見出し画像

「ポエトリー・ナイトフライト」

「ハ、ハ、ヒ、ヒ」(マイクチェックのふり)「フロム京都トゥエブリウェア、ポエトリーナイトフライト、ようこそ、ごきげんよう、調子どう?」などと言っていた気がする。BOSSじゃん。ノリ完全BOSSじゃん。きょく間違ってるべさ。緊張していたのだ。

 イベントについては長くなるから措く。きょうは、第1回に参加してくれた面々へのひとこと感想と感謝を。なお、スラムは順位がついたのでぼくからはやめときます。オープンマイクオンリー!


【オープンマイク】

1.素潜り旬→サンラの金、玉接近しすぎなやつとか、玉は下段に落とせセットだった。なんだそのセット。素潜りのすごいところは度胸と愛嬌が並立していて、だから言っていることはそこそこえぐいのに意外と女性のお客さんの笑い声が聞こえてくる(ほんとうです)。役者のくせに発声も滑舌もさしてよくないというかむしろ独特のディメンションなので、もう詩人としてはこのまま突き抜けちゃえよ、とおもう。がんばれ27歳。

2.田中ジョヴァンニ→2年ぶりくらいに観たけど、とても好感の持てるステージングだった。テキストの精度が高いし、そこへ向かう姿勢というか、熱をちゃんと感じる。ただ、詩人としての板の上ではなにかへんな衒い……じゃないか、照れみたいなものがあるのかもしれないですね。見た目、声、いろいろモテ…持てるものの多いひとなので、今度1回長尺でも聴いてみたいなあ。

3.はったみさと→お惣菜みたいな詩をふたつ。メインがないやんかいさ!ととるか、これで食べる白米最高なんだよととるかは聞き手次第でしょう。彼女は「詩人狼村」出身なのでどうしてもA4ペラ1枚以内の分量がベースに今のとこなっていて、それが本人にも心地よさげ(あえてほかに出ていこうとおもわない程度)には感じるけど、スタイルはもうちょっといろいろ試行錯誤してみてもいいかもしれない。

4.川島むー→鬼ネタでした。むーさん、すごいなとおもうのは、本来の役者としてのむーさんを観たことがないので失礼な言い方かもしれないけど、詩人としても相当キャリアが長いのに、いつもフレッシュなところ。楽しもうという空気が伝わってくるし、それでいて根本的な声の通りやスキルの高さはもちろんあって、ただそのスキルで押しきるかんじじゃないとこもいい。

5.FJひねくれもん→「ポエトリーラップとかじゃなくて普通にラップなんですけど」って前置きがあったけど、いつから誰がポエトリーラップ=なんかすごいと決めたよ?とおじいちゃんはおもった。そもそもポエトリーラップなんて「空も飛べる飛行機」(by神門くん)である。さておき、トラックもかっこよかったし、踏み方がいい意味で今風に淫してない。00年代~10年代前半のおいしいところと自分の言いたいことをミックスして発してそれがケツでバシッとハマるかんじかっこよかった。

6.カミジョウミユキ→フロム千葉。めちゃくちゃ考え詰めたうえ、いったんそれをふりほどいて板に臨むタイプなのかな、とおもいました。キャラクターが強い面々のあとだったのですこし印象の貧乏くじを引いてしまった感はあったけど、筋のいいパフォーマーです(すき)。ふりほどききれたら、世界が一転するかもしれないな。べろんべろんの朗読も聴いてみたい。

7.文坂ノエ→小道具というかマクラからつくりこんどるなあ、という感想。声もいいし、服装含めた立ち姿にも独特の(いい意味での)表現する生き物としての圧があるんだけど、惜しむらくは肝心の詩の内容が途中からひっちゃかめっちゃかに飛んじゃってて着地もきれいでなく、個人的にはそこを今度話してみたい。同い年なのに上からでごめん!

8.元澤一樹→フロム沖縄。これは現場におらず文字で読んでいるひとには絶対に伝わらないのに書いてしまって申し訳ないのだけど、政治や歴史等練りこまれた長文詩を朗読中、がっつり噛んだときに「アーッ!サーッ!」(たぶん、やっちまった!的な意)って声が出たのがシンプルに超かっこよかった。「アギジャビヨー!」じゃねえんだ!というのはいいとして。テキストが大変いいので、1ヶ月に1回でも20分くらいのライブをやれるようになったら劇的に化けるとおもう。沖縄、なんとかして。協力するよ。

9.ユーカラ→1編目のオケありの「おもかげ」(※表記不明)も、2編目の「電子レンジであっためたようなぬるいセックス」(※大意)ってパンチラインも、詩そのものも、めちゃくちゃよかったんだけど、どこかある「わたしは方外の者なので……」って雰囲気を消してほしかったりもする。年齢差はともかくとして、キャリア(厳密にいえば朗読回数にもよるので一概には言えないけど)はむしろ中堅に近づいてるし、ユーカラさんとしての楽しみ方と、朗読界隈のテンションをどっかで擦り合わせたい。

10.谷竜一→気がついたらswimmに加入していた高校時代から、えーっと、18年くらい?来の旧友。当たりはずれのすごさに定評があるけど(そもそも滑舌が悪いし、変なリズム感に自分が溺れてったりする)きょうは「中吉」。他の人と比してすごい、という意味ではなく「役者が違うや」ってかんじはあった。もう表現が生活をくるんでしまっているのだな。血液型みたいなことかしら。立派でした。


 以上、オープンマイクひとこと…ひとことではない感想でした。いろいろ書いたけど、ぼくは殴りにいけるアイドルなので反論反駁SAY YESだ。

 よいイベントだったとおもう。改善したい点はいくつも見つかったのでちゃんと来月からやります。とにかく長く、もちろん長いことが正義じゃないので、たとえば関西や京都のポエトリー・リーディング事情が変わってくればそのかぎりではないけど、いまのところはずっと続けていく、ひとつの地点としたい。裏切ったりひどいことばっかしてきた元恋人のようなシーンに対する気色悪い恩返しである。

 それでは、ごきげんよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?