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大平考一さん - 漕いで、走って、審査する人


審査部一筋、20年!

私は帰国子女ではなく、海外留学の経験もありません。でも、幅広い職種がある銀行のなかで、若い頃にさまざまな仕事をさせていただいたうえで、非日系企業担当の審査部に落ち着いたのは、昭和世代の割にはTOEICのスコアが良かったなど、英語が好きだったことが関係しているかもしれません。

思い返せば、中学2年生の時にふと「英語ができるようになりたい」と思いたってNHKラジオ英会話を聴き始めて以降、海外で仕事をすることへの憧れを持っていました。

三井住友銀行の非日系審査部員は、海外拠点をぐるぐる巡るキャリアを歩む方が多いのです。私も東京勤務の時には、アジア企業の与信業務や中東の国々のカントリー・リスク分析を担当していて、韓国のほか、バーレーン・イラン・トルコ・カザフスタンなど、個人旅行ではなかなか行けない国へ出張する機会をいただきました。それから2回の香港駐在。そして今、ロンドンです。

2009年からのはじめての香港駐在には、家族も帯同しました。2017年からの2回目の香港駐在は単身赴任で行ったのですが、その終わり(2021年)にロンドンへの転勤辞令を受け取った時には、驚きました。

コモンウェルズ宗主国である英国に漠然とした憧れは持っていたものの、ちょうどコロナ騒ぎの真っ只中でしたので、一時帰国して家族とゆっくりすごすこともままならず、複雑な心持ちでした。

いろんな考え、いろんな強み

現在は、ロンドンの審査部で、欧阿中東地域の金融機関(銀行・ソブリン・保険・証券・ファンド等)を管轄しています。8名の部下は全員、現地採用ですが、その国籍は、イギリス以外にも、イタリア、ジンバブエ、モーリシャス、パキスタンなど。多様なバックグラウンドの人材が、それぞれの考えや強みをもって集まるのがロンドンという街の良さです。

日本ではチームの皆が同じ文化背景を持っていて通じ合う良さがありましたが、ここでは互いに全く背景が違うことが前提で、言いたいことをはっきり言い合うという、別の良さがあるなあと思います。

ボートを通じてどこでも友達ができる

もともと体を動かすことが好きですが、単身赴任だからこそ健康管理には気をつけています。土曜日にボート、日曜日にランニングをするのが長年の習慣です。

実は私は、学生時代からボート部に熱を入れていたので、アカデミックな「学び」の記憶と記録はほとんどありません…。でも、そのボートのおかげでどんな国へ行ってもすぐに友達ができます。

ロンドンでは、香港時代のボート仲間の紹介でHackneyハックニーという地区のボートクラブに所属して、毎週土曜日の午前中に3時間くらい、テムズ川の支流にあたる小さな川で漕いでいます。

テムズ川のレースの後に同じボートクラブの仲間と(2022年2月)

英国では競漕きょうそうが伝統文化として根付いているので、あちこちにその地域のボート・クラブがあります。街のなかのジムにもローイング・マシンを置いてあるところも多いのですが、実は、今住んでいるフラットの共用ジムにもそれがあって、気に入っています。まあ、平日は大好きなお酒を飲むことが多いので、あまり運動しませんが。

中高は陸上部だったので、走るのも好きです。日曜日は以下のマップのコースを走ります。朝4時にタワー・ブリッジ近くの自宅を出て反時計回りに走りはじめると、朝6時半にウエストミンスター橋のあたりでちょうどビッグ・ベンが鳴ります。その時の自分の位置で「今日は早いな・遅いな」とコンディションが分かります。

今のルートは35.7km(携帯電話の移動履歴より)

引越しをしたらまず最初にその町のランニング・ルートを探しますね。ロンドンの緯度は51度と高いので、日照時間が短い冬には終始真っ暗、長い夏には最初から朝日を浴びながら走っています。

仕事も趣味も好きなことをみつけて

結婚が早かったので、2人の子供たちはもう大学院生と大学生です。特に下の子は、幼い頃の3年間を香港のインターナショナル・スクールで過ごした他はずっと日本で育っているので、英語はすっかり忘れてしまったかのように思えていましたが、一時帰国の際に自宅からオンライン授業で英語を使っている様子を見ると、案外、流暢りゅうちょうに話せていて安心しました。語学は、世界をひろげてくれます。

息子たちにも願うことですが、若い方々には、仕事でも趣味でも自分の好きなことを見つけて、自由に楽しく羽ばたいてほしいと思います。

どこにいても人との出会いは何物にも替えられないアセットです。今は英国赤門学友会の事務局長として運営に関わり、学生交流プログラムの支援等も行っていますが、世代を問わずさまざまな分野のすごい方々と会って、多くの刺激をいただくのはとても楽しいものです。

ボートやランニングの好きな方、そうでない方も、ロンドンのパブで見かけたらぜひお声がけください!