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【翻訳】Play!Pokemon:平等性、公平性、ダイバーシティおよびインクルージョンに関するポリシー

3月上旬、ポケモン海外公式ルール文書集の中に、
「平等性、公平性、ダイバーシティおよびインクルージョンに関するポリシー」と題された文書がアップされました。
今回のエントリはこの文書の全訳です。

文書がアップされた理由についての声明などは発表されていません。
ただ私たちは、この文書から、いまの海外株ポケ、つまりポケモンカンパニー・インターナショナルが、どのような環境づくりを目指しているかを窺い知ることができます。
文書中、耳慣れない語がいくつか出てくるかもしれませんが、最後に簡単な解説も付記しました。

いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。

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Play!Pokemon:平等性、公平性、ダイバーシティおよびインクルージョンに関するポリシー
Play! Pokemon Equality, Equity, Diversity, and Inclusivity Policy

https://assets.pokemon.com//assets/cms2/pdf/play-pokemon/rules/play-pokemon-equality-equity-diversity-and-inclusivity-policy-en.pdf

ポケモンカンパニー・インターナショナル(The Pokemon Company International)は、全世界のPlay!Pokemonイベントの統括団体として、年齢、人種、民族、性的指向、ジェンダーならびに障がいといった要素の有無に関わらず、また、それらに限定することなく、あらゆる参加者を包括的に扱うことのできる環境を、しっかりと推進していきます。

ダイバーシティ、平等性、公平性、インクルージョンは、私たちにとって重要なものです。それらは私たちの会社を、プレイヤーを、オーガナイザーを、そしてPlay!Pokemonプログラムを、世界中で、強固にし、豊かにしてくれます。Play!Pokemonイベントは、それぞれ異なったバックグラウンドを持つプレイヤー全員のためのものであってほしい、と私たちは願っています。私たちは、Play!Pokemonプログラムに参加している全てのプレイヤーに対し、フェアに接することを目指しています。そしてまた、個別のニーズを把握し、対応し、同時に、すべての参加者にとって、楽しくフェアな環境を提供したいと考えています。

真の意味でダイバーシティとインクルージョンに基づいたプログラムの構築は、長期的な、そして現在進行形のプロセスです。私たちはそのプロセスに、全面的に注力しています。ダイバーシティとインクルージョンに基づいている、ということは、Play!Pokemonプログラムにとって核となる要素である、と私たちは考えています。私たちは絶えずこのプロセスを注視し、改善すべく取り組んでいます。

私たちが目指すのは、新たな学び、寛容性、道義性、ダイバーシティ、平等性、公平性、インクルージョン、そして、いわゆる優れたスポーツマンシップを推進する文化とコミュニティの創出です。Play!Pokemonプログラムのコミュニティに関わっている全ての人――プレイヤー、ファン、保護者、プロフェッサー、イベントオーガナイザー、イベント見学者――たちは、それを現実のものとする役割を担っているのです。

ポケモンブランドと、そのエージェント、認可保有者、そして各団体は、人々を伝聞だけで判断したりせず、また、

・年齢
・宗教や信仰、あるいは無宗教
・障がい
・性的指向
・ジェンダーアイデンティティおよび性転換
・社会的、経済的地位
・婚姻歴やパートナーの有無
・教育歴
・妊娠歴や妊娠中か否か
・市民権の有無
・人種、肌の色、国籍、あるいは民族的、国家的出自
・所属している政治団体

等に基づいた、いかなる差別、虐待、ハラスメントに関与せず、また黙認もしません。

当ポリシーの対象

このポリシーは、Play!Pokemon公式イベントに参加している、全てのPlay!Pokemonスタッフ、プレイヤー、オーガナイザー、プロフェッサーそして見学者を対象とします。

当ポリシー下における責任範囲

ポケモンカンパニー・インターナショナルから認可を受け、Play!Pokemon公式イベント活動を運営する全ての人々は、イベントにおいて当ポリシーが確実に順守されるよう努める責任があります。

