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アイドル業界改革宣言

初めまして。

#でぃんぷるっ (https://twitter.com/dimple_manager)の運営をさせて頂いております、東海林(しょうじ)健(けん)と申します。この度は本noteを開いて頂きありがとうございます。

本note投稿日21日の翌日22日に、横浜MMブロンテ(https://www.bronth.live/)にて、#でぃんぷるっはデビューライブを行います。

私は、#でぃんぷるっ の運営として、この4ヵ月間、立ち上げ~デビューまで、色々とお手伝いさせて頂きました。この立ち上げ~デビューまでの苦労話も色々とあるのですが、今回は割愛させて頂きます。

デビュー前日を控え、「自分がなぜアイドル運営をやろうと思ったか?」をどこかに記しておかなければと思い、このnoteを執筆するに至りました。

当たり前ですが、何事も始めるにはキッカケがあるはずです。読者の皆さんはアイドル運営をはじめる人々の動機を想像できますか?

アイドルが好きだから…

アイドルに提供したい楽曲があるから…

可愛い女の子と繋がりたいから…(体感、これが一番多い理由です)

様々な理由があります。はっきりいって、アイドル運営の仕事は辛く苦しいものです。そんなアイドル運営をわざわざ始める人間なんて、よほどの物好きといって過言ではないでしょう。自虐的に言ってるだけのように聞こえるかもしれませんが、これは本当です。
(恐らく業界に身を置く方々であれば、どなたも共感頂けると思います)

前置きが長くなりましたが、私がアイドル運営を始めようと(実はこれで2回目なのですが)思ったきっかけは、タイトル通り、アイドル業界を本気で変えたいと思ったからです。

アイドル業界は、端的に言えば、今かなりヤバい状況です。本noteでは、アイドル業界の ①何がヤバくて ②それをどう変えようとしているか の2つを記すことによって、これを「アイドル業界改革宣言」として世の中に発表したいと思います。

まずは、ヤバいことからお伝えしましょう。

ヤバいこと①:
アイドルを応援する人々が減っているor
盛り下がっている


アイドル業界は現在、苦境です。要するに、それは簡単に言えば、応援する人々が減っている、あるいは、応援している人々の雰囲気も盛り下がっているということです。

まず、コロナの影響は甚大です。コロナの影響は多岐にわたります。

コロナのせいで、接触というアイドルの中心価値である、接触の機会が激減しました。その文化をどう評価するかは別にしても、AKB48以降の「会えるアイドル」としての地位は、どんどん失われつつあります。むしろ最近の推し活は、リモートで非接触であることが前提です。最近のメンズアイドルを推すJKを思い浮かべて下さい。彼女たちは、映像の前で推しのグッズに囲まれながら、ホテルの部屋を装飾し、同担の仲間と写真を撮り、記念日を祝います。それが推し活です。
#もちろん、メンチカなど、接触が中心価値となっている業態もあります。ただそのメンチカですらも、接触だけが推し活ではないことがポイントです。

また、(私からするとこちらの方が手痛いのですが)オタク同士の交流機会も減少しました。コロナ以前であれば、ライブが終われば、オタク同士で飲み会をし、そこでライブの感想を語り合う、生誕イベントをどうするかを話し合うなど、オタク同士の積極的な交流とそのパワーがグループを支えていました。
残念ながら、コロナ禍はそれを失わせ、オタク同士の結束力が日々弱まっているのを感じます。アイドルグループを上に押し上げるとは、一種のアイドルー運営-オタクの団体芸であり、コロナ禍はそこに亀裂を走らせたのです。これは非常に痛いことです。

これは多くの業界人が見落としがちですが、現在のアイドル業界の苦境は、コロナだけではありません。

コンセプトカフェ(通称、コンカフェ)の出現も、アイドル業界から顧客を奪うに至りました。

ご存知の方は多いかと思いますが、コンカフェの提供価値は間違っても飲食ではなく、可愛い女の子(男の子)との接触機会です。そして、アイドルとコンカフェを比べると、その単価構造で圧倒的にアイドルは負けます。1分の接触で1000円を支払うアイドルと、1時間の滞在で3000円~4000円支払うコンカフェでは、どちらが接触機会として価値が高いかの軍配があがるかは言うまでもありません。
こうして、可愛い女の子としゃべりたい顧客は、必然的にコンカフェに流れるに至りました。コロナ禍により小規模飲食店の給付金があったことも追い風です。一部のアイドル運営事務所は、安上がりにコンカフェを立ち上げ、休業中は国から給付金を受け取るという知恵を働かせたのです。
#それが悪いと言っているわけではないですが…コンカフェの乱立を招いた(=コンカフェ自体の質低下や過度なサービス競争を生み出したこともまた事実です)

