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リルルとミユリに助けられた命

リルルもミユリも、まだ子猫の時のお話なんですが。私は二人に命を救われたんです。リルルの賢さと、ミユリの勇敢さに。その日の前日はウィスキーをストレートでコップで何杯も飲んで、睡眠薬を飲んで寝ました。かなり深く眠っていたと思います。朝6時ごろだったか、ミユリがニャーニャー!と鳴いてうるさかったのです。「うるさいよ~ミユリ。眠いんだよ・・・」と寝ていると、ミユリは鳴きながらパンチを顔面にくらわせてきます。「ミユリ、今は遊んであげれない。頭痛いし眠いんだよ・・・」と寝ているとミユリは、さらに強い力を込めて顔面を殴ってきます。「起きて!起きて!」と。「もう、なんなんだよ。」とミユリを見ると、「あっちあっち!」と方向を示します。その方向を見るとリルルが空気清浄機の前でウロウロと回っています。私と目があったリルルは、すぐに「お母さん!大変だよ!起きて、こっちへ来て!」と言っています。リルルが何か異常を察知して、ミユリに私を起こすよう命じたのでしょう。なら何か意味があると思い、無理して起きてリルルに近づきました。「空気清浄機がおかしいよ!」と言ってるので、空気清浄機を見てみました。なんかガラエポ(ガラスエポキシ基板)の高温状態の時の独特な匂いがします。(以前、電子回路設計開発の仕事をしてたので、覚えのある匂いでした)「これは基板が高熱にさらされてる状態だな。そのうち暴走するかも」と思い、電源ボタンを押します。この電源はON/OFFの切り替えボタンが同じボタンで電子式です。押したらON,また押したらOFFみたいなやつです。もうそのボタンの制御もできない暴走状態でしたので電源ボタン押しても電源は止まりません。リルルがさらに「急いで急いで!」と急かします。すると空気清浄機から黒い煙がもくもくと出始めました。「これはヤバイ!」と思い、電源を切るにはコンセントからプラグを外すしかない!と電源ケーブルをたどります。以前の記事に書いた通り、ミユリがコンセントケーブルを噛んで感電しないように、コンセントの上に絶縁金網を敷いて、その上に絨毯がかけてあります。絨毯の上の物をどけて、絨毯をめくり、金網をどけて空気清浄機のプラグにたどり着いた時には空気清浄機が猛烈に煙を吐いていました。電源を抜いてしばらくは煙を出してましたが、煙はだんだん少なくなり、やがて消えました。リルルがミユリを抱きかかえて額をナメながら「よしよし、よくお母さんを起こしてくれたね」と褒めています。そして私を見て「危なかったね。助かったよ。」と。煙が出る相当前からリルルは空気清浄機の異常を感じ取っていたのです。賢いなぁ。木造の古い家に当時住んでたので、あのまま私が寝てたら火事になって焼け死んでたと思います。10時になって空気清浄機のメーカーに電話してオペレーターに状況を話しました。「何か不良があったのかもしれません。保証期間内なのでご購入されたお店に持ち込んで返金してもらってください」じゃあ電気屋に返しに行くかな、と思って箱に詰めていたら電話が鳴ります。メーカーの名古屋支社のお偉いさんからでした。「申し訳ありませんが、お店に返品するのは中止してください。状況を調べたいので、こちらから今日中に新しい商品をお届けし、不良商品を回収致します。当社で調査を行い、原因などを調べたいと思いますので。」ということだそうで。ようするに「状況がヤバ過ぎるから下手に電気屋に返品されて、在庫もまるごと全部返品とかになったら大騒ぎだから、これは個別に対応すべきだろ」と上層部が判断したわけですね。夕方、メーカーの名前が書いてある自動車で名古屋支社の部長が家に来ました。新品の空気清浄機を受け取り、燃えかけた品を渡しました。「これは・・・あきらかに焦げてますね・・・持ち帰って調査部で調査してご報告します。」後日報告がありましたが「基板がショートして回路が焼き切れて電源の100Vをそのまま回路に供給する状態になり、基板が燃えていました。そのまま気づかなかったら確実に火事になっていたと言う調査結果です。」とのこと。空気清浄機はリルルを飼う前から使っていたものですので、もしリルルとミユリが居なかったら、私はその頃、泥酔して寝ていて焼け死んでいたでしょうね。リルルとミユリは私の命の恩人です。その夜、ミユリにはモンプチをあげて、リルルにはドライフードをいつもより多めにあげました。新しくもらった空気清浄機は怖くて使っていませんでした。このころから、リルルはだんだん猫というより、番犬のような性格になっていくのがわかりました。というか元から性格が犬だったのかもしれません。(続く)

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