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【コラム】海外発⇒日本に入ってきたデッキたち:ギャラドス編

これは昔話ですので、新環境に関する情報はありません。

よく知られている事実ですが、海外では、日本国内よりも新カードが数か月ほど遅れて発売されます。
言い換えれば、海外の環境は日本の数か月遅れで進んでおり、
日本で流行ったデッキは、遅れて海外でも流行る、という構図になっています。

ところが、そうでないこともあります。
海外で新デッキが開発され、それが日本に逆輸入される、ということも、時々ですが起こります。

今回はギャラドスというデッキを取り上げます。
2009年にフランスで生まれたデッキが、日本のプレイヤーに届くまでです。

ギャラドス

ろしさんのnote記事に、2009年で活躍したデッキの回があります。
この記事は当時の代表的なデッキに関する概説として非常にすばらしく、僕のここからの文章にとっても、この記事は理解の助けになります。
ここで登場するSPデッキや、またカイリキーやフライゴン等の2進化デッキは、2009年の世界大会環境を定義していたデッキでした。
しかし、そこに並んでいるギャラドスは、実はそうではありません。
ほとんどのプレイヤーにとってギャラドスは、2009年の世界大会で初めて「発見」されたデッキだったのです。

当時このデッキについて書かれた海外記事を、今でも読むことができます。
そこから、このデッキの歴史に関する箇所を抄訳します。

「ギャラドスが初めてトーナメントシーンに登場したのは、2009年の世界大会だった。使っていたのは、ファビアン・ガルニエと、ニコラ・Hというフランス人プレイヤーたち。このデッキはそれぞれトップ8とトップ16という成績を残したが、準々決勝でファビアンは、優勝者となるスティーブン・シルベストロに惜しくも敗れてしまった。[中略] 実はファビアンはそれ以前に、このデッキでフランス選手権を、しかも無敗で優勝していたのだ。だが誰ひとりとして、このデッキには気を留めなかった。このデッキのパーツは、破れた時空が登場して以来ずっとそこに存在していたのに、世界大会までずっと「発見」されないままだったのだ」

破れた時空

発売タイミングを整理しましょう。

2008年07月 日本 ギャラドス(覇空の激闘)
2008年10月 日本 破れた時空(ギンガの覇道)
2008年11月 海外 ギャラドス(Stormfront)
2009年02月 海外 破れた時空(Platinum)
2009年05月 フランス選手権
2009年08月 世界大会

およそ半年の間(日本では1年近く!)誰にも強さを気づかれなかったデッキを煮詰め、世界大会で結果を残す。
デッキビルダーなら、夢のようなサクセスストーリーですね。

当時のファビアン・ガルニエの世界大会レポートは、実は今でも読むことができます。

日本でギャラドスが使われ始めたのは、この世界大会後のこと。
僕自身は2009年世界大会には参加していませんが、ギャラドスが、世界大会で海外のプレイヤーが使っていたデッキだ、というのは、当時耳にしていました。
事実、いまネットを検索してみても、ギャラドスで出てくる国内の記録は、すべて2009年の9月、つまり世界大会以降です。

紅蓮龍っていうリザードン
オーギのポケカ日記
trainer's blog

ギャラドスのレシピや情報はどこから国内に出回ったのか、今となっては確かめる術はありません。
恐らくは世界大会に参加していた日本人プレイヤーたちから、関東圏を中心に広まっていったのでしょう。
上記、世界大会レポートとレシピは8月下旬には公開されていますが、国内のプレイヤーが当時どれだけ読んでいたかは何とも言えないところです。

ヤミラミ

とはいえ、こんなに強いデッキを見落としていたのは怠慢だと、当時のプレイヤーを責めることはできません。
ヤミラミ経由のサポーターでコイキングをかき集め、それをせっせと捨てて打点を上げていくデッキなど、ファンデッキだと言われてしまえばそれまで。
それを実戦レベルまで煮詰め、世界大会に持ち込もうと決断できたのは、まさにフランス代表の慧眼だったといえます。

もっとも、世界大会の後になってから国内でギャラドスが一気に注目されたのには、別の理由もあります。
世界大会後、LEGENDシリーズの登場によって、このデッキはカードプール的にさらなる恩恵を受けたのです。

コレクター

ジャンクアーム


こうして強化されたギャラドスは、ダブル無色エネルギーを得たガブレン、そしてミカルゲネンドールエンジンを得た2進化デッキと共に、ポケカ史上最高クラスに難解な環境を戦っていくのですが、それはまた別のお話。

ここにはふたつの教訓があります。

①低コスト(エネコストの少ない)カードはとりあえず試そう。軽いは正義。
②世界大会は発見の場である。そして、海外環境は未知のアイディアの埋まっている場である。

これは当時僕が得た教訓でもあり、また、きちんと海外環境を追うようになったきっかけのひとつでもありました。
これまで海外発のデッキが国内の環境に参入してきたのは、しかしもちろんギャラドスだけではありません。
また別のコラムで、それも取り上げる機会があればと思います。

※文中の画像は公式サイトから拝借しました。


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