コンカフェだけではありません。インフルエンサーのビジネスモデルの変化もそうです。インフルエンサーも今や、接触でマネタイズするようになっています。インフルエンサーのレベル感にもよりますが、彼ら/彼女らがこれまで主力としてきたEC販売、広告(Youtubeなど)の単価と比べれば、接触の単価構造は魅力的です。既にファンを付けていて、そのファンが来てくれお金を払っていることが見越せていれば、インフルエンサーにとってこんなおいしいビジネスはない・・・と大人たちが入れ知恵しはじめたのです。
#私はこれを「インフルエンサーの墓場行現象」と名付けています

以上のように、コロナ禍という甚大な被害をもたらした外部環境変化と、強力な競合相手の出現は、自然とアイドルというコンテンツそのものの価値を下げることに繋がりました。これはアイドル業界にとって苦境です。この側面だけを取り出すと、間違いなくアイドル業界は被害者でしょう。

コロナという不可避の外部環境変化に襲われた…

既に人気のあるインフルエンサーがアイドル的ビジネスを始めてしまい勝てっこない…

そんな恨みつらみにも似た声が業界からは聞こえてきます(後者に関して言っている業界人は少ないですが)が、私から言わせてみると、これは「乗り越えるべき課題」のはずであり、「黙って指を咥えてみててどうするんだ」という話です。

そうです、これが次のアイドル業界のヤバい話に繋がります。

ヤバいこと②:
誰もこの苦境を課題と捉え、乗り越えようとしない

コロナは特にそうですが、確かにアイドル業界は、自分たちではどうしようもない外部環境変化に晒され、可哀想な業界です。

ですが、どんな業界にもこうした自力の範囲を超えた外部環境変化が起きるのは日常茶飯事です。

例えば自動車業界。ガソリン車への規制、EV車の標準化という外部環境変化は、日本の自動車産業にとって脅威でしかありません。100年に一度の業界大変革とも言われますが、これにぶちあたった自動車業界は、トップの企業(トヨタ、ホンダ、スバルなど)が一同に介し、危機を共有しながら、この未曾有の大変革に立ち向かおうとしています。
考えて下さい、普段は競合(アイドル業界の比ではないぐらいバチバチ)であるはずの他社であっても、業界全体のことを考えた結果、手を組むところは手を組もうという姿勢を彼らは持っているのです。逆を言えば、それぐらい深刻な問題だとの認識が彼らにはあります。

断じて言いましょう、アイドル業界は、指を咥えて、コロナ禍が過ぎ去るのを待っています。あるいは、ずる賢い(とここではあえて表現させて頂きます)運営であれば、コンカフェという新たな付加価値の源泉を発見し事業化しています。ただコンカフェを立ち上げることは事務所の存続には繋がっても、アイドル業界の変化に対応しているわけではありません。要するに、コロナ禍が終われば何とかなるだろうという極端な楽観的立場か、もうアイドルは終わりだという極端な悲観的立場かの2択しか存在しない状態となってしまっているのです。
端的にいえば、コロナ禍だからこそ可能なビジネスモデル、コロナ禍だからこそ取り組める戦略などに全く目が向いていないと言わざるを得ません。

「コロナ禍だからこそ可能なビジネスをやってる!」と反論する運営さんもいらっしゃるでしょう。例えば、コロナ禍で様々な配信プラットフォームが登場し、好調です。賛否はあれど、確かにオンライン型の接触が、コロナ禍によって良い副作用を得たことは違いないでしょう。これも一種のコロナ禍の工夫といえるかもしれません。

ですが、アイドルが好きなオタクはそれに満足しますか?

その結果、2年以上続くコロナによってオタクの心は冷めていませんか?

コンカフェに流れていませんか?