契約を結んでいる全てのイベントオーガナイザーおよびプロフェッサーは、当ポリシーが確実に効力を持つようなイベント作りが求められます。

全てのプレイヤー、スタッフ、保護者および見学者は、当ポリシーの各項に関する自身の言動に対して責任を有します。

契約を結んでいる全てのイベントオーガナイザーおよびプロフェッサーは、当ポリシーの内容を常に意識し、支援し、推進することが求められます。

最終更新:2019年3月6日

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以下は、文書内で登場した、耳慣れない(?)語句のちょっとした解説です。

▼Play!Pokemon
ポケモンカンパニー・インターナショナルによる公式イベントプログラムの総称です。ふだん目にする海外大会は、ほぼすべてこのPlay!Pokemonプログラム下のイベントになり、世界大会出場者を決めるポイント等もこのプログラムによって運用されています。

▼ポケモンカンパニー・インターナショナル(The Pokemon Company International)
いわゆる海外版の株ポケで、実際に株式会社ポケモンの子会社です。日本と韓国を除くエリアで、ポケモンブランドの推進およびライセンス管理等を行っています。
TPCiという略称がよく用いられます。

▼ダイバーシティ(diversity)
「ダイバーシティ(Diversity)とは、国籍、性別、年齢、宗教、ライフスタイルなどに固執することなく多様な人材を受け入れることによって、企業の競争力を高める取り組みのこと」
https://bizhint.jp/keyword/12272
ビジネスシーンでよく聞く、というよりも、日本では企業アピールの一環として使われている印象も強いかもしれません。Diversityのもともとの意味は多様性です。

▼インクルージョン(inclusivity / inclusion)
「多種多様な価値観や考え方を組織の一部として受容し、違いを強みとして捉えてビジネスに活用することで、個人と組織双方のパフォーマンスの最大化を図」ること。
https://bizhint.jp/keyword/12538
原文では「インクルージョン」="inclusion"という語は登場せず、"inclusivity""be inclusive to"という形で使われていますが、
文脈上、意味が通りやすい形にするためにこの訳語を選びました。「包括性」と直訳してしまうと、かえってわかりづらくなってしまうかもしれません(冒頭では一度だけ、「包括的に」という語を使いました)。
比較的最近注目されるようになった言葉で、上記の「ダイバーシティ」と併せて使われることの多い言葉です。

▼性的指向(sexual orientation)
下のリンク先では「どんな性を好きになるか」と説明されています。
http://jobrainbow.net/sexorientation
実際ウィキペディアの説明も非常に優れているのですが、記述が若干カオスなので、このリンク先を選びました。
最近はLGBTという語の認知度も上がってきました。性的指向は「人の性を、「戸籍上の性」ではなく「自認している性」のもと捉えるべきである、という考え」です。

▼ジェンダー(gender)
「生物学的な性差をセックスというのに対して、社会的、文化的に形成された男女の違いをジェンダーと呼ぶ。近代の日本においては、男は社会で働き、女は家庭を守るという性的分業が教育を通して刷り込まれ、女性にとっては社会で活動しにくい差別的な環境が形成されてきた」
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC-176790
コトバンクの中にある説明が明快でした。たとえば女性蔑視に関わる問題などが語られるとき、多くはジェンダーという考え方に基づいて議論されます。

▼プロフェッサー(professor)
TPCiは、イベントオーガナイザーやジャッジの育成・統括プログラムとして、プロフェッサープログラム(Professor Program)を運用しています。国内でいうオーガナイザー・エキスパート制度に近いものですが、ジャッジにもランクがあったりと、もう少し競技寄りに設定されています。
今回の文章内では、プロフェッサーは、ジャッジとほぼ同様の意味で使われている言葉です。

このポリシーって結局どういうことなの?

この文書を読んで、政治色が強すぎるんじゃないの?とか、何だかキナ臭い、と感じた人もいるかもしれません。
しかし、ご存じの方も多いと思いますが、株式会社ポケモンの理念は、世界共通で、
「ポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすること」です。
ポケモンが、誰にとっても現実世界を豊かにする存在であるためには、「いかなる差別、虐待、ハラスメントに関与せず、また黙認もしません。」というポリシー内の宣言は、この上なく重要なのではないでしょうか。
ちなみに日本は、男女格差を示すジェンダーギャップ指数2018で110位(149か国中)です。
海外株ポケは進んでいる、というより、国内株ポケこそ、このポリシーを掲げてほしい、と個人的には思っています。

冒頭の画像は海外公式から拝借しました。

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