海外生活と推し活と私

平松愛理さんみたいなタイトルになってしまった。


いきなりですが、私は日本の芸能界に複数の推しがいます。それぞれ熱の大きさに多少の違いはありますが、複数います。

まずこのテーマに触れるにあたって、私の推し活遍歴を少し書かせてください。推しという言葉が使われだしたのは最近の話ですが、便宜上使わせてください。


私の父はALWAYS三丁目の夕日と同じ時代に家にテレビがあり、ご近所さんがみんな見にくるという幼少期を経たからなのか大のテレビっ子で、その父のもとに私は生まれました。

その為家ではテレビが大体ついていて、私も幼稚園児の時点でボキャブラ天国にどハマり、そこから今に至るまでずっとお笑いが大好きです。そして(流石にこの時点でコンテンツに課金はしてませんが)私の推し活はここから始まったように思います。
冷めにくいタイプの私は、ここから推しが追加していくことはあれど、減っていくことはあまりなかったように記憶しています。


小学校もお笑い番組をこよなく愛し、高学年に上がると別の推しができたことで楽器を始めます。この楽器は大学卒業まで続けることになります。

中学生時代も引き続き楽器に専念しました。推しへの思いも強くなり、この頃初めてお笑いライブやコンサートに行くことができました。

高校生になる頃にはさらに別の推しができてテレビドラマを見ることも大好きになっていたので、放送部に入部してドラマ制作の真似事も始めました。これは毎年NHK主催の大会もあり、ありがたいことに全国大会も経験させてもらいました。そしてこの当時舞台というものを初観劇し、生の演技に衝撃を受けます。

大学は楽器を続けていた関係で、いつか推しと仕事することを夢見つつ芸術系大学に進学。
そして何故かこの在学中に、お笑い芸人という職業自体に興味を持ち、推しの気持ちを知りたくなり、ネットで相方を見つけてお笑いコンビを組むことになります。フリーとしてエントリーできるお笑いライブにいくつか参加し、知り合いなんて誰もいないお客様を前にネタをやりました。すべった時の地獄のような空気とウケた時の快感は一生忘れないと思います。
そんなわけで本業に身の入っていない学生生活、ちゃんと毎日練習はしていたものの技術がついてくるわけもなく早々に音楽の道を諦めました。

そうすると大学卒業後のことを考えなければなりません。どうせ働かなければならないのなら推し達と仕事がしたい!という邪な気持ち一心で就活を行い、業界の片隅に入社することになりました。

それからは怒涛の日々で、推しなどと言ってられなくなりました…新卒入社ということもあり余裕もなかったので少し推し活から遠のきます。とは言え、お仕事で推しに関わる機会があったり(当然顔にも態度にも出しませんが)、お仕事をする中で新たにファンになる人もいたりとなかなか貴重な経験をさせてもらえたように思います。

しかし気力も体力も足りない私はそこまで長続きすることはなく、夢見た業界をあとにします。この判断は未だにちょっとタラレバな後悔をしています。今更しょうがないんだけど。

そこからは転職や結婚を経て、時間と金銭の許す限りひたすらテレビやラジオや舞台やライブなど行ける範囲で推し活を楽しんでいました。

と、ここまで振り返ってみて何が言いたかったかというと…私の人生のターニングポイント全て"推し"という存在に委ねて生きてきました。行動指針が"推しの存在"のようです。自分自身振り返ってみてここまで(勝手に)人生左右されているとは思わず…こんなに徹底してればいっそ潔い気もしてきます。

そして2018年に妊娠出産を経て、乳児期を終えるまではお出かけ系の推し活は我慢だな…なんて思っていたら2020年初頭からのコロナですよ。初期は当然外に出るな状態、その間に育休も終え仕事が始まり、少し落ち着いてきてからも田舎に住んでいたこともあり、職場内でも娘が通う保育園でもとても遠出が許されるような雰囲気はなく、世間的に落ち着くまでは泣く泣く推し活を我慢する日々。私も持病があったりするので、当時の状況から考えると今も正しい判断だったとは思ってます。その間にも推しのどデカいライブとか、ファンミーティングとかいろいろあったんですが「次こそは」という気持ちで乗り越えました。

私は今、何故か、イギリスにいます。どうしてこうなった!
我慢の末がこれかよ!10年近く生のイベント行けないこと確定かよ!次いつくるんだよ!こねえじゃねえか!しかもイギリスきてからコロナってるじゃねえか!何の我慢だよ!

そして海外に出てきて気づくわけですよ、制限のかかった推し活のしんどさに!!!ある程度覚悟はしていたけど、それ以上に感じる!!!
※以下現状へのネガティブな嘆きが始まります。


私の場合、元々推しという存在にどっぷりだったからますますそう感じるのかもしれませんが、いやーこれが本当にしんどい。

まずテレビや動画。今でこそいろんなネット媒体があるので、海外にいながらもかなり触れる機会は増えていると思います。それでもやはり著作権の関係で、日本にいれば普通にアクセスできるサイトや動画が海を渡るだけでその権限がなくなってしまうものもあります。YouTubeだって動画によっては国外に出ると権利の関係で見られないってことはこの環境に置かれて初めて知りました。
また私の推しの中にはBSやCSにも積極的に出演してくる人もいるのですが、地上波から離れられちゃうと最早手は届きません。日本にいれば(勿論環境にもよりますが)電話一本で契約できたりするのにね。

