イギリスの小学校選び 私立と公立は何がどう違うのか?どちらが良い?
お父さんです。
このブログは地元の公立中高で学び、地方大学を卒業した庶民派お父さんがひょんなことから子供二人の都内私立小学校受験を経て、またまたひょんなことで子供たちがイギリスのボーディングスクールに合格するまでの道のりを綴っています。
今回の記事について
今回の記事は、イギリスで小学校を選ぶ際に、私立か公立でどんな違いや特徴があるのか書きたいと思います。前回の記事でイギリスにおける小学校のチェックポイントについて書きましたが、それを踏まえて今回は具体的に私立か公立の違いや特徴についての記事です。どちらが良い/悪いの話ではありませんが、互いの差や特徴などについて整理しています。皆さんの参考になれば嬉しいです。
さて本日は私立小学校と公立小学校の違いについて書きたいと思います。
前回我が家は私立の小学校(Independent school)に通う事になったと書きました。我が家が経験したことを元にいくつかのポイントについて書きたいと思います。私立と公立の小学校について、色々な違いがあると思いますが、主な違いは以下の7点です。
①入学の条件
②学費
③クラスの人数
④カリキュラムの内容
⑤学校の設備
⑥生徒の雰囲気
①入学の条件について
私立については、前回書いたように学校訪問をして、簡単なテストと学校との面談(大体アドミッションオフィスと校長 or 学年主任の先生)を経て入学に至ることが多いと思います。よほどの進学小学校や有名校では、テストも厳しめだと思いますが、そのようなケースは多く無いと思います。
一方で公立については、一定のルールがあります。
■住所が確定している必要があること。
■学校との距離が、ある決められたルールに沿っている事
(いわゆる学区的なもの)。
■また学校に空きがある事
が必須条件です。
■嬉しいのはYear4(日本の小学校3年生)までは私立、公立でも英語力が問われることは小学校においては殆ど無い事(英語が話せなくても入学できる)。
ただし、私立の場合はYear6にシニアスクール試験があるため、Year5以降は英語テストが課されます。我が家の娘のこれで学年を一つ下げました。
したがって、評判の良い小学校を狙ってその周辺に引っ越してくることはイギリス人にとってもよくある事のようです。また日本と同様、良いとされている住宅街の周辺や大学の近くにある小学校のレベルは相対的に高く、その逆もしかりという感じでしょうか。日本人駐在員の多く住むエリア(フィンチェリーロード、ハムステッド、スイスコテージ近辺)は概して良いとされているエリアなので、評判の良い公立小学校も多いイメージです。逆に治安がそこまで良くないエリアについては学校の評判もそこまで高くないケースが多いという印象だと思います。
②学費
私立の小学校は12,000-18,000ポンド/年間です。とにかく高いです!日本から派遣されている駐在社員の場合、会社からのサポートがあれば負担感は減ると思いますが、やはりそれなりの負担感はあります。特に裕福ではない我が家にしてみれば結構なレベルでの死活問題な感じはあります。一方で公立小学校は基本的には無料です。また私立の場合、8歳からボーディングスクールという全寮制の学校に通うケースもあるようです。
③クラスの人数
私立の場合、15-20名程度/クラスです。
公立の場合は、20-30名程度/クラスというイメージでしょうか(日本と同じくらいのイメージ)。
④カリキュラムの内容
公立小学校は国で定められたカリキュラムに沿っていますが、私立小学校についてはカリキュラムは大きく違うと思います。学業だけでなくスポーツや芸術(ドラマや音楽)に力を入れている事が多いのが特徴だと思います。例えば最初に驚いたのが語学の選択肢。我が家の子供たちが通っていた学校では以下の4つの言語フランス語、スペイン語、ドイツ語、ラテン語から選べましたが、公立の場合はスペイン語とフランス語の2つだったのが違いでした。ウチの子供がいきなり、ラテン語の勉強をしているのを見て「なんじゃこりゃ」とビックリしたのを覚えています。まぁ我が家の子供達もどの程度ラテン語を理解していたかは微妙なところですが、とにかくトライしていた事は間違いないです。あとは図工(Technology & Science)の時間に、3Dプリンターを使って自分が書いた絵のクルマを3次元で作ってみよう等、大人の私から見ても「すごい!」と思うような授業がありました。
スポーツでは、サッカーやラグビーは公立私立に関わらず一般的にやるスポーツだと思いますが、我が家の子供たちが行ってた小学校ではゴルフ、クリケット、アーチェリー、ライフルがクラブ活動の選択肢にありました。ライフルはさすがにビックリです。
最後にこれが最も大きな違いですが、私立の場合はシニアスクール(Senior school=中学)に上がるための試験をYear6=日本では小学校5年生で迎えます。プレップスクール(Preparatory school)と呼ばれるこのタイミングで試験を受ける際のカリキュラムの進み具合を考えると私立の方が1.5-2年ほど早く進んでいるイメージとよく言われるようです。
⑤学校の設備
私立で典型的なのは、伝統のある古い建物(良い意味)と広々とした天然芝の校庭(フルサイズのサッカーコートが4面とか)、その他広々とした敷地でしょうか。
⑥生徒の雰囲気
私立の場合、それなりの高い学費を負担できるという経済的なバックグラウンドがある家庭が前提なのと、子供のケアが十分にできる家庭が多い結果として生徒も落ち着いている雰囲気です。結果的に学力レベルも高くなる感じです。また勉強以外にも、音楽やスポーツの選択肢が多く、熱心に取り組んでいる(スポーツではゴルフがクラブ活動の選択肢にあります)イメージです。これは家庭の経済格差が、その後の子供の人生に影響を及ぼす可能性が高まるという意味で、正直言って不都合な真実なのかなと思う事はありました。子供の本来の能力には関係なく、学校という環境によってその後の人生に影響が出てしまう可能性が高い現実に「うーん」と思う所はありました。
私はどちらが良いというわけでは無いと思いますし、人生がそれで決まるわけでも無いと思います。またイギリス全土では90%以上の子供達が公立小学校に通っている事を考えると、社会の実態を反映している公立の学校で、様々なバックグラウンドを持つ子供たちがいる中で経験できる事に大きな価値があると考える事もできると思います(私も自分の育ってきた環境から当初はそう考えていましたし、今でもそう思います)。
ただ、このような圧倒的な環境の違いを目の当たりにすると、親としてはもし経済力があるならば「私立に行かせた方が良いのではないか」と思うのは自然な事かなとは思います。日本のそれとは違い、イギリスにおいては、学校による環境(設備や全体の雰囲気)、そしてそこから生まれる質的な差というのは結構な衝撃でした。
という事で少し長くなってきたので次回に続きます。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。
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