見出し画像

浮世絵の絵の具ー青花紙②ー製法について

青花紙の制作体験に参加しました。本来は、種まきから絵具の完成まで年間を通しての体験企画でしたが、コロナの影響で1日だけの開催となりました。

青花紙は古くから滋賀県草津一帯で盛んに生産されて来ました、が今現在その生産農家さんは(国内で草津市内に)一軒を残すのみとなっています。

(浮世絵の絵具の研究や復元のためだけではなく、)そういった点においても、この絵具の製法を学べたことはとても有意義だったと思います。

画像1
画像2

開催場所の滋賀県立湖南農業高校さんの青花畑にて。

画像10

↑これは家の庭に咲いていた露草です。露草は初夏に道端の草花を注意して見ていると結構見つかります。青花はこの露草の栽培変種になります。(但し、「和漢三才図会」(寺島良安1712年)には、露草は到る所に生えているものであり、露草は青花紙の原料として用いられる、といったことが書かれています。なので古くは、青花紙の原料は必ずしも青花では無く、露草であった可能性もあると思います。)

画像9

先ずは青花の花を摘みます。花は朝5時頃から咲き始め、昼頃にはしぼんでしまうので、花摘み作業は早朝から行います。

画像4

花を摘み終わったら、ザルを使って花弁とそれ以外の不要な部分を選り分けます。

画像5

選り分けた花弁をよくもみ潰します、同時に染液が滲み出てきます。

画像6

染液を布で(二度)濾します。

画像7

このようにして得た染液を刷毛で和紙に引いていきます。使用される和紙は時代ごとの変遷があり、現代においては「美濃和紙」や「土佐和紙」が使われて来たそうです。明治期の文献には「美濃産花口紙」や「典具帖」の記述があり、江戸時代については不詳です。

画像8

引き終わったら日光に晒し乾かします。乾いたら同様に、「染液を引いて、乾かす」を何度も繰り返します。(今回は天候の都合上乾燥作業が進まず、染液の塗り重ね作業は思うように出来ませんでした。)プロの方は100gの和紙が400g位になるまで塗り重ねの作業をされるそうです。

画像9

(実際に販売されている完成品です)

いつかは自分で花を栽培して、この絵具を作ってみたいと思っています。

前回分記事「浮世絵の絵具ー青花紙①」はコチラから→ https://note.com/ukiyoe_shimoi/n/n9f7c87ab99b1

次回分記事「浮世絵の絵具ー青花紙③ー「浮世絵における青花紙の使用について」(講演報告)」→https://note.com/ukiyoe_shimoi/n/n1a6fc20e10f5

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?