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【翻訳】ソード&シールド:新時代の幕開け

今回は久しぶりの翻訳記事です。

海外のゲーム系ニュースサイト"IGN"が、2月の海外新弾"Sword & Shield"(日本でもそのままソード・シールドに該当)でのルール変更に関する記事を掲載していました。

興味深いのは、記事中に、クリーチャーズのメンバーのコメントが含まれている点です。特にタイプ廃止や弱点についての内容は、国内では表に出てきていない話であり、今後のポケカの動向を推測する上でも参考になるものだと思います。
(しかし、なぜ国内ではこの手の話や記事が出てこないのでしょう? なぜクリーチャーズはいつも海外メディアの取材には回答してるのでしょう...?)
ともあれ、どこから読んでも大変に面白い話です。

以下記事全文の翻訳になります。
いつもながら、誤訳の責任はすべて僕うきにんに属します。

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https://www.ign.com/articles/how-sword-and-shield-kicks-off-a-new-era-of-the-pokemon-tcg

How Sword and Shield Kicks Off a New Era of the Pokemon TCG
February 15, 2020, by Joshua Yehl

ゲームの新作「ソード」「シールド」が世に出たのが昨年のこと。そして今回ついに、ガラル地方の新ポケモンたちがカードゲームに登場した。
新シリーズはすでに発売になっており、2月21日から、大会でも使用可能になる。だがそこには、変更点も数多くある。

新世代のポケモンの登場は常に、ポケモンカードにも新しい時代が来ることを意味している。新しいギミックやタイプの導入はこれまでも行われてきたことであり、ソード&シールドでも例外ではない。
今回は、新しいポケモンの区分からルール上の変更点まで、ポケモンカードに起こったことを細かく見ていこう。
また同時に、なぜそのような変更がなされ、どのような方向へとポケモンカードを調整しようとしているのか、株式会社クリーチャーズのゲームデザイナーの面々の言葉も紹介したい。

ポケモンVとVMAX

ソード&シールドでは、新しくポケモンVという種類のカードが登場する。過去のポケモンEXやGXと同様、ポケモンVは非常に強力な代わりに、きぜつしたときにサイドを2枚相手に献上する(もちろん、6枚取られたらゲームは終わりだ)。

ポケモンVが進化するとポケモンVMAXとなる。これはゲームでいうダイマックス・キョダイマックスの再現といえる。進化することで、ワザの威力やHPが大幅に上昇する。ポケモンVMAXがきぜつした場合、相手にサイドを3枚(タッグチームGXと同様に)与えてしまう。カードの能力の上昇とリスクは切っても切れない関係にある。2体倒されると、それで対戦が終わってしまう。

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マジック:ザ・ギャザリングやトランスフォーマーTCGであれば、大きくてパワフルなキャラクターを、大判カードを用いて表現したかもしれない。ひょっとするとポケカも、ソード&シールドの巨大なポケモンを登場させるには、同じような方法を使うのでは、と、我々は最初考えていた。そして実のところクリーチャーズも、ある段階では大判カードを採用することも考えていたということだ。だが最終的には、逆方向に、つまりはシンプルさを維持するほうへと舵を切った。

「ポケモンカードで重要視しているのは、カジュアル層と上級者、両者にとって魅力的なものであるために、遊び方が簡単であること、そして、必要なカードが簡単に手に入ることです」と、クリーチャーズの担当者は語る。「ポケモンVMAXの製作にあたっては、大判カードも試しました。しかしすぐに、それではプレイヤーの手札に加える手段が限られてしまうこと、また、既存のスリーブやデッキケースに入らなくなってしまうことに気づきました。そうなってしまうと、ポケカを楽しめなくなるプレイヤーも出てきてしまうと思ったのです」

先攻1ターン目のルール変更

続いて、大きな変更のあったルールを見ていこう。先攻プレイヤーは、最初のターンにサポートを使えない、というものだ。一見すると大きな変化に見えないかもしれないが、これまでとはゲームが根本的に変わってくる。

サポートのカードにはポケモンの世界のさまざまな人物キャラクターが描かれており、また効果も飛びぬけて強い――強すぎるあまり、1ターンに1枚しか使うことができない。効果にはたとえば、追加のエネルギーをつける、一度に複数のポケモンを山札から手札に加える、追加のカードをドローする、などがある。以前は、ダイスロールに勝った場合は、特別な場合を除いてみな先攻を選んでいた。だが今後は、サポーターをきちんと使えるように、後攻を選択するようなこともあるかもしれない。

