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失われた共感器官

ゴルジ体って知ってますか?

細胞の構成要素の一つとして昔高校の教科書あたりで見たのを覚えている人もいるかもしれません。わたしは、数年前に「Re-genesis」というドラマを見て「ゴルジ受容体」というコンセプトに触れるまで忘れていましたが。

「Re-genesis」はカナダ産のサイエンス・サスペンスです。ちょっとマニアックですが、アメリカドラマとは一味違う皮肉がきいてて、わたしは好きな海外ドラマのトップ5に数えます。全体はフィクションだけれど、一つ一つのエピソードをサイエンスとして見せてくれるところが素敵です。

そのドラマの中で扱われるゴルジ受容体とは「人間においては退化してしまった共感器官。人間以外の動物ではまだ機能している。耳の後ろあたりにあり、言葉を介さずお互いを理解し合える。」というもの。

わたしはこれ見て、「それ、わかるよ、あるよね!」と思いました。科学的な根拠は確認していませんが、似たような機能がその辺にあるのは知ってる!

わたしは甘えん坊のオカメインコを飼っています。彼が掻いて〜って頭をグリグリおしつけてくる時、耳のあたり全開で来ます。(※写真の鳥はうちのオカメインコではなく、バードパークのキバタンです)

オカメインコをよく知らない人には、耳!?どこ?全開ってなにが?!って感じでしょうが、鳥達にはちゃんと首も顎骨もあるのですよ…

もう少し理解者が多そうな、猫でもいいです。彼等がニャ〜ンと甘えてくるとき、耳の後ろあたりかいてあげると毛をフワッと立てて喜ぶでしょう?動物はあそこに共感器官があって、言葉はなくても「大好き!」を発しているし、受け取っているのです。

人間では退化したとされるそのゴルジ受容体、ドラマの中では、主人公の一人、アスペルガーの天才科学者のそれが活性化してしまい、文字通り超能力者になります。他人が感じていることが分かってしまう。態度や言葉に出る前の、思考として言語化される以前の、下手したら本人の中で意識化されるよりも以前の人の感情を悟ってしまう。

しかし、善き意思を持った彼がただ大活躍をするという流れではないというところも。このドラマの渋くて好きなポイントです。人類の傲慢に対する警告がドラマの背骨になっています。

そんなフィクションではあるのですが、一方で、わたしは、自分の産後しばらく(1ヶ月くらいの短い間でしたが)、自分の退化したその器官が復活した感覚をもっていました!

生まれたての赤ちゃんて、嗅覚も聴覚もあるけれど、言語もわからないし、視覚も弱いし、海の中から急に空気の動きのある中に放り出されて、自分の四肢も思うように動かせなくて、コミュニケーションのチャンネルがまだどの感覚にも統合されていないから(語弊を恐れずに言うと)「虫」みたいなんですね。

赤ちゃんが泣いているのをあやす間は、わたしも必死で普通の人間的コミュニケーションを頑張るのですが(はなしかけたり、ポンポンしたり)、一方で、落ち着いて束の間ねんねしてくれているとき、信じられないくらい小さなその存在に寄り添っていると、自分の耳の奥が小さい音をたてて開き、大好きフェロモンがゴーっと音を立てて流れ出す感じがありました。

同時に赤ちゃんの感じていることも耳の奥で直接受け止めるというか、安らぎが直接流れ込んでくるので「耳をすます」感じです。

それ以来、「ゴルジ受容体」はフィクションではなくって、実は本当にあって、人間のそれも退化したけど何か残っているんじゃないかなと思っています。

その超共感的な感じわかるよって人、他にもいるんじゃないかしらと、妄想かもしれませんが、ひっそり思っていたことを今回書いてみました。

赤ちゃんでなくても、大好きな人やペットとくっついている時とか。

耳の後ろあたりでなにか感じませんか?

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