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無人餃子販売店の店舗立地についての考察

コロナのタイミングで急速に増えた無人餃子販売店。同時期に流行った高級食パン店はブームを終えたようですが、無人餃子は私の観測範囲内でもいまだ店舗を増やし続けているように感じます。

本日、滋賀県湖南市のビック(イオン系列のスーパー)を訪れた際も、テナントとして無人餃子販売店を見かけました。ただ、スーパーでも冷凍餃子は買えますし、価格で考えるとスーパーの方が安いはずです。「なぜスーパーに出店することにしたのだろう?」という疑問がわきましたので、考察してみることにしました。

無人餃子販売店の顧客は誰か

まずは顧客についてです。無人餃子販売店はコロナの時期に家食の割合が増えるのと同じように、店舗を増やしていきました。顧客としては献立に一品を増やしたい主婦がメインターゲットだと考えられます。
また餃子は国民食であり、特に餃子はビールに合うつまみとしての代表格でもあります。この点を考慮すると酒のつまみを欲する中高年の男性客もターゲットだと考えられます。

無人餃子販売店の適切な販路

今回の「なぜスーパーに出店することにしたのだろう?」というのは、4P分析での販路の分析にあたります。無人餃子販売店がどこに出店するかというと、あまり法則はないように感じます。私の近所で考えると、コインランドリーの駐車場や、ドラックストアの駐車場、路面店のラーメン屋のとなり、スーパー銭湯の玄関など、どこにでも出店する印象です。

スーパーという選択を考えると、無人餃子販売店の顧客として想定した献立に一品を増やしたい主婦や酒のつまみを欲する中高年の男性客というのは、確かにスーパーには多いです。そのため無人餃子販売店単独で考えると適切な立地戦略だと考えられます。

類似傾向にあるスーパーのテナント

3C分析である競合分析を踏まえると、スーパーは餃子の競合にあたります。今回の舞台である無人販売店では18個500円であった一方で、無人販売店があるイオンビックでは餃子12個で170円で買えました。
スーパーは総合食料品販売店であり、無人餃子販売店は餃子専門店です。これだけの価格差があってもスーパーという競合の店舗内に立地することは、さほどマイナスに働かないということかもしれません。

よくよく考えてみると、スーパーのテナントには、「スーパーにも売っているものを売っている店」は多いです。

  • 唐揚げ店

  • 精肉店

  • 直売所

  • 和菓子屋

類似傾向にあるテナントのことも踏まえると、「自社製品と同じカテゴリの商品がスーパーにも置いてあるかどうか」は店舗展開のときにはさほど関係のないことなのかもしれません。どちらかというと、テナント料に対してどれだけの来店客数を見込めるかが重要なのかもしれません。
その点では、今回の舞台となったイオンビック湖南のテナント賃料を調べてみると、13,2000円からとなっていました。テナント賃料ってそれくらいなものなのですね。

湖南114:11.43坪 食物販、食品(和菓子、洋菓子、テイクアウトフード等) | イオンタウン・テナント募集サイト (aeontown.co.jp)

無人餃子販売店の売り上げ規模

最後に、そもそも無人餃子販売店の売上はどれくらいのものなのかも気になったので、まとめた上で終わりにします。

一方、餃子の売上は、店舗の立地にもよるが、今のところは1日あたり4~6万円が平均値となっている。餃子の原価率は約20%で、他の加工食品と比べても低く、販売数が伸びるほど、機械化により製造コストを下げることができる。来店客が持続していけば、従来の飲食業よりも儲かる採算構造になっている。

全国に増える無人餃子販売所の運営モデルと採算構造 -JNEWS-

この記事では1セット1000円の前提で計算されていたため、1日に40~60セット売れているということです。無人餃子販売店は24時間営業が多いため、1時間に平均2~3セット売れているということになります。

実際に私が訪れた店舗では、5時半頃から15分程度眺めていると3セット購入されていました。ちょうど夕飯前ということもあり、もっとも販売数が多い時間帯だったのかもしれませんが、売れ行きは好調のようでした。

参考になった記事

餃子の雪松のビジネスモデルを図解~コロナ禍で注目される無人販売所のビジネスモデル~|Nomiyama Masanari (note.com)
「ギョーザ無人店」急増、3年で10倍 全国1400店舗に増加も、出店ペース鈍化 | 株式会社帝国データバンクのプレスリリース (prtimes.jp)

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