見出し画像

深海に突入して世界を救う

諸事情あって、先日MRIを受けた。台に寝転がって白い箱の中に入るアレというくらいの認識はあったが、避けようがないことだし自分の理解を超えてて怖いので、それがどういうものかは詳しく調べずに臨んだ。

それでも、事前に血液検査があったり、造影剤の点滴のための針を刺されたり、リスク説明の紙にサインさせられたり、一時間くらいかかると言われたりして否が応でも憂鬱な気持ちになるわけだが、控えの間で「MRIは被爆のない安全な装置です♪」という明るいトーンのDVDが流れていたので、その言葉をまるごと信じることにした。

ストレッチャーにうつ伏せになり、検査が始まると爆音が聴こえてきた。なるほどこれは、ヘッドホン必要だわ。「閉所恐怖症ではありません」という項目にチェックさせられた理由もわかった。

いわゆる「五感」というのはわかりやすい五つの特徴をピックアップしているだけで、実際は人体はもっと総体的で曖昧なもんだと思っている私は、まともに現状を捉えて、見えないけど強い磁気だか電気だかに曝されていると考えると、うわーって思っちゃう。先日せっかく屋久島に行って癒やされてきたのに、これはまるで逆作用…

しかも、造影剤というのが「入れますよー」という技師の方の声にあわせてチューっと入ってくるのが丸わかりなのだ!あ、いま指先までいった、腕満ちて肩まで行った、なんか背中の真ん中あたりに冷たいのが来てる、あー、首から上がってきてるーというのがハッキリわかっちゃう。自分、水風船って感じで、あまり気持ちよくない。

そういうストレスに囚われないよう、何か手がかりはないかと頭を巡らせて思いついたのが「深海」(あるいは「宇宙」でもよい)。現実では絶対行きたくはないが、ロマンを掻き立ててくれる世界。

もっと具体的にいうと、私はSFパニックや深海の巨大生物を扱った映画や小説が好きで、なかでも「深海のirrイール」という小説が何度も読み返すくらい好きなんだ。そのラストで、主人公が、小型潜水艇でたった一人深海に潜っていくシーンがある。それだ!

というわけで残りの時間、私は重要なミッションを帯び、片道旅行の覚悟で漆黒の絶対領域に単身突入する海洋生物学者の気分で過ごした。巨大コイルのたわむ爆音を誘導音として落ちた自己催眠の中で、謎の生命体、irrイールを探したけれど、遭遇する前にMRIが終わった。

深海潜水シミュレーションのこのサイト面白いよ!
表題写真は屋久島の、モフりたい苔。最初はこっちのイメージでなんとかリラックスできないかと思ったけど、流石に対極過ぎて無理だった。あまり言うと変な人みたい(いや既に十分、変な人か)だけど、ヒプノバーシングでガチに鍛えた自己催眠のテクニックには、めっちゃ人生を助けられている。そして、イメージライブラリのバリエーションという意味では、若かりし頃の乱読癖にもすっごく助けられている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?