「spoken words」

音楽に救われることを考えるよりまえに
音楽を救うきみ自身を描いてみないか
一旦停止しているうち傷んでいる対向車線の向こう側で
うつろうけなげな少年だったぼくが空虚に笑った
からかった気もないくせからまわった頭んなか
こころのうら、退屈とゆううつがじっとり手と手を組む
通せんぼするトーテムポール、遠回りでも着実に花の散る山を行け
言っていいことも悪いこともないんだ 首筋噛みつくだけが本然のサイドワインダー
 

あんたがたどこさ、今日も今日とて京都で息をしている
still standing in da bog yo、どしゃ降りの木曜
そっと文庫本を置くように、その書棚から初夏が逃げてゆく
LINEやtwitter、SNSでまずかならず確認することは相手の顔がみえるかいなか
国道沿いヘッドライト、最後のトライを決められなかったアタッカー
血を吐くように詩を書いて死ねたらいいのにな
押しても引いても永遠にあかない扉
 

足元不如意、高血糖、関節炎
でもさ、重病だろうと難路であろうと30秒あれば変えてみせるよこの16小節で
わかちがたい、肩と肩のすれ違い
憂いなき明日はまだここには視えない
それでも連なってゆけ
うたがってうたがってうたがった先に歌があって
ゆっくりとそこへ沈め
そして、歩き出せ
  

世界

なんてふたしかなものの手のひらで転がされていたようでようやく気づいた
絆など、傷など、ひとつもつながってやしない、こぼれた最適解を抱いていたい
音楽にすくわれること、考えるより早く
音楽のもとへたどりついていたい
閾値をすすることで行違った迷路の第四象限へたどりつく
表現はショーであって正直似ても似つかず
失笑と舌打ちがkill us
明日を乗り切るポジティブなんてべつだん必要ない

 

分家して苗字が変わりました
同棲していた恋人が出ていきました
先月の家賃がようやく払えました
ため息の真下それでも朝は間近
要約すると戸惑い続けるためにぼくはまた何度でもここへ帰ってくるんだろう
狂ったように出口を探すけれど
あんなにわかりやすかった入り口は振り返ってももうわからない
人生!と叫び、死!と叫ぶだけでも愛おしかった日常生活
ステータスことばに全振り、でもyour words set you free
つくりあげた砂上の楼閣は雨にも風にも負けるけど自分自身にだけは負けない
ローカルからドーナツ化現象儲かるかそんなん判じえるもんか
それでもずいぶん叩いたけれど
このドアはまだ開かない

 

世界

社会の窓にピーナッツをいっぱい詰め込んでやれたらいいなとおもうんだ
消化しきれない昇華しきれないくらい暗いやみだっておいしいかもしれないでしょ

音楽に救われることを考えるよりまえに
音楽を救うぼく自身を描いてみないか

ぼく自身を、えらんでみたいな



   

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