残酷な未来

「よくこれだけの超能力者を集めたな」

「ええ、かなり金を積みました」

研究員は少し血走った目をぐるぐると回しながら、各国の霊能力者たちを見回した。

霊能力者たちは各々の方法を用いて、未来の世界の透視を試みていた。

未来を知ることは巨額の金を産む。これは金持ちが金持ちであり続ける大きなシステムだ。

金持ちが未来を作るのだから。

つまり未来予知は絶対的に富を産む重要なファクターなのだ。

しかし、最大の目的は人類の救済なのだ。隕石衝突などの大災害を未然に察知することができれば、それへの準備も行えるのだ。

そこで、この狂った研究者たちは未来のアーカイブを作るべくこの研究を始めたのである。


「さあ、霊能力者の皆様。未来が見えた方からどうぞこちらへ。年代別です。百年後は向こう。千年後はこっち。なに?一億年?未来すぎる。もっと近くでお願いします」

そうして1週間。

未来のアーカイブはある程度溜まった。

次に行うのはこれの整理である。


「これはおもしろい!不思議な相関性がありますね」

「うん。ただ、どれも断片的だ。繋ぎ合わせることで未来の解像度を上げていこう」


土の上に手が見える

「農業はまだ人の手で行っているようだ」

首輪をされた人と、首輪から伸びる紐

「これはひどい。奴隷は未だにいるのか」

「この紐の材質は見たことがないな。プラスチックのようにも光ファイバーのようにも見える」

破壊された建造物

「戦争は相変わらずか」


次の情景を見て、科学者は未来予想をやめた。どう解釈してもいい未来にはならないのだから。


先ほどの光ファイバーは伸びていき、最終的には異形の生物の触手となっているのが見える。

奴隷かペットか。その解釈は分かれるところだ。


まわりまわって、世の中が幸せになる使い方をします。