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短編小説

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2021年9月の記事一覧

セロハン(小説)

少し早いけど、もうすぐ待ち合わせの場所に着く。 正直言うと、10年前の約束のことは、覚えていなかった。 ***** 地元友達のケンタから連絡が来たのは、ちょうど一週間前だった。 「忘れたのか?二十歳になったら、3人で会うという約束だったろ」 僕もケンタも地元を離れてから、お互いに連絡を取り合うのは年2~3回程度になった。 それでもなぜかケンタと話すと、久しぶりという感じが全くしない。 「サイトウマイも来れるってよ。来週の日曜日、空いているよな?」 ケンタはいつ