マガジンのカバー画像

演出解析

31
世に出ている映像作品の演出を解析していきたいと思います。 映像制作を志す人たちの参考になれば良いかなと思っています。
運営しているクリエイター

#モンスターズユニバーシティ

「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【学長】

「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【学長】

映画において悪役、敵役は味方側とは違う演出がなされていることが多々あります。

ライティング、色設定
モンスターズ・ユニバーシティにおいて、学長は一人だけ暗くなるようなライティングにされており、学生とは別の存在であることが際立たされるようになっています。また色合いも黒や茶色に近い色をしており、学生たちから浮いたキャラクターに見えるようになっています。

色鮮やかな学生たちに対して、暗く彩度も低めな

もっとみる
「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【彩度下げ】

「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【彩度下げ】

映像演出の一つに意図的に色合いを調整するものがあります。
葬式のシーンやキャラクターが混乱し、絶望して追い込まれているシーンなどでは意図的に彩度を下げる表現を使うことがあります。

モンスターズ・ユニバーシティでは、マイクやサリーが追い込まれたりした際に意図的に彩度を下げた映像になっています。

座学シーン
マイクとサリーが罰として座学を受けさせられるシーンでは退屈さ、めんどくささ、嫌なシーンに見

もっとみる
「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【線をまたぐ】

「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【線をまたぐ】

映画において特定の動作に特定の意味合いをもたせることができます。

作品のなかで世界や状況、立場などを分ける象徴的な存在として「線」が出てきます。

特にこの作品では「線をまたぐ」という行為に特別な意味合いをもたせています。

立入禁止の線

引用元:モンスターズ・ユニバーシティ

子供時代、モンスターズインクで立ち入り禁止の線 = プロフェッショナルの職場とそれを見学する側を分ける線

子供部屋

もっとみる
「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【帽子】

「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【帽子】

映像表現において衣装は自分の帰属する組織を表すアイテムとして使われます。その一つが帽子です。

自分の所属、帰属先を規定するアイテム = 衣装(帽子)

引用元:モンスターズ・ユニバーシティ

モンスターズ・ユニバーシティにおいてマイクがの帽子にはもう一つ意味が付加されていました。
子供の頃にもらったモンスターズ・ユニバーシティの帽子は、『モンスターズ・インクに入るという夢の象徴』となっています。

もっとみる
「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【影の中と外】

「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【影の中と外】

映像表現において、日向にたつか日陰に立つかでそのキャラクターの善悪を表現したり、日向と日陰に複数のキャラクターを分けて配置することで敵対していたり意見が対立していたりすることなどを表現することができます。

モンスターズ・ユニバーシティではキャラクターを日向と日陰に分けて配置することで、意見の対立が起きていること、別れのシーンであることなどを表現しています。

意見の対立
ウーズマカッパというサー

もっとみる
「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【鏡像】

「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【鏡像】

映像表現において鏡像は象徴的に使われることがあります。
鏡に映る自分の姿を見ながら自らに語りかけることで本心を吐露したり、自らを見つめ直したり自分を客観視したりすることに使われたりします。

モンスターズ・ユニバーシティでは「自分をどう見ているのか」ということを映像的な比喩として使っています。

歪んだ鏡像
ストーリー前半、主人公マイク・ワゾウスキは優勝カップ(鏡)に映る自分を見ながら、子供を驚か

もっとみる