見出し画像

あなたの知らない本屋さん

先日、clubhouseで、書店員時代に培われた
本屋や本に対する偏愛っぷりをだだ漏らしした。

タイトルは、そのころ働いていた店舗で、
新しく立ち上げたブログに私が最初に書いた記事のタイトルだ。

その頃、私は「理工書」といわれるジャンルを担当していた。

使い方入門書やプログラミングなどのパソコン書。
科学や化学、物理学、生物学、数学、天文学、農業、
建築関係、建設関係、街づくりや遺伝子、
マクロからミクロ、概念や哲学的な分野まで、
理工書っていったい何?ってくらい分野が広いところだった。

その理工書の売り場は、店の一番奥。

土日にイベントがあって、レジに長蛇の列ができていようが、
理工書の棚の前にいるお客さんは数えるほどしかいない。

うん、静かでめっちゃいい。
仕事もはかどる。

でもね、もっと本を手に取ってもらいたい。

天文学の棚に並んでいる星の写真集は、この上なく美しいし、
ギリシャ神話のお話はワクワクするし、
数学の棚に並んでいる学び直しの本は、
こんな風に教わりたかった~!って思ったり、
ブルーバックスはタイトルを見ているだけでも、
好奇心を駆り立てられる。

店の一番奥の奥の棚に並んでいるものも、
誰かの
あなたの手に取ってもらって、開いてもらえて、
初めて、本当の意味で「本」になる。

印刷物から「本」になるのは、
「人」が介在するから。

文字は読まれて、認識されてこそ意味を持つ。

美しい写真は、人が見てこそ価値がある。

本と人との出会いの場が書店であり、
その手伝いをしているのが書店員だと思っている。

じゃあ、ここにある(理工書の棚)にある本に光を当てるのは、
私しかいない!!!

…というところまで、思ったかは覚えていないが、
私が初めて書いたブログでは、理工書の棚から選んだ一冊だった。

「透明標本」

見えない世界への好奇心。
それをここまで美しく表現された写真集。

写真集のコーナーにも
子どもたちにも見てほしいから児童書のコーナーにも
並べられていてもいいね。

いつも行かない棚にも
きっと、ぐっとくる本はある。

本屋さんの隅の隅まで本がきっちりと並べられていて、
今か今かと、開かれるのを待っている。

興味のないジャンルこそ
新しい出会いが
新しい世界への扉が待っていてくれるかもしれない。

いつも行く知っている本屋さんの
知らない本屋さんの部分。

あなたが訪れてくれるのを
静かに待ってるよ。

ありがとうございます!