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厩火事

 昨日の「桃太郎侍」188話、「皿にかかれた人生模様」で、桃太郎と同じ長屋に住むおかみさんが、夫の骨董好きに悩み、自分を大切に思ってくれているか確かめる方法を聞きにきた。
 そこで、桃太郎が例に出したのが、『論語』郷党篇のこの章である。それを聞いたつばめ太夫が、「あ、あたし、それ知ってる」(笑)と。

子路なら根性で消し止めそう😁

 厩(うまや)焚(や)けたり。子、朝(ちょう。朝廷のこと)より退いて曰く、人を傷(きずつ)くるか、と。馬🐴を問わず。

 落語に「厩火事」というのがあります。それは『論語』のこのくだりを種にしたものです。
 孔子が朝廷に出かけて留守中に、厩が火事で焼けました。帰って来た孔子は、
ーー怪我人はあったか?
ときいただけで、馬🐴のことはたずねなかったのです。
 孔子も馬を可愛がっていたはずですが、それでも一番大切な人間のことをたずねて、馬のことはたずねもしなかったというのです。孔子ねか「人間至上主義」を端的にあらわしています。(中略)
 落語の「厩火事」は、この話をきいた髪結の女房が、亭主がほんとうに自分を大事にしているか試そうとして、亭主秘蔵のやきものをこわしたのです。ガチャンという音に亭主はあわてて女房のところへ駆けつけてきました。やはり、やきものより女房のほうが大切だったのです。涙ぐむ女房に、亭主が「もしお前に万一のことがあれば、おれ、これまでのように遊んで暮らせねえからな」というのが、この落語のオチです。髪結の旦那というのは昔から女房のヒモだということで有名でした。
 こんなふうに、『論語』は落語化されるほど日本の庶民に親しまれていたのです。
(『論語抄』陳舜臣)

 つばめ太夫が「知ってる💕」といったのは、たぶん落語の方だろうけど、そこから大騒動になったのが、昨日の「桃太郎侍」😁。

           🐻

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