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マイカミングアウトストーリー

両親にカミングアウトをした。

誕生日のお祝いとしてホテルのバイキングに連れていってもらった。自分達以外に他の客は1組しかいなくて、ふとその人達の会話を聞いていると、ニューハーフバーへ行ったという。その話の中で社会勉強のためにというようなことを言っていた。おまえの社会勉強の材料にすんなよというイラつきを感じながら食事を終え、少し休憩しようとロビーの椅子に腰掛けた。何気なく携帯でTwitterを流していると、SHISHAMOのドラマーの方が交際している女性とパートナーシップを宣誓したというツイートが流れてきた。カミングアウトの話をうまく伝えられるか、やはり不安だった自分にはものすごく心強かった。

夕食バイキングをあとにし、予約していたカラオケ店に向かう。

よし、各々2曲ほど歌った後に言おう。

僕は両親の馴れ初めから切り出した。そういえばいまの今まで聞いておらず、純粋に気になっていたのもある。父と母との出会いから結婚するに至るまでのことを聞き、1人の人間としての知らない一面を垣間見た。
話が一段落し、その瞬間が来る。心臓がバクバクと音を立てている。以前友人にカミングアウトした時もそうだったが、本当にこの時間が嫌いだ。


まず母親は割と動揺している様子だった。父親のほうは、そこまで驚いた様子はなくそうなのかという反応だった。僕はというと、概ね予想通りの反応が来たと思った。

伝えた後に、同性婚が出来ない日本の現状がいかにセクシャルマイノリティを苦しめているか、待って待って待ちに待って最終的に養子縁組を選んだカップルがいることを話した。
あまりピンと来ていないようだった。

その時の僕は泣かずに言おうと思っていたのに急に感情が溢れ、涙が出て言葉に詰まっていた。

11年前から言いたいと思っていたこと。

同性婚するために海外に移住することは考えていないこと。

周りにいる人を異性愛者だと決めつけないで欲しいこと。

最低限伝えたいことは話したつもりだ。

正直なところ、まだ2人とも完全には受け止めきれていないんだろう。母親のほうは孫が見れないのか…と嘆いていた。

両親がカミングアウトをどう受け止めていくかについては、父と母が自分自身と向き合い、それぞれで考えていくことだ。ここに関して当事者が気をつかって自責の念を抱くものではない。なぜならセクシャルマイノリティであることは、人間性を判断する材料にはならないからだ。

僕の希望としては、両親にセクシャルマイノリティが被っている不利益についてもっと関心を持って欲しいと思っている。同性カップルでは家が借りにくいこととか。
よく分からない…ではなく今から勉強してみよう、そういう姿勢を非当事者にも持ってくれることを望んでいる。
そして、同性婚が法制化していたら同性カップルでも子供を持つ社会を想像しやすくなるんだと理解して欲しい。

どうか嘆かないで欲しい。
これは僕が自分自身と向き合って出した結果だ。11年かかった。
父にも、母にも、自分自身と向き合い、考えて欲しい。11年かかるかもしれないけど。

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