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お月見


真夜中の外は寒い。

人生のあらすじ。
4歳の時に母さんが出てって、
それからは殴られて育った毎日だ。

世の中は満月みたいに明るくない。


流れ星の作り方を知っていますか。

涙で瞳を潤して星を見る。
首を勢い良く動かせば、
星が流れたみたいに見える。

真夜中に家の外に放り出された
小学生の遊び方は笑えない。


ーーー

ふと思う。
家から出てった母さんが元気か気になる。

母さんはお金じゃ買えない。

孤独がデフォルト。絶望が教科書。
どうせ理解されない現実じゃん。

寂しくてどれだけ我慢したって
いい知らせが来ないってことは、
どれだけ待っても戻ってこないんだな。
って察する小学生。

現実を理解した当時の自分は焦る。
母さんの写真は、
時間が経ったらセピア色に褪せる。

お月見する時は団子を食べるのが普通。
それと同じように、
みんなの家では母さんがおるのが普通。
普通とか常識が、自分にとっては苦痛。

夜空は綺麗じゃけど、
一家団らんの食卓の方が綺麗な眺め。
ってことに気づかん人が多い。

朝でも昼でも夜みたいに目の前が真っ暗になる。
自分の人生、ハッピーエンドになりたい。

ーーー

恋愛をするようになってわかってきた。

最初は愛し合っとったとしても、
何気ない会話からも喧嘩が増えていって、
徐々に愛情が薄れていったんかな。とか。

もしくはコンドームをつけずにsexをして
望まずに産まれたタイプの子どもですか。


人の恋愛を責める気はない。
ただ、参観日とか運動会とか、
ちょっぴり寂しかっただけ。

セブンイレブンのおにぎりがお袋の味。
って事実は、客観的に見ればやっぱり哀れだ。

骨の髄まで絶望が染み渡っとる。

真実は知らんし、今さら知ろうとも思わん。
毎日夜が明けるみたいに悲しいことは続かないって信じて、産まれた事実が敗北って思いたくない。

「親が2人揃ってないと幸せじゃない」
って考え方は無神経すぎて耳障り。

どこにおるんかわからん母さん。
距離は離れとっても、同じ月の下におるよね。

ーーー

コロナ禍で暗い世の中でも、
月だけはいつ見ても明るい。

お月見と人生は同義語。
どっちも下を向いてたって仕方がない。
あと、どちらも明るく在るべきだ。

鈴虫の音色。夜空を見上げたら月が明るい。
現実を受け入れて上を向いて人生を歩ければ、
自分の未来もきっと明るい。



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