「この変更は、先攻後攻に関わらず、両プレイヤーが楽しく、公平にプレイできるようにするためのものです」とクリーチャーズの担当者が答えてくれた。

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先攻は、それだけでアドバンテージが数多くある。場を先に展開でき、エネルギーを先につけることができ、そして先に進化もできる。強力なサポーターを使う権利をそこから取り除くことで、後攻のディスアドバンテージを少しでも減らすことができる。実際、クリーチャーズの面々は、プレイヤーに、後攻スタートも選択肢に入れてほしいと考えている。
「後攻のプレイヤーはサポートを使えることで、ポケモンを多く場に出せる可能性も、エネルギーをつけられる確率も高くなります。ゲーム中に安定した展開を可能にするのです。そして先に攻撃することもできます。これは、後攻ならではのアドバンテージといえます」とクリーチャーズの面々は言う。

抵抗力の上昇

もうひとつ特筆すべき変更は、抵抗力が-20から-30へと上昇したことだろう。ポケモンVとVMAXが高いHPと高い打点を持ってることから、それらカードパワーの上昇に合わせるために抵抗力の数値も上げるのは納得のいくところである。

フェアリータイプ廃止

フェアリータイプがなくなるというアナウンスには、ポケモンカードのコミュニティもいささかショックを受けたようだった。ゲームでフェアリータイプを持つポケモンたちは、引き続きポケモンカードにも登場するが、フェアリーではなく超タイプとして描かれることになる。

タイプの統合は、ポケモンカードでは新しいことではない。というよりもむしろ、ルールをわかりやすくするため、一番最初の段階から行われていたことでもある。例えば、かくとう、いわ、じめんがすべて、闘タイプとしてまとめられたことがそうだ。だが、タイプひとつが廃止されたというのは、ポケモンカードでは初めてのことだ。

この変更の背景は、タイプごとのバランスを良くすること、ルールをわかりやすくすること、そして、既存のタイプの使い勝手をよくすることである。そうクリーチャーズの担当者は語る。

「これまで、超タイプのカードはおおよそ超タイプが弱点だったのですが、それだと少しややこしく、またプレイヤーにとってもあまりピンと来ない設定でした。ゲームでエスパーもしくはゴーストのタイプを持つポケモンを、ポケモンカードでは悪弱点にすることで、ルールを多少は単純化できたのではないかと思っています」とクリーチャーズは言う。「また、ゲームでフェアリータイプを持つポケモンは、ポケモンカードでは鋼弱点にしてあります。これによりルールを単純化できるだけでなく、ポケモンカードそのものに深みを与え、またプレイヤーが使うカードを選ぶ際に、弱点を基準にすることができるようにもなっています」

弱点の再調整

フェアリータイプ廃止は、ポケモンカードの弱点メカニズムの再調整という大きな動きの一部に過ぎない。他の弱点も同時に調整されているからだ。ポケモンが2倍のダメージを受ける弱点というルールは、ポケモンカードにとって、この上なく重要な要素だ。弱点があるおかげで、特定のタイプが強くなりすぎるということがない。ポケモンカードには10種類のタイプがあるが、開発陣は、5つのタイプを重点的に扱うことで、ゲームバランスを再調整しようとしている。

「これまで、ポケモンカードにおけるタイプ相性は、いわばジャンケンのようなものとして位置づけられていました。しかしその結果として、メタゲームが思いのほか早く回ってしまう、ということがありました。そのため私たちは、ソード&シールドシリーズを作り上げていく上で、以下の5つのタイプを、タイプ対決の中心とすることにしたのです。それは、草、炎、水、雷、そして闘です」

この典型例が、悪タイプにおける変化である。開発陣は、「どく」タイプのポケモンをすべて(以前は超タイプとして表現されていたが)悪タイプとすることに決めた。言い換えれば、悪タイプは潜在的に2つの「サブ」タイプを持っているということになる。つまり弱点もまた、2パターン持っている、ということになるのだ。

「悪タイプは弱点が草と闘に分かれたことで強化されたと思います。どちらかのタイプに弱い、ということがなくなり、うまく弱点を分散させられるからです」とクリーチャーズの担当者。「悪タイプを、メインの5タイプのうちのふたつと関連づけたことで、戦略の幅は大きく広がったはずだと信じています」

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以上になります。お読み頂きありがとうございました。大きな話題をさらったフェアリータイプ廃止ですが、記事を読むと、それは一連のタイプ調整の中の動きのひとつであることがわかります。
同時に、今後は草、炎、水、雷、闘の5タイプをメインに展開していく、という言葉には、驚いた方も多いのではないでしょうか。

この変化がどういう影響を及ぼすのか、まだわからない部分も多いですが、
いずれにせよポケモンカードの基礎的な遊び方は、よりシンプルに、より直感的になっていくはずです。
この一連の流れが、文中の言葉どおり、幅広い層へのアピールになることを願ってやみません。

ちなみにPokeBeachでは、タイプ相性表をまとめてみたようです。リンク先は英語ですが、ご参考までに。

https://www.pokebeach.com/2020/02/creatures-reveals-tcgs-new-focus-on-five-weaknesses-dragon-likely-removed

※文中の画像は海外ポケモン公式から拝借しました。

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