お笑いファンとしてはラジオも重要なのですが、日本にいた頃はradikoのプレミアム会員になってた身としてはやはり物足りなくなる。いやでもこのくらいはまだ我慢ができます。

そして映画ですよ映画。
渡英早々に見たい映画が一本あったのですが、そういえば映画って国内じゃないと見れないじゃん!!と気づきまして。宣伝はいっぱい入ってくるのに見られないなんてなかなかの生き地獄ですよ。まあ宣伝は自ら選んで見てるわけですが。
今でこそサブスク文化があるので数ヶ月我慢すれば見られる可能性は高いですが、原作のないオリジナル映画なんかは特にまっさらな気持ちで見たいっていう願望を持ってしまいます。さらにサブスクも、プラットフォームによっては海外からは見られなかったりすることも多々あるので、配信が決まったからと言って手放しでは喜べない環境なんですよね。

そして一番の問題はライブ、イベント、コンサート等の所謂ナマモノです。
これが辛い、苦行、気持ちが死ぬ。

そんなこと言うなら行けばいいだろって思われるでしょうが、交通費だけで凄い面倒な行程への妥協をしてどんなに安くても1人20万円。しかも子持ちとなると当然自分だけちょっくら日本行ってきますわ〜なんて自由はききません。仮に子ども連れて行くってなっても飛行機代は大人も子どもも同料金ですから倍かかるわけです。ましてや円安のこの時代、庶民にそんなことできるはずもなく。
せめて駐在員として仕事で来ていれば、会社にもよるでしょうがおそらく年一の帰省費用は出してもらえるでしょうから、その時に合わせれば良いのですが…先述の通り我が家は(半ば立候補させられた状態だけど!)会社に留学させてもらっている身。その為目的の学位を取得するまでは帰国費用は会社からは一切出ない仕様となっております。まあ会社目線で言えば当然っちゃ当然の処遇ではありますが、約4年日本に帰ってくるなというそこそこスパルタな環境に身を置かれています。っていうかそこに家族ごと巻き込んでくれんなよとは常々思っているけど…。

そんなわけで簡単に帰国するなんて出来ない状況なので、ナマモノのイベントが発表される度に指を咥えて眺めていることしかできないのです。しかも何故か渡英以降推し関係のイベントが多いこと多いこと。しんどい!
ただ人間の欲とは恐ろしいもので、自分が行けなかったものがどんな内容だったかは知っておきたい、いや知りたくてたまらないんです。だから各推しのレポやセトリを読み漁るのです。そして最後に何故私はこの現場にいないのかと絶望に打ちひしがれるのです。我ながらお前なんなんだよ、ドMかよ、とは思います。
日本にいた時もこういう気持ちにならなくもなかったですが、チケ戦に敗れて行けなかった時とはまた違った傷を負うんですよね。スタートラインに立つかどうか迷うことすらできないんかい!っていう。どちらにしろ行けないんだから、どっちがどうとかじゃないんですけど。
この現地にいたかった気持ちと行けるわけのない現状とのジレンマで心が死ぬわけですね。推し達がライブやイベントで話す"みんな"から溢れた存在なんだなって勝手に卑屈になるんです。でも各イベントでの詳細なレポは読みたいという…我ながら勝手な話ですよ、本当。


推しという存在を諦められればこの気持ちから解放されるのでしょうが、そんな簡単に諦められないから推しなんですよね。
せめて海外セレブに推しでも作れればいいのかもしれませんが、作ろうと思ってできる存在でもないから推しなんですよね。


海外在住の方々で日本に推しがいる方たちはどうやって日々を過ごしているのだろうと思ったりもします。おそらく大半の方は海外に何か目的があったり興味があって来られてるのでしょうから生活においては充実している部分が多いように思えますが(少なくとも実生活の周りの方はそのような方が多い)、こと"推し"という側面では修行僧のような気持ちでいるのではないかななんて思うことも。駐在ではない方はそもそも推しが海外のアーティストだってパターンも多いですけれども。

コロナ禍を経て配信サービスが以前より充実したであろうことを考えると、昔よりは推し活できる環境にはあるようですが。それでも先ほども話しましたが、やはり配信があっても海外からのアクセス制限があったりしますしね。
そのくらい海を渡るだけで日本のエンタメの供給が絞られてしまうんです。権利が関わることだから仕方ないとは頭では理解しています。が、権利を守りつつもう少し外に開いた供給ってできないものなのでしょうか?とか最近よく思います。まあ私が何ができるわけでもないんですけどね。


で私はといえば先述の通り、海外に目的も興味もゼロ、いつ何時も日本に帰国したいと思っているような人間なので、人生の行動指針である推したちの存在が奪われて気持ち的にはキッツい毎日を過ごしています。多分これからも。
でもやっぱり"推し"という存在と決別はできるハズもないし、各推しのファンの皆さんの各地のレポは楽しみにしているし、こちらでも拝める姿は一緒に見ていろんな人とああだこうだ楽しく話していきたいわけです。



うん、やっぱり勝手ですね。
そんなわけでこんな勝手な奴でもよければファンの方々には今後ともお付き合いを続けていただければ嬉しいなと思ってます。まとめ雑!

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