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イギリスで列車に乗る 時刻表編

今回はイギリスの鉄道での時刻表とそれに関連する話題について説明します。なお以下の話はNational Railが管理している鉄道についての話で地下鉄やトラムなどは別の話となります。鉄道も地域に鉄道の運行頻度がかなり違うのでこれは南イングランドあたりの話です。


時刻表

日本の冊子になっているような分厚い時刻表はなく、駅に時刻表を掲示もしくは、駅で小型の時刻表を配っています。(昔よく日本の駅で配っていたその駅だけのポケット時刻表ではなく、途中の停車駅の時刻や通過駅が記入されているものです)最近はスマホで検索できるので紙の時刻表を持ち歩くことは減ったと思いますが。
実際に配布している時刻表がどんなものかは以下にPDF版の例があります。下向きの▼をクリックすると種別と行先毎に時刻表が選べます。これと同じものが紙に印刷されて駅にあります。(ただし印刷したものは大きな駅でないと置いていません)

停車駅、通過駅

各駅停車でない列車は通過する駅があるのですが、これが同じ方面でも各列車毎に違うことがあります。日本の鉄道では、同じ路線なら快速や急行という名前なら停車駅は臨時停車でもないかぎり同じパターンですが、イギリスでは同じ行先でも、乗る前に確認しておかないと停車しないこともありえます。これにはいろいろな理由があると思うのですが、一つは枝線に分かれてまた本線に戻ってくるようなルートを経由するものがあるということ。もう一つは、利用者数が少ない駅は全列車を止めるのではなく、ときどき停車することで速達性と利便性のバランスをとっているのかと思います。
切符編でお話しましたが、日本のように特急と各駅停車で別料金になっていないので、各駅停車を減らして特急、快速相当のものをローカル駅にときどき止めて調整しているのかと思います。

時刻表の注釈

列車によっては、自転車が持ち込めるとか、車内販売(onboard catering services)があるとかも記載されていることがあります。列車によっては愛称がついているものもありますが、車両が同じでヘッドマークもついていないので誰も気にしていません。(時刻表には小さく注で愛称が書いてある列車があります。)
以前のBritish Railの民営化の前はいろいろな車両があったようなのですが、合理化、近代化のため車種を統一した歴史があるようです。最近は各鉄道会社でそれぞれ発注しているようですが。

平日ダイヤ、休日ダイヤ

鉄道会社によりますが、多くの場合、平日ダイヤ、土曜ダイヤ、休日祝日ダイヤの3パターンに分かれていることが多いです。
切符編で述べたように平日はanytimeという切符でないとラッシュ時には乗ることはできず割高です。平日だとラッシュ後AM10時くらいからオフピーク割引が使えるようになります。(どれがオフピーク対象かはネットで列車を検索するとわかります。)土日は終日オフピーク割引が設定されているのが普通です。特にイギリスの鉄道は日曜日は始発がとても遅いことがあるので要注意です。日曜日の朝に駅にいったら、しばらく列車がなかったということがありました。

線路保守ダイヤ (Planned engineering work)

イギリスでは土日の日中に線路の保守をすることが多く、特に土日は保守のために特別ダイヤを組まれることが頻繁にあります。この場合は迂回ルートで行く、もしくはバス代行輸送になりいつもより相当に時間がかかります。土日に列車に乗る場合はWebサイトでengineering workの予定をチェックしたほうがいいでしょう。ちなみに高速道路も夜間や休日は保守で閉鎖されることもあります。

クリスマス期間 ダイヤ

クリスマスイブ(12月24日)は一般のオフィスでは営業日かと思いますかなぜかどこの会社もだいたい半日で業務終了です。鉄道も午後には本数が減って、夕方にはさっさと運行を終了してしまいます。
そして12月25日(クリスマス当日)、26日(Boxingday)とイギリスの祝日となり、鉄道も走らず、駅も閉まることが多いです。ちなみにNetworkRailはこのタイミングで普段はできない大規模工事をしたりします。27日から営業日なので鉄道は動き出しますが、年明けまでは特別ダイヤで本数が減らしていることがあります。
ちなみにイギリスでは12月27日から営業日なのでお店はセールをするため営業していることが多いです。オフィスは平日なので一応開けてあるが実際には休暇を取っている人が多いと思います。例えるなら日本のお盆休みに近いですかね。平日だけど休暇を取っている人が多く開店休業状態のような感じです。

レア行先 (Ghost Train)

イギリスの鉄道で1日1本だけとか、さらには1週間に1本とかのレアな行先の列車(またはレアなルートを経由する列車)が走ることがあります。当然ながらガラガラです。(普段は走らない連絡線を走ったりするので一部のマニアの人には人気があるようですが)。なぜ、だれも乗らないのにこんなものを走らせているのか?これには公式な見解はないそうです。一説によると運行を廃止するときは政府との契約で代替交通手段を提供、負担するのが鉄道会社の責任になっているようなのです。つまりバスに転換するならバス会社に対して鉄道会社が赤字分の補填をしないといけない。でも鉄道の運行本数が少ない場合は廃止とはみなされませんから、そのほうが経費が掛からないので言い訳的に走らせているとか。

01/September/2024 追記
かなり古い記事ですがBBCの取材動画があります。列車の中はがらがらです。しかし、どこの国にもレアなダイヤが好きな人はいるものですね。

以下の記事にあるように、Chiltern RailwaysのGWRのWest Ealingにやってくるのは、いつのまにかバス代行になってしまったのですね。ちょっと残念です。

だれの趣味だかゴーストトレインのリストがWikiにありますね。正式名称はparliamentary trainというのですか。いまや結構廃止されています。

まったく実用性のない情報で失礼しました。

まとめ

全体としていえることは、ダイヤが変則的なので乗る前にネットで列車の検索をしてもう一度時刻を確認することでしょう。切符編でも説明しましたがネットで列車を検索するといろいろ情報が出てきます。

コラム 車内販売のメニュー

車内販売は長距離列車なら用意されているものが多いです。日本でいう席まで販売にやってくるワゴン式(trolley service)、長い編成の場合は、ある車両に売店があるビュッフェ式があります。長距離になると全区間では営業していないことがあります。時刻表などに営業区間の注意書きがあることがります。

以下はご参考までにCrossCountryという長距離運行会社の車内販売のメニュー、価格表です。

https://www.crosscountrytrains.co.uk/media-vnext/vkgl5y4e/retail-june-2024.pdf

上記リンクのメニューにあるChocolateとは飲み物のココアのことです。日本でいうチョコはConfectioneryに分類されます。
Crispsはポテトチップです。イギリスの人は本当にCrispが好きなんですよね。なぜかサンドイッチと一緒に食べます。ちなみにイギリス英語でチップスとは日本でいうフライドポテトになります。
Cakes & Snacksという分類もありConfectioneryとどう使い分けているのかよくわかりません。甘くて固いお菓子はConfectioneryなのかな。
ちなみにお菓子の分類で、ビスケットというのはイギリス英語ではとてもカバーする範囲が広く、日本でいうビスケットつまりプレーンな素朴なビスケットから、チョコクッキーみたいなバリエーションや、さらには甘くないsavoury biscutsもあります。