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「てらす、」

「し」を変換するとき、まっさき詩と出てくるきみがすきです日灼けたネズミ

うつくしいのなかへ鬱も苦しいもくるまれたまま川を渡るね

来年の話はまだき鬼たちと談笑しつつ光の後先

きみのうすっぺらいおっぱいでないといけない夜があった七月尽く
 
 

ひとの肉皮や内臓をつまむ手がつまんない話へ相槌をうつ

回送列車を見遣る家には帰らない倍速でとじる夜はあかるく

仕事の予定がわかりません要諦は添付ファイルの鍵をあけてね

まっくらな落雷が描く、かく、はく、脈拍 ハイターを買いに家を出る

  

光あれ不毛地帯のかみはいい七日目の蝉あわくとけゆく

光あるうちに送電再開の通知来る七月の知己

光ならわたしの隣席で汗をかくきみのすきまで息をころして

ひきはがされた六等星の顔をして時刻表にしみる夕間暮れ

   

ゲーテなりヘミングウェイのその手なり夏はゆるやかな落下のあとで

くびをきる、ゆう、もたれかかる頸動脈 くびきに咲く花の名前は

灰と泥 ハイとロー 畝に続けり靴底をよごすほこりと日照が膚

武器よさらば花にも実にもならないで悲しみだけが窓を叩きぬ

      

   

まつろえぬかたちですっと消えるゆうれいと視る夜の高瀬川

あきがくるまでにほんとうのはなしがしたい避雷針のしたいないひとのこと

朝がきてはだかのままのがいとうを脱ぎますねいままつのしげみに

手遊びがなんにもたのしくない午後にわたしを狙う銃口の冷え


    



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