イヤホンの耳につけるゴムの部分。
最近、村上春樹に凝っている。
なので、それっぽくお洒落に気取った文章を書こうと思った。
僕のイヤホンの右のゴムが取れた。先月あたりのことだ。ポケットから取り出したときにはもう無くなっていた。こうなると、もう見つかる可能性は限りなく低い。
ゴムだから落ちたって音は立ててくれない。黙ったままだ。しかも耳に触れるものだから、誰かが拾って使うということもないだろう。
落ちたら最後、誰にも救われることなく死んでいく。
ゴムだから、消しゴムや鉛筆のように消費されるものでもない。ただ、失くすか、他のイヤホンが買われるまで使い続けられる。延々とそんな日々が続く。
無くせば躊躇なく代わりのゴムに付け替えられる。
そんなイヤホンのゴムのことを思い、僕は今でも右側のイヤホンにゴムをつけていない。
使ってみると意外や意外。落ちもしないし、心なしか音もいつもと違っていいものである。
あなたの失くしたものはなんですか?
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