これが、「指を咥えている」と私が言っている状況です。オンライン型接触イベントをやっているだけでコロナ禍に対応しているというのは、まさにコロナの掌の上で踊らされている状態といっても過言ではありません。コロナがなければ、(少なくとも今の頻度と比べたら)オンライン型接触イベントはやらないでしょう。

重要な問いは、「コロナ禍だからこそあるべきアイドルの理想像とは何か?」です。これを誰も真剣に考えようとしてこなかったことが、まさしく危機です。

間違いなく言えるのは、これを考えなかった副作用はAfterコロナにこそ現れます。コロナ禍で発生した様々なトレンドは、断じて一過性のものではありません。Afterコロナでも形を変え継続します。

コロナが終わったが、オタクが声出ししなくなった…

コロナが終わったのに、オタク同士が飲み会にいって仲良くならない…

こんな声が半年後1年後に必ずや聞かれるでしょう。コロナはこれほどまでに、アイドル業界の在り方を変えるはずです。
ただ、アイドル業界に在籍する誰もが(少なくとも私の知りうる限り)この問題に真剣に取り組んでおらず、アイドル業界の構造変化を捉えようとしないことに違和感を覚え続けていました。
#長くなるため、ここでは具体的なエピソードを避けますが、後日気が向いたら更新しようと思います

簡単にまとめると…今のアイドル業界に対する私の認識は、

アイドルが好きな人が減っているor萎えている状況があるにもかかわらず、それがやばいということに気付けていない

という危機的な状況にあると考えています。

ここに私がアイドル運営を始めた理由があります。すなわち、

①アイドル業界はただいま現在、コロナ前と比較し、構造的な変化を迎えている。そのため、これまでとは打って変わった新しいビジネスモデルを掲げるたい。

②そして、この危機感を世の中にいる全てのアイドル業界人と共有し、真剣に今後のアイドル業界はどう進んでいくべきかを、全員で話していきたい

という2つのことを実践したいのです。これが、私の持つ「アイドル業界改革宣言」の骨子になります。

ここまでご覧になられて、「何を言っているんだ、俺は真剣に考えてきたぞ」と憤慨されている運営さんもいらっしゃるかもしれません。ありがとうございます、ぜひ仲間になってください。それはまさに同じ問題意識を共有していることの証左なのです。ぜひ、一緒に、アイドル業界の行く末を考えていきましょう。

余談になりますが、アイドル業界の協業とは、縁やコネで繋がるだけのただの「お仲間づくり」だとハッキリといいます。業界全体が右肩あがりのときはこれで全く問題ないのですが、現状のような業界が危機を迎えている状況だと、全員沈没となります。
私はこれを悪しき芸能の文化だと明言します。もはやアイドル業界は縁やコネだけでやっている状況ではありません。同じ志や共有する価値観を掲げ、ともに事業を推進する主体として動いていかなければ、この荒波に揉まれバラバラになってしまいます。
関連して言うならば、今でも目の上のたんこぶを潰す習慣がこの業界にはあります。これも悪しき伝統です。目の上のたんこぶになるような存在こそ、これまで自分たちだけでは解決できなかった課題を解決してくれるかもしれないという意味で、新しい風を吹かせてくれるかもしれないのです。そうではなく、目の上のたんこぶをすぐに潰そうとするのは、業界全体のことを考えれば、悪手でしかありません。
以上の話は、ヤバいこと②に関連する話でしょう。指をくわえるのでなく、減り続けるパイ(=オタク)をライバルを潰すことによって食うという意味では正しい戦略なのかもしれませんが、業界全体は先細りなのです。先細りの業界で安定したビジネスが出来ると、(少なくとも潰せられるほど力のあるリーダー的立場のアイドル運営が)どうして思えるのでしょうか?これは合理性を欠きます。

さて、「アイドル業界改革宣言」に話を戻しましょう。最後に、その具体的な方法論について、いくつかお話させて頂きます。

まずもって言えるのは、この改革は現在進行中であるということです。結論は出ていません。
今後、#でぃんぷるっ運営という立場を通じて、改革を進めていきます。

では、どういった計画があるのか?に触れましょう。

アイドル業界に生じたコロナ禍による構造的変化を捉え、新ビジネスモデルを立ち上げるために


何よりも重要なのは、顧客を知ることです。

これを読まれているアイドル運営の方に問いたいです。自身の運営するアイドルの現場に足しげく通うオタクが、どんなニーズや課題を持っているかを5個以上は言うことができますか?

言うことが出来れば、それはお客さんに目が向いていると言えると思います。ですが、恐らく、多くの運営さんは言えないのではないでしょうか?

既存のアイドルオタクのみに留まりません。それは今後自身の現場に通ってくれるかもしれない見込み客にも言えることです。
例えば、#でぃんぷるっの場合は、高校生と女性というターゲットを明確に据えています。
#既存のアイドルオタクだけみても、減少し続けるアイドル市場のパイを維持し続けるだけで精一杯です

マーケティングの世界では、ペルソナ設定とカスタマージャーニー策定が、何よりも重要とよく言われますが、要するにこれらの活動を真剣にアイドルのオタク(新規/既存)に対しても実践すべきということです。
#もしこれらを十全にやっているという運営さんがいらっしゃったら、むしろコンサルを我々が受けたいぐらいです

例えば、#でぃんぷるっ デビューライブでは来場者アンケート+デプスインタビューを通じて、ターゲット像を今後明確にしようと考えています。

私がやろうとしていることはマーケターの皆さんにとっては当たり前の動作のはずです。ただ、顧客を把握し、アンケートをとったりインタビューしている運営さんは、数えるほどしか見たことがありません。運営とオタクの会話の多くは、「オタクの面倒くさい問い合わせに答えている図式」でしかありません。それは本当にお客様を理解していると言えるのでしょうか?

危機をアイドル業界人と共有し、同じ志をもって協業するために


前述した通り、この苦境にあっても、蹴落とす・潰すことで競争優位を保とうとする運営さんも中にはいらっしゃいます。ただし何度も言う通り、それはアイドル業界全体のことを考えれば、悪手でしかありません。

アイドル業界は、参入障壁が低く、模倣もされやすいです。この構造は飲食やIT業界と一緒であり、それが故に、競争優位のポイントを見つけづらいという課題もあります。そのため、潜在的に協業がしづらい。変な話、協業して自グループのノウハウが他グループに漏れてしまったら、それはグループにとっての損失になってしまいます。

しかし、アイドル業界には素敵な文化があります。

そう、それは対バンです。アイドル業界にとっては、他グループと一緒にパフォーマンスをする(=協業)ことが、当たり前なのです。

つまり、自分たちのお客さんが奪われて上等、何だったら奪ってやるぜぐらいの気持ちで、リスクを恐れず他グループと協業する文化があります。これは非常に面白い。他の業界ではありえないことです。
#多数の店舗が共同で出資して開催する大型の飲食フェスぐらいでしょうか

こうした文化があるならば、ポイントは、顧客のニーズをとらえた形での対バンイベント設計だと考えられます。要するに、現在の対バンイベントは、軒並み出演者の集客力と価格しか差別化要素がなく、企画らしい企画が全く機能していない状態であることが問題なのです。

アイドル業界の新しい協業の在り方とは、対バン主催イベンターと対バン参加アイドルグループの運営が一蓮托生となり、イベントを一気通貫し、顧客(=オタク)のニーズにこたえることを通じて、各グループの魅力度をすべからくあげることができるような企画を検討することです。つまり、現在のように量を重視するのではなく、質を重視したイベントの座組が必要と考えます。
こうした企画段階からイベンターと運営(たち)が協力する場面は、私は見たことがないです。様々な要因があると思いますが、半ばあきらめに近いものもあるのだと思います。例えば、「企画を作ってもオタクには刺さらない」など。本当でしょうか?オタクの課題やニーズすらぼんやりとした状況でそう考えるのは早急と言わざるを得ません。

#でぃんぷるっ運営として、対バンイベントの設計は現在検討中です。ですがはっきりといえるのは、まずは顧客の課題・ニーズをつかむことでしょう。これをせずに机上で企画を考えても、絵に描いた餅で終わるに過ぎません。

長くなりましたが最後に…


ここまで読み進めて頂いた方、ありがとうございました。

所要時間1時間程度で一気に書き上げました。ここには書ききれなかった思いはまだまだありますし、全体的に根拠が薄い部分もあるかと思いますので、今後補足するような形で自分が体験したこと・実例を書き上げていければと思います。

今回は、アイドル業界の「ヤバい」をコロナ禍や競合の変化といった外部環境の目線から記載しましたが、内部環境の目線からのヤバさもあります。

それは端的に言えば、自浄作用がないということです。運営-アイドルのトラブル、アイドルーアイドルのトラブルなど、組織体制上の問題は特にそうです。10年間ぐらい同じ問題を繰り返しています。それは、この業界に蓄積や上積みがないということを指し示します。これもまたゆゆしき事態です。

今後、この点にも触れていきたいですが、今日は遅くなりつつあるので、明日に備えて休むことにします。

ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。

需要があれば、また投稿を続けます。それでは。

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