ」と、やはり語尾から、文字数が増えて来た。

それに、語尾に「ノ(なの)」をつける事を覚えて、「ドウジョノ!」や「バイバイノ!」の独自活用もする。それぞれ、どうぞじゃなくて「持ってて」、さようならじゃなくて「目の前から消えて(主に怖いもの、嫌いなものに対して)」という、命令形だけどね。

生まれが近いお友達がキラキラ星を完全に歌えてて仰天したのはもう一年くらい前なんだけどな、表現の発達経緯がゆっくり見られるのも面白いから、これはこれでよいと、もう、かあちゃんはひらきなおっている。


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