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22. おもちゃ

今回は「おもちゃ」の片づけ方を紹介していきます。


おもちゃスペースの目的とは

おもちゃスペースの目的は、
・子どもが自分の力で楽しめること
・興味関心に集中できること

です。

ご自宅のおもちゃスペースを眺めてみてください。「何が」「どこに」あるのか、明確になっていますか?

もしそうでないのであれば、親が子どもに「片づけて」といったところで、子どもが自分の力で片づけができるような環境ではないということです。それはつまり、子どもが「今日はこれで遊びたい」と思っても、それが叶わない状態になっているということでもあります。片づけにくいということは、遊びにくいということでもあるのです。

おもちゃを自分で探し出すことができないと、「ママ、あれどこ?」がはじまり、親は親で「ちゃんと片づけないからでしょ!」とイライラしてしまったりすること、ありませんか?

おもちゃのスペースが、子どもが「好き」に没頭したり、「知りたい」を追いかける場所というよりも、家族の間に不穏な空気が流れる原因となってしまっている…なんてことになってはいないでしょうか。

大人の関わり方

私たち大人ができることは、子どもの「好き」「知りたい」という気持ちを、とにかく追いかけさせてあげるための、空間的・精神的な環境を整えること。

子どもが自ら遊びに取り組んだり、夢中になったりすることが、暮らしのなかで当たり前になったとき、自主的な「学び」が習慣化されます。

「好きなことに夢中になっているぞ」という感覚を身につけた子は、大人になってから「自分は本当はどうしたいんだっけ?」「何が好きなんだっけ?」「自分とって必要なものってなんだっけ?」という問いに対して、他人軸ではなく、自分の心(感覚)に素直に答えを導き出すことできます。これは、私がたくさんのおうちのお片づけに関わってきたなかで確信していることです。

私たち大人が、子どもを知り、 尊重し、信じて、 彼らの育ちを支えること。そうすると、子ども自身も、自分を知り、自分を尊重し、自分を信じ、自分で自分を支えられるようになっていきます。そのプロセスを、おもちゃの片づけを通して体験してもらえたら嬉しいです。

大人がモデルになる

おもちゃの片づけ方に入る前に、前提にしておきたいことが「私たち大人自身が、片づけができている」ということです。

大人自身がモノを丁寧に扱ったり、使ったものを片づけたりしている姿を、子どもはしっかり見て、自分の中に吸収していきます。日常生活の中で大人自身が当たり前に片づける姿が、子どもの片づける力に影響を与えているのです。

だから、まずは自分が子どものモデルになりましょう。イヤイヤ、イライラしながら片づけをしていると、子どもは「片づけ=嫌なこと」とすぐにインプットします。

だからといって、わざとらしく楽しそうに片づけをしましょう、ということではありません。大人自身が、「片づけをすると気持ちがいいな、スッキリするな」とか、「すぐに後片づけができるように環境を整えておくと、楽でいいな」ということを、実際に体験していきます。

訪問レッスンでは、大人が片づけを進めていくにつれ、子どもの方から「私も・ぼくも、おもちゃを片づけたい!」といってくることがとても多いです。

おもちゃスペースの目的である、「子どもが自分の力で楽しめること」や「興味関心に集中できること」は、自分で幸せを見つけ、人生を切り開いていく力のこと。そもそもこれ、私たち大人が、ちゃんとできているでしょうか。すでに十分にあるモノにしっかり感謝し、自分にとっての豊かな人生のために、おうちという環境を整えることができていますか?

自分のことを棚に上げて、子どもに片づけや理想を押し付けると、子どもは大人を信頼できなくなります。子どもは近くにいる大人を通して世界を見ているので、そんな大人の態度から子どもは、世界は信頼できないところなのだ、この世界は理不尽な世の中なのだ、ということを学びます。世界への不信感を前提で生きたほうが合理的だ、という態度を身につけます。私は、それはあんまり幸せな生き方だとは言えないよなぁ、と思うのです。

ちなみに、「子どものモデルになる」というのは、決して「完璧にやる」ということではないので安心してくださいね。子どもに見せてあげてほしいのは、自分を受け入れ、自分の在りたい方向(being)に向かって、すべきことをする(doing)という姿勢です。

「お母さんも片づけが完璧なわけではないけれど(自分を受け入れる)、おうちが整っていると自分が気持ちいいから(自分の在りたい状態)、いま片づけを頑張っているんだよね(すべきことをする)

片づけのなかで、そういうことを子どもに伝えてくれたら嬉しいです。

おもちゃの片づけの進め方

①観察する

おもちゃの片づけのファーストステップは「観察」です。子どもを観察して、「いま」やりたがっていることはなんなのかを知りましょう。

観察のポイント
・よくしている遊びはなんですか?
・どの場所で、どんな姿勢で遊んでいますか?
・遊びに集中できているのはどんな時ですか?
・集中を阻害している要因はありませんか?(遊びにくい姿勢や、探し物などで遊びが中断されていませんか)
・1人で遊ぶのが好きそうですか?2人?グループ?
・激しく動くのが好きですか?静かに穏やかに遊ぶのが好きですか?
・室内遊びが好きですか?お外遊びが好きですか?
・頭を使うのが好きですか?それとも身体を使うことや、感情を使うことが好きそうですか?

訪問レッスンのときは、2週間〜大体1ヶ月くらい、お子さんの様子を観察してもらうようにしています。

②厳選する

子どもの遊びの傾向がわかったら、子どもがよく遊んでいるおもちゃだけを残していきます。

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