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突然の再会と新たな出会い

知り合った人とLINEや連絡先を交換しても、何か用がないとなかなかコンタクトは取らないもの。
その点SNSでつながっていれば近況がわかるので、実際に会った時にひさしぶり感があまりないし、なんなら初対面でも打ちとけるのがはやいかもしれません。
今回はどちらともつながりがなかった、元上司とのご対面。
なんと10年以上経っての再会です。

休日に1本の電話

ドラッグストアで、歯みがき粉とにらめっこしている最中にスマホが反応。
確認すると職場のお店から。
普段はアパレル業で洋服を販売しています。
お店からの連絡は普段メールなので、直接電話がくるということは……
(なにかやらかした?)
おそるおそる、そして寝起きドッキリ並みのトーンで「もしもし」。
「お休みのところすみませんが、来期の商品確認会に招待されているのでどうかなと思いまして」
「?なぜわたしが?」
「わかりません。とりあえずご指名です。オンラインか本社(東京)か選べますけど、商品を実際見た方がいいと思いますよ」

店長からの電話でした。
こんな機会はめったにないし本社に潜入も楽しそうなので、迷わず現地決定です。

元上司

参加するにあたりうっすらよぎったのが「元上司との再会」。
お店ではキッズを担当していたことから、この元上司がキッズ事業部長だということは知っていました。
でも店舗数もかなりあるし、勤務先も離れているので直接会うことはありません。
それに元上司がキッズの部長であっても、わたしと関わることはないのです。

本社についてさっそく会議室に入り、これからの流れを説明され、さまざまなディスカッションがおこなわれます。
会議と聞いていたので、眠気防止のためにミントオイルをマスクに垂らしたものの呼気によって左目を直撃。涙止まらず後悔すでにおそしです……。
悩んだり考えたりする時間はあまり与えられず、商品を見ながら次々とお題に答えていかなくてはなりません。
つまりミント不要。
気になっていた元上司の姿は見えず。
「大事な会議のはずだけれどいない?」

鬼軍曹から歌のお兄さん(おじさん)へ

会議がスタートして2時間ほど経ったころ、PC片手に人の輪のド真ん中に登場したのが元上司。
自己紹介もササっと済ませ、これからの時間で成し遂げたいこと、聞きたいことなどを音速で話し始めます。
実はこの元上司こそ、わたしを採用してくれた人。
面接当時「鳥が住んでるの?」と聞かれる髪型だったので、話のほとんどがパーマについてだったと記憶しています。

※イメージ画像ですが、当時地毛でやってました

なぜこれで採用されたのか不思議。

そしてこの元上司、作業スピードの早さと美的センスを兼ね備えた相当なやり手。
めちゃくちゃ頭がキレます。
同じ店舗で働いていたときから判断も早く、マイペースなわたしはいつも怒られていました。
キレイに仕上げることを最優先にしてしまうので、どうしてスピードが落ちるのです。
作業スピードだけでなく、指示を伝えるスピードも早い。このときばかりは速記術がないことを悔やみました。
毎日なにかと怒られるので「今日はなにで怒られるかな〜」と鼻歌ばりにくちずさみながら出勤したものです。

という鬼軍曹時代が思い出され……。
あいかわらず頭の回転が早いなぁ、と感心していたら話の内容がまったく入ってきません。
というのも、ものすごくタイトな時間で決めなければならないことは盛りだくさん。発言者もそれなりにいます。
それをギュッとしぼって、この時間にやるべきことを伝えていくテンポの良さがまるで優秀なインタビュアーに見えて。
さらに驚いたのは、当時とまったく風貌のちがうわたしを瞬時に見抜いていたことでした。

「ひさしぶり。お店遠いからあんまり行けないんだよね」
「え。こなくていいです」(鬼軍曹のイメージ強くて無理)
「10年以上ぶりに会って”こなくていいです?”」
「あ。遠くて大変だと思うので」(本当はまたしばかれるのがイヤ)
「まぁ、行けたら顔出します。これからもよろしくお願いします。元気そうでよかった」

なんか。
雰囲気変わった。
鬼がいない。
頭のキレは健在でやさしさプラス。教育番組に出られそう。

この仕事やっぱり好き

もともと服が好きで選んだ仕事。
服にたずさわる仕事といっても、デザイナーやパタンナーなどいろいろあります。でも服飾系にすすんだわけではなかったので、とりあえず販売を選びました。
お客様との出会いはもちろんのこと、スタッフの出会いと別れも多い。
人付き合いがあまり得意ではなかったわたしは、そんなこんなの「縁」によって変わってきました。

それと今回、商品確認会に呼ばれたのは、以前たまたま店舗応援でわたしのお店に来てくださったキッズ事業部の人が推してくれたようです。
参加できたことで、その部署での苦悩や思いがつまった数々の商品を知ることとなり、いい経験になりました。
なにより普段見ることがない裏側をのぞけたのが楽しかったですね。
いつもはできあがった商品しか知らないので刺激的でした。マーケティングもおもしろい。
しかもこの確認会のあと、今度は以前働いたことがある当時の社員さんとバッタリ!
こちらはSNSでつながってはいるものの、特にやりとりはないので来ることももちろん伝えていません。
少し近況を話して「今度ご飯でも食べようね」とあいさつをして、その場をあとにしました。

新たにつながる

全国から選抜されたスタッフの中に、なんと青森から来ている人が。
すでに商品確認会に参加したことがあるスタッフもいるけれど、わたしも含めて「はじめまして」もわりと多いようでした。
たまたま途中まで帰り道が一緒だった彼女は、わたしよりも30㎝くらい身長が高く軽快な津軽弁が特徴。
方言は、東京で話されている言葉よりリズムやテンポが独特で、同じ内容を話していても楽しいです。

そしてなぜか人のクセがうつりやすいわたしは、会話開始10分で青森県民と化します。まるで歌のハモリに引っ張られる感じ。
フルーツが大好きなので「りんご食べ放題でうらやましい」と伝えると「青森県民は子どもの頃に一生分のりんご食べるので、梨がいい」とな。
それから、はやぶさ新幹線が函館まで行くことを教えてもらい、衝撃も受けました。(飛行機こわくて北海道行きを渋っていたけれど、陸地で行ける方法がある!)

また商品確認会があれば上京するとのこと。
再会の楽しみもできたし、青森に行ったときは連絡をすると約束して別れました。

不思議な縁

帰宅してそうそうに連絡したのは、元上司のもとで一緒に働いていたほぼ同期。
彼は退職後、結婚を機に名古屋に移り住んだけれど、毎年わたしの誕生日にお祝いメッセージとLINEスタンプやギフトチケットをプレゼントしてくれるのです。

「今日元上司に会ったよ。相変わらずのキレキレでした」
「ほんとに!?そういえばこっちでもバッタリ会ったことがある」

え。
それすごくない?

たった一度縁しただけで2度と会わない人。
もう会うこともない、と思っていたのに突然再会する人。
これだけ便利な世の中だから、連絡取ろうと思えば取れるんだろうけれど、そうしなくてもまた縁しちゃう人。

ときには縁した人からまたつながって。
人だけじゃない。
動物もモノもそれが縁でどんどんつながっていく。

今度はどんな縁が結べるかな。
そんなことを思いながら、これまでの縁もこれからの縁も大切にしていきたいと思います。


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