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澁澤龍彦とは…?

一番好きなエッセイスト・澁澤龍彦。1987年に亡くなってるから、もう随分前の人、ということになります。こんどの新しい一万円札の肖像・渋沢栄一の遠戚。

1987年に亡くなってる…1928年生まれ…本気で「昔の人」なんですけど。わたしがなぜこの人のエッセイが好きかというと、びっくりするほど文章が古びてないから。むしろ今の人が書いたとしてもこれだけスタイリッシュに技巧的にかっこいい文章は書けないと思います。惚れ惚れする。

現代に「スタイリッシュで技巧的」な文章のニーズが有るかはさておき……

晩年には小説も書いているけど、わたしはこの人のヨーロッパを題材にしたエッセイが一番好きです。そういうファンも多いと思います。博覧強記という言葉を地で行くように、話があちらからこちらへと飛んで、知識が山ほど出てくる…豆知識好きの私のような人間には、宝箱を開けたようなまぶしさです。

この人のエッセイ自体は、澁澤的主観が入っていて、その主観が強烈すぎるので、たとえば大学の卒論の資料にするわけにはいかないんですけど……それでも一冊読み終えるごとに自分が豊かになる感覚はなかなか他の人では味わえません。

知識が豊かになるエッセイといえば例えば司馬遼太郎の『街道をゆく』もそうなんですけど……「大学の講習会へ行った」というより「背伸びをしてパーティーに紛れ込んで帰ってきた」ようなドキドキした「豊か」感。

漠然としたこと言ってないでおすすめを一冊……といわれたら、とにかく『胡桃の中の世界』。河出文庫で電子書籍にもなってます。ヨーロッパ・東洋の歴史とか怪しげな伝説のエッセイで、うーん「澁澤風味」が凝縮してるかなあと。


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