見出し画像

「大学受験の始まり」

私は全然大学受験に熱心じゃなかった。大学受験のことを考えてちゃんと勉強した人に申し訳ないなと、46歳の今で心が痛むほど、全然勉強してなかった。それでも志望校に行けたのは、本当にラッキーだったとしか言いようがない。

それでも、大学受験というものに懐かしい思い出もあったりする。

部活動に熱心だった。放送部で、アナウンサーで、アナウンスコンテスト、全員で力を合わせて発表、3年の夏休みまでそれを無我夢中になってやって、本当に自分に力が満ちている感じがあった。楽しかった。

夏休みが終わって、9月になって、屋外に通じている渡り廊下に立っていたら、すーっ涼しい風が吹いた。その時に、勉強しないとな、と初めて思った。それが3年間で初めて浮かんだ感情だった。

高校生活の楽しい部分が終わっちゃったとしょんぼりしたわけじゃない。私も先に進まないとと思った。次の段階に入ったんだ。

それは全然あきらめとかじゃなくて、でも希望でもなくて、とても自然なことだった。

私は数学がめちゃくちゃ苦手だったので、数学専門の塾に通い始めた。それまで塾なんて…と甘えて思っていたところがあったけど、やっぱりそういうことをした方が良いと体の中から自然にそういう思いが湧いた。

私の受験はあの涼しい風から始まったし、それが力強い風でも冷たい風でもなくて、体を吹き抜けるような気持ちの良い風だったことを覚